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3 月 31, 2010
FTCから召喚状がきて脳がゲシュタルト崩壊するくらい問い詰められました(GoogleのAdmob買収)
エープリルフールじゃありません。当地はまだ3月31日だから。
FTC=Federal Trade Commision=連邦取引委員会。独禁法の調査とかするところですな。このたびGoogleがモバイルアドネットワークのAdmobを買収することになったのだが、それに待ったをかけて調査中。
で、私がお手伝いしているとあるiPhone appがAdmobとGoogle両方の広告を表示しており、その関係でこのたびFTCから召喚状が来たのであった。
ちょっと面白い経験だと思うので、以下経緯を書きます。
まず、Admobの人から2月17日に「FTCからの調査の件でうちの弁護士と話して欲しい」といわれて、OKしたところ、19日に電話がかかってきて30分ほどあれこれ語る。
基本的に私は、アメリカのモバイル広告市場はまだまだ小さく、これから大きくなるところで、数十億円規模の投資を受けたアドネットワークも複数あり、GoogleがAdmobを買ったくらいでモノポリーになるレベルに無い、と思っている。むしろ、Googleの広告主へのリーチにAdmobの技術的優位性が合体したら優良なモバイルアドネットワークになって素晴らしいのでは。
・・・と言ったところ、弁護士が私の発言をレターにしてドラフトを送ってきた。「サインして送り返してくれたらFTCに送るから」と。
そうしたら2月22日に今度はFTCの弁護士からメールが来て、話したい、というので、またこちらも電話で話す。
今度は1時間くらい根掘り葉掘り聞かれた。向こう側には3人。そもそもモバイルアドネットワークのビジネスモデルは何か、とかクリックスルー率ってどれくらい?とかいろいろ。
で、もうFTCと話したからレターはいいだろう、と無視していたら、3月22日になって、Admobから
「あのレターはどうなったの?」
と。なるほど、あれとこれとは別なのね、とサインして送り返す。そうしたら弁護士から電話があり
「実は、このレターを出すとFTCから召喚状がくるリスクがある。召喚状が来るとワシントンDCに出向かないとならない。それはきっと困ると思うので、Wilson Sonsini(シリコンバレーの著名弁護士事務所)の弁護士にFTC対応を依頼してある。もし召喚状が来たらその人に連絡するとDCに行かずに電話だけで済むと思う。・・といったような面倒なことがあるのだが、レター出してもいい?」
まぁ、乗りかかった船。FTCがAdmobごとき(ごめん、Admob ;) )の買収にどんな調査をするかのプロセスにも興味津々だったので、OKしてみる。
そうしたら26日に今度はFTCの別の弁護士から電話があり、
「ワシントンDCのFTCに出頭して証言するようにという召喚状を郵送した」
おー、本当にくるんだ!召喚状。すわ、Wilson Sonsiniか、、と思いつつ
「それ、旅費は誰が出すの?」
と聞いたら
「FTCが出す」
うーむ、久しぶりにDCに行くのも乙なものか、と思ったが、どう考えても面倒くさい・・・などと思ったが、すぐ相手が
「でも、来たくなかったら、電話インタビューをすればyou will be absolved。」
absolve=罰則や義務から免除する・罪を赦す。初めて会話でabsolveという単語を聞いたです。
ということで、今日電話で話したんですけど、なーんと3人の弁護士相手に2時間も延々根掘り葉掘り聞かれて疲弊しました。
・・・いや、べつにGoogleのAdmob買収が成功しようと失敗しようと知ったことではないのである。ほんとに。
40分が過ぎたあたりで
「Curiosity killed the cat」
という諺が頭に浮かぶ。中国語だと好奇害死猫。「好奇心は災いのもと」ってことですね。FTCの調査プロセスってどんなだろう、という好奇心がこんなことに・・・・。
そしてそこからさらに80分も電話は続いた。ふー。
聞かれたことは、ad networkそれぞれのeCPM (1000回表示ごとの広告料)はどれくらいか、とかその推移はとか。Admobをサポートするレターを書いたのは誰だ、とかAdmobの弁護士の誰と話したか、とか。
言葉の端々に「GoogleがAdmobを買うのはモバイル広告業界にとって恐ろしいこと」と言わせたい趣旨がありあり。
でも、実際、iPhone app開発側としては、GoogleのAdmob買収より、AppleのQuattro Wireless買収の方が問題。(Quattro WirelessはAdmobの競合のモバイルアドネットワークで、1月にAppleが$300 millionで買収することが発表された。)先々、iPhoneのappに広告を出す場合は、Quattroじゃないとダメ、とかなりそうだがそれはひじょーに困るのだ。・・という話もしたが、FTCの弁護士いわく
「iPhoneはQuattroじゃないとだめになる、という情報は確かなのか」
いや、Appleの基本行動パターン的にはありですけど、基本、単なる憶測です・・。
とにかく、手を変え品を変え、GoogleがAdmob買ってひとつになったら競争が阻害されて困るでしょ、GoogleとAdmobがトッププレーヤーなんでしょ、といわれ続け、そのたびに
「いや、そんなこと言ってない」
と反朴したのだが、言葉を変え、論旨を変えて、畳み込まれているうちに、当方だんだん弱気に。。。い や、彼らは独禁法専門のプロの弁護士ですもんね。しかし、携帯広告はまだまだこれから、という論旨は最後まで頑張ってキープしてみました。
***
FTCですが、先方から「今日の話は全て秘密。外には決して漏らさないから何でも言ってくれ」といわれたので、「私は今日の話を他の人にしてもいいのか?」と聞いたところ、「それは全然問題なし」とのこと。
ちなみに、関連する弁護士、殆どが女性です。FTC側もAdmob側も。独禁法は女性の領域なのでしょうか。
それにしても、感銘を受けたのは、たかがモバイル広告ごとき(ごめん、業界の人)で、ここまでやっきになってFTCが調査をしているということ。アメリカのモバイル広告の2009年の推定市場規模は$300 millionいかないくらいなのに・・・。「モバイル広告業界がどうなっているか、とことん理解するためのテストケースでは」とAdmobで働くとある人は言ってましたがいかがなものか。
なお、この弁護士の大群、FTCはもちろんFTCのコストでやっているはずだが、Admob側の費用も相当なもの。たまったもんじゃありませんなぁ。
(豆英語知識:召喚状=subpoena、「サピーナ」と発音します。今回のやりとりで初めて綴りを覚えた。今までは読めるけど書けませんでした。)
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3 月 18, 2010
日本語にならない英単語:risk
今日、ふと思ったのだが、riskに対応する日本語ってないんですね。
「危険」が一番近いかな?
でも危険はdanger。
riskは危ないかどうかじゃなくて確率論の話。「望ましくない結果となる確率が高い」ことがrisky。
前も書いたような気がするが、高層ビルの屋上から飛び降りるのはno risk。必ず死ぬから。自殺するんだったら、「望ましくない結果」=「生き残ってしまう」だが、その確率はゼロだからno risk。
・・・・・というのはちょっと嘘で、New Yorkで47階から落ちて生き延びた人がいるので、バビルの塔ならぬDubaiの160階建てのビルくらいまで行かないと実はリスクがあるかも。
もとい、リスクという概念がそもそも存在しない国の人に「リスクを取れ」といってもなかなか上手くいきそうにないですなぁ。「むやみに危ないことをしろ」って言われてるみたいですもんね。
<関連過去エントリー>
○×△の起源に関する意外な情報←今回のエントリーに結構関係あり。「もともと × は『結果にばらつきのあるリスキーなもの』という意味だったのが、いつのまにか『ダメ』になった・・・かも」という話。
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3 月 11, 2010
カスタマサポートもsorryのかわりにthank you
英語ではsorryのかわりにthank youと言うことが多い、というエントリーを書きましたが、おりよくこんなお返事がとあるウェブサービスのカスタマサポートから:
Well spotted! This should be fixed again now. Thank you for reporting it.
「(その問題を)よく見つけたね!もう一回直します。ご報告ありがとう。」
関係ないかもしれないけど有料サービスです。ご参考まで。
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3 月 10, 2010
ゲーム業界の人がアメリカで働く方法
昨日は、アメリカの就労ビザが欲しかったら留学せよ、と書きました。しかし、どうしたって留学したくない、または、「俺は・私はスーパーバリバリのエンジニアだぜ。アメリカの会社からも垂涎の的」という自負がある、そんなあなたには、アメリカの会社に留学抜きで入る方法はもちろんあります。蜘蛛の糸みたいな。
というわけで、日米のゲーム業界で経験豊かなHakさんのブログにその方法が説明されてますのでご紹介。
出だしのところで
個人的には日本のゲーム開発者は海外で働くのに向いているのではと思います。
なぜなら
ゲーム業界で働いている事が既に冒険者としての資格を満たしている
から、ということなんですが、これはわかる気がします。
余談ながら、非エンジニアの世界だと商社って結構そうなんですよね。とんでもない辺境に飛ばされる可能性がある。私は商社出身なわけですが、La Dolce Vitaさんと話したときに、「商社で、近くに医者もいないような未開の南の島に飛ばされたまま、単身赴任で何十年も過ごしている日本人がいる」という話を「恐怖話」としてして頂いたのですが、実はどこが怖いのかよくわからなかった私。「未開の南の島で暮らす」ってむしろ憧れだったりするからなぁ・・・・。「単身赴任」の所は嫌だけど、それ以外はかなり夢のようです。速攻で医者にかからないと死ぬような病気にかかったら諦めます。はい。商社時代の同期にも「美人の塊コスタリカに住みたいから商社に入ったっ!コスに越されぬコスタリカ〜」などと叫んでいた人が居りましたな。
余談終了、Hakさんのブログの続き。
いわく
通常の採用プロセスで就職ビザ取得が面倒だったり、時間がかかるケースがある
けれども
この点は、ポジションのオファーを受ける実力のあるエンジニアであれば、過剰に心配する必要は無いでしょう
スーパーな諸君、健闘を祈る!この「ポジションのオファーを受ける」というのがどんなプロセスを指すかは下記のエントリーを参照あれ。
日本から直接応募するのに大変そうなところだけ抜き出すと・・・
履歴書のフォーマットは日本国内の書式とは根本的に異なります。文化的なバックグラウンドを理解した上で、愛のある豊かなレジュメを作成する事が肝要です
で、書類審査を突破すると・・・
電話インタビューは、ハイアリング・マネージャ(もしくは同じ部署の誰か)が行います。
時間は小一時間ほど
で、
これまでの段階での絞り込み率は相当高い
その後、コーディング・面接等をクリアしても
リファレンス(紹介者)が複数人必要とされます。
リファレンスは重視する会社と、そうでもない会社があるようですが、重視する会社の場合は人事担当者からリファレンスに対して電話をし、応募者が過去に悪事を働いていないか等、身元保証的な確認をするようです。このため、リファレンスには前職の同僚等、(現職の利害関係者以外で)信頼のおける知人に依頼す るのが良いでしょう。
海外の人事担当者からの電話で話してくれそうな人を探して同僚になっておく、というのはよいかもしれませんね。
・・・と、こう書くと、絶対無理、と言っていると思われるかもしれませんが、意外や意外、日本から履歴書を送りまくり、直接アメリカの会社からオファーをもらって転職する人は実存するのだ。いや、頭が下がります。やったるで、と思う人はmonster.comとかcraigslistとかを見て研究してみて下さい。
Hakさんの転職指南はまだまだ続きがあるようです。
では!
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3 月 09, 2010
アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ
昨日のエントリーで、鍵となる一言を書き忘れてました。それ下記の赤字にした部分:
ただし、文系大学卒の人は厳しい。ソフトウェアに関係ある専攻の大学を4年修了しているのが就業ビザが出るほぼ最低条件。できれば、大学院まで行っている、というのが基本なので。プログラマ暦3年で、大学1年分に換算してくれるので、12年経験があれば、一応大卒とみなされますが、ひじょーに厳しい門で す。
そう、アメリカで働く最大の関門は「就労ビザ」なのです。
学歴などなくても、会社側は経験で雇用してくれるのだが、しかしそこでビザがでない、という大問題が。
アメリカの会社は学歴社会ではあるが、どこかで入り込んで実績を証明できればあとは人のコネで次から次へと職がある。しかし、いつまでたっても学歴重視なのが移民局。プログラマとしてアメリカで働く以上、ちゃんと大学を出ていても、仕事の専門に関係ない専攻だと高卒扱いになっちゃいます。京大の法学部だろうと、早稲田の政経だろうと容赦なし。逆に、名もない大学でも専攻があっていればOK。
とはいえ、じゃぁ日本でコンピュータサイエンス系の修士を出ていれば簡単に就職口があるかというと、結構大変。
なぜなら、アメリカの会社にとって、今日本にいる人に新たにビザを出すのは大変だから。
基本的に、普通の人がとるビザは、「雇用主が身元引受人として申請する」というもの。だから、まず採用が決まって、それから申請、という流れになる。
で、シリコンバレーのエンジニアの多くが持っているH1Bというビザは、4月に申請して、許可が出て働き始められるのは10月です。そんな先の、しかもビザが取れるかどうか不確実な雇用のためにがんばってビザ申請してくれる会社はなかなかないのだ。
じゃぁどうするの?というと、アメリカの大学・大学院をでるのです。そうすると、勉強した内容に即した仕事をする場合は「お試しビザ」的なものが出て、そのビザで働いている間に本番の就労ビザを申請してもらい、継ぎ目なく働く、、ということになる。
「お試しビザ」が切れたのに就労ビザが取れなかったとある日本人の方は、翌年再申請して就労ビザが取れるまで、日本に戻って実家からリモートで働いていました。一旦実績を出せば、そのようにいろいろなことが可能にはなる。でもそれは実績を証明してから。
最短距離的なのとしては、こちらの吉澤さんの経験を参照あれ。抜粋すると・・・
いろいろ調べてみると、シリコンバレーで働くには就労ビザが必要で、それを手に入れるのは中々大変なことがわかった。しかし、アメリカの大学を出れば、卒 業後1年間、学生ビザのまま就労可能なOPTなる制度がある。とはいえ、既に大学院まで出た吉澤さんが再度フルの学生に戻るのは無駄が多い、と感じた。そ こでさらに探すと、カリフォルニア大学サンタクルーズ(UCSC)校の分校がシリコンバレーで見つかった。ここでは9ヶ月で大学卒業と同等の証書が出る。
ちなみに、「自分で起業した会社から自分にビザを出す」というのはとても大変です。他の株主を見つけてきて、マネジメントも別の人を起用して、「自分で自分にビザを出すわけではない」ということを証明できないとNG。アメリカは、世界のいろいろな国のように「お金さえ投資してくれればビザだしまっせ」という国ではないのです。
とにかく、悪いことは言わないので、留学するあるよろし。
なお、シリコンバレーで働いてる日本人に話を聞くと、「社内トランスファーで来た」とか「たまたまアメリカの会社からオファーをもらってきた」とかいろいろと「留学→就職」でないケースばかりが耳につく。
が、しかし、これは、今から目指そうという人にはお勧めしません。確度が低いから。
たとえば、抽選であたってグリーンカード(永住権)が手に入ったのでアメリカにいる日本人に時々会う。結構いるので、「そうか、グリーンカードの抽選ってあたるんだ」などと思ってしまうのだが、それは、「当たった人だけがアメリカに来ていて、当たっていない人は来ていない」からなのですな。「生存者バイアス」ってやつですね。
いや、この「アメリカの就労ビザが欲しければ留学せよ」という話、何度も書いているので耳タコ(目?)かもしれませんが、いつも聞かれるので。
どれほど就労ビザが難しいか知りたい人は、こちらで日本人の移民法弁護士の方が解説しているのビザカテゴリーをよーく研究してみてください。アカデミー賞を取ると簡単に出るみたいですけど。
裏道は「アメリカ市民と結婚してグリーンカード」。私はこれです。楽ちんであった。
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3 月 08, 2010
シリコンバレーで働いて最もメリットある日本人の職種
まぁ、いまさら言うまでもないと思いますが、それはソフトウェアエンジニアです。コードが書ける人。日米の給与格差も大きいし、お金以外での尊敬・尊重のされ方もまったく違う。ソフトウェアエンジニア様のために会社の福利厚生・人事制度ができている会社がいかにたくさんあることか。
しかも、「スーパーな人」である必要はまったくなし。「日本で普通に通用してる人」だったらOK。
一方、外資系コンサルとか投資銀行とかで働いているようなタイプの人や、「ハイエンド手に職系」な弁護士・会計士などといった人たちは、アメリカに来ると給料も下がり、希少性も下がり、やりがいのある仕事に就ける確率が下がる、といったことも多々あり。もちろん、トライするのを止めないし、その中でも成功してる人もたくさんいますが。
しかし、しつこいようですが、「日本で普通のソフトウェアエンジニア」がもっともシリコンバレーのメリットを享受できると思います。シリコンバレー給与相場暴騰中というエントリーには「自分はシリコンバレーにいるが、そんなに給料もらっていない」的コメントもいただきましたが、「みんなが一律に著しく高給」なのではないのです。平均は高いけど、プログラムがバリバリ書ける人はもっと高いのだ。
なお、今シリコンバレーでプログラムを書くお仕事をしている日本人の多くはハイスペック過ぎ。知り合いがシリコンバレーで働いていて「ああ、あんなすごいレベルじゃないとダメなんだ」と思っているあなた。そんなことはありません。
ただし、文系大学卒の人は厳しい。ソフトウェアに関係ある専攻の大学を4年修了しているのが就業ビザが出るほぼ最低条件。できれば、大学院まで行っている、というのが基本なので。プログラマ暦3年で、大学1年分に換算してくれるので、12年経験があれば、一応大卒とみなされますが、ひじょーに厳しい門です。
そういう人は、このビザの裏道を探すのも乙なものですが、それより、さくさくとそれ系のアメリカの大学院に行くのが一番手っ取り早いと思います。
いや、しかし、アメリカでもほんの4-5年前まで「プログラムを書く仕事なんてどんどん安いオフショアに行ってしまうから将来性はない」と、大学のコンピュータサイエンス系の学科の人気ががっくり落ちていたわけです。あれはなんだったんでしょうか。
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3 月 05, 2010
シリコンバレー給与相場暴騰中
特にコンピュータサイエンス(CS)系を専攻した人の初任給相場がとんでもないことになっている。椅子から転げ落ちそうになった・・・というのは嘘だが、目が丸くなるくらいには驚いた。情報元はシリコンバレーの人事コンサルタント。
一流どころのCS系専攻の4大卒(Stanford, Berkley, Princeton+同等レベル)の初任給が9万ドル。同様の大学のCSの修士は12万ドルとか行っちゃうこともあるらしい。博士はさらに+1〜2割は軽く行くでしょう。
1ドル90円として4大卒が800万円、修士が1100万円ってこと。1ドル110円だったら・・・・というのは遠い目をしながら暗算してみて下さい。
2006年に給与相場のエントリーを書いたが、そこからまた3割くらい上がった感じ。
いわく、2008年にストックオプションスキャンダルがあって、オプションを減らす企業が増え、そのかわりにキャッシュを厚くするようになったのでキャッシュ部分の相場が上がってしまったらしい。
とはいえ、初任給以降の相場は「やや上向き」程度で抑えられていて、「3割も上がる」という風にはなっていない。
ということは、多くの会社で、
「ううむ、経験5年の社員と、新入社員が同じ給料になってしまった」(または逆転してしまった)
といった悩みが生じていそう。(なお、プログラマ以外はここまでの暴騰はしてないと思います。詳しい方がいたらコメントください。)
***
「2008年に給与相場が上がったとはいえ、その後の不景気で下がっていないのか」
と疑問に思う方もいるかも知れない。
しかし、前より低い給料の仕事につくのは失業して困っている人だけ。しかし、そうして低い給料に甘んじた人も、職探しを続ける「仮面浪人」状態になるだけで、結局はよりよい給料の会社に転職してしまうケースが多い。よって、全体の相場は高止まり。
むしろ、レイオフがあると、パフォーマンスの悪い人から切られはじめる傾向がある。もちろんレイオフされる人が必ずしもパフォーマンスが悪いわけではなく、特定の部門まるごとレイオフ、なんてこともよくある。なのでハイレベルな人がレイオフされることもあるのだが、そういう人はなんだかんだと次の仕事があるので、元の給与レベルに収斂する。一方、どうしても仕事が無い人は別のエリアに移っていくか、これまでとは全く違う仕事(家の改築屋さんとか)に移ったりする。
つまり、
「景気が悪くなると、ローパフォーマーができる仕事自体が消えていく。」
「ローパフォーマー」には二種類あって、個人的にスキルレベルが低い人もいれば、属する業界そのものが縮小傾向・低利益化にあるため本人のスキルがどれほど高くてもパフォーマンスを上げられない人もいる。そのいずれにおいても、景気が悪くなるとパフォーマンスの低い仕事が消える。
でもハイレベルな人の仕事、成長傾向の仕事は消えない。
結果として、
「景気が悪くなると、給与水準が上がる」
ということが起こるのであった。
2006年に書いた給与水準に関するエントリーで参照したグラフに如実に現れてます。
シリコンバレーの業界ごとの雇用者数と給与水準が2002年から2005年にかけてどう変わったか、というもの。暗い緑が雇用者数の変化、明るい緑が給与水準の変化。殆どの業界で雇用が減ったのに給与水準は上がっているのがわかると思います。
この時と同じ変化が過去2年くらいでも起こった、という感じかと。ただし、今回のシリコンバレーの不景気はドットコムバブル崩壊後に比べれば軽いですが。
***
ちなみにこの「不景気になると給与水準が上がる」というのの前提としては、
1)企業はどれほど景気が悪くても打って出ることを考えてイノベーションを続ける
2)異業種間も含めた人材の流動性がある
というのが大事。「今いる人が小さくなっていくパイを奪い合う」ということだと、不景気になったら当然給与水準は下がりますので。
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3 月 03, 2010
ニュアンスの違い:goとcome, lookとseeとwatch, sorryとthank you
meetとseeの違いに関するエントリーのコメントでリクエストがあったので。
- goとcome
相手の方向に行くのがcome、相手から遠ざかって行くのがgo。
電話しながら「今からそっち行くよ」というのはI'm comingとなります。「はやくここに来て手伝って~」と呼ばれて、「今いくよ」というのもI'm coming。
ちょっと微妙なのが、「パーティーに行くんだけど、一緒に行かない?」と聞くときも
I'm going to a party. Do you want to come with me?
というようにcomeとなります。「一緒に行く」というときは、たいていcomeになるんじゃないかと思います。(追記:go with meでもOKではある。どっちでも良い、、、って感じです)。Sex and the Cityでも「恋敵が行くパーティーに行くんだけど、どうしよう?」とCarrieが相談したのに対し、Samanthaが
I'll come with you
と答える、というシーンがあったような。
というわけで、goは「去っていく」というニュアンスがあるのですな。相手の方に近寄る、相手とともに移動する、というのはcome。
ちなみにgonerといったら、「見込みなし(な人)」。gonerには「死んだ人」という意味もあるので、そういう感じ。日本語のオンラインスラングで「逝ってよし」などと使いますが実はあれに近い。
- lookとseeとwatch
注意を払ってand/or意識的に見るのがlook。漠然と目をやるのがsee。物事の進行を見守るのがwatch。
seeは、視界に入ってきたものを見るとき。
「変な鳥がいたので見てみた」と言うなら
I looked at the strange bird
だし、
「変な鳥が見えた」(何かを見ていたら、変な鳥が目に入った)だったら
I saw a strange bird.
テレビやらスポーツやら、じっと進行を見守るのはwatch。
というわけでこの辺の違いはこちらの例題などやってみるとニュアンスがわかるかと。
- sorryとthank you
これは誰にも聞かれてないんですが、私からのメッセージ。「すみません」は多くの場合thank youとした方がよろしいです。
例:とある日本の方からmentionいただいたtweetでこんなのが。
Please refer to Mrs.@chikawatanabe's blog about difference between meet and see. http://bit.ly/9wtVup #twinglish
で、実はわたしはMrs. Chika Watanabeではないのでした(Mrs.というのは、アメリカでは夫の名前につけて、「〇〇さんの奥さん」というニュアンスで妻の呼称となることが多いので。山田太郎さんの奥さんはMrs. Yamada。もしくは、Mrs. Taro Yamada。でも、私の「渡辺」は旧姓で、ダンナの苗字は渡辺ではないので、「渡辺さん(♂)の奥さん」というニュアンスのMrs. Watanabeはなんとなく変なんですね。)
で、Mrsの用法に関するエントリーを昔書いたのでそこにリンクして
It's actually a bit strange to call me Mrs. Chika Watanabe, at least in the US. Please see http://bit.ly/bLVCIq
「それ実はちょっと変なんですよ」と。まぁ、重箱の隅をつつくような話なのですが、そこはそれ、Tweetなので、軽く書いてみたというわけ。そうしたら
Oh, I'm very sorry for the mistake. Thank you. I got what you mean :)
とお返事を頂きました。これはこれで全然まちがっていないのですが、どちらかというと
Oh, thank you! It's nice to know
みたいな方が自然な感じではあります。「何かを指導・指摘されたら、謝るのではなく感謝する」ってのが基本パターンだからです。
***
そもそも、sorryは
「相手の不幸に共感する」
というニュアンスもあり、日本語の「すみません」とはちょっとずれてるんですよね。
だから、英語ではI'm sorryと言えても、日本語で「すみません」にはできないものもあり。
例えば、知り合いの家族が亡くなった、といったとき、その知り合いに対して、
I'm very sorry
と言います。「ご愁傷さまです」、「このたびは大変でしたね」などなどのニュアンスがこめられた、相手を気遣う言葉です。別に謝ってません。
***
話を戻すと、日本語だと「すみません」というシチュエーションで英語だと「ありがとう」というケースはかなり多い。ですがこれ、相当努力しないとできません。
努力の方法としては、I'm sorryと言いたくなったら、
「これはThank youでは代替できないかな?」
と考えて、代替出来そうなときはすべからくthank youにしてみると英語的に自然な感じになります。
「お待たせしてすみません」
は
Thank you for waiting
とかね。もちろん、2時間待たせて相手はゲキムリってなときはsorryを使った方がよかったりもするので、その辺は頃合ですが。
<読んでわかる英語は聞いてわかるようにする、IT特化型20日間リスニング強化教材Listen-IT作りました。初日無料トライアルあります>
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3 月 02, 2010
エンジェルラウンド投資書類テンプレートが発表されました
米国のベンチャー投資には「ラウンド」がある。ラウンドは、複数の投資家が同じ投資条件で投資する「ひとくくり」。リードインベスターというのがいて、その人・会社が、投資を受ける会社と投資条件をネゴ、リード以外のインベスターは、そこで決まった条件に乗る。
さてさて、ソフトウェア・インターネットサービスを作るコストが劇的に安くなった昨今、昔のような大掛かりなベンチャーキャピタル投資がいらないベンチャーが増えてきた。少なくとも最初はいらない、というケースが多い。
ということで、ベンチャーキャピタルより少額の投資の必要性が大きくなっている。
大ざっぱにいうと、「ベンチャーキャピタルラウンド」は数億円以上、というのが相場なので、それより下の数千万〜1−2億円程度というニーズがあり、このあたりをターゲットにした「エンジェルラウンド」と呼ばれる増資がある。
「エンジェル」は多くの場合は個人投資家だが、「エンジェル的な投資を行うファンド」もある。
で、そのエンジェルラウンドの投資書類のテンプレート、というのが発表されました。
Netscape長者、Mark AndreessenとBen Horowitzが新しく作ったファンドがスポンサーとなって、Fenwick & Westという弁護士事務所のTed Wangが作成。この弁護士さん、Twitterの弁護士でもあるそうな。
テンプレートはこちらでダウンロードできます。少しだけ解説すると・・・・
- Preferred Stock Purchase Agreement:
投資契約。会社と投資家の間で結ばれるもの。15ページ。
- Investors' Rights Agreement:
投資家の権利についての契約。会社は情報開示すべし、とかいろいろ。13ページ。
- Restated Certificate of Incorporation:
定款の改訂版。13ページ。上記の契約を有効にするために必要。ちなみに、中に「Delaware corporation」と書いてあるが、ベンチャーキャピタルから投資を受ける際にはDelawareで会社登記をしてある必要があるので、将来VC投資を受けようと思うような会社はみなDelaware Corporationである。営業場所はDelawareである必要はありません。なぜDelawareが好まれるのかはこちらを参照あれ。「会社を売却するときに、Californiaだと、全ての株式クラスごとに多数決が必要だが、Delawareだったら、株主全体で多数決でOK」みたいなことがあると。
- Term Sheet:
タームシート。1枚もの。上記の細々した契約をする前に、最もかなめとなることだけを会社と投資家の間で了承しあうためのもの。アントレプレナーも、ここに書いてあることは全てきっちり理解する必要がある。それをしないで泣いた人たちのさまざまな「教育的指導ブログエントリー」があちこちにあります。
***
さて、で、このテンプレートがあることでどういうメリットがあるかというと、Mark AndreessenにインタビューしたKara Swisherの記事より
Andreessen said using Series Seed Documents would cost start-ups about $7,000 compared with a low of $15,000 and up to $100,000 in many similar deals.
「これまで$15,000から$100,000かかっていた弁護士費用が$7,000に抑えられる」
ちなみにこのテンプレート、50万ドルから100万ドル程度の投資のためのもの、ということで、つまり(計算が楽な)1ドル100円で換算すると、
「これまでは、5千万円から1億円の投資を受けるのに、150万円から1000万円かかっていた弁護士費用が70万円に抑えられる。」
1億円の投資受けるのに1000万円弁護士費用使ってどうするんでしょうか。ちなみに、投資にかかる弁護士費用は全部会社持ちです。投資家側が使った分も会社持ちです。はい。えらい無駄なことであります。
こんな無駄が生じる背景には、この程度のラウンドだと、会社側がベンチャー投資の経験のない弁護士を使うケースが結構あって、そうすると、本来は定番であるべき条件にまでいちゃもんつけて交渉が非常に長引くことがあるのでした。なので、このテンプレートが広く使われるようになると、「これがスタンダード」という認識が広まり無駄が減る、という効果も期待されます。
本テンプレート、Andreessen Horowitsだけでなく、Ron Conway, First Round Capital, Mike Maples, Jeff Clavier, True Ventures, Polaris Venturesといった「泣く子も黙るエンジェル投資家」のサポートも受けてます。
しかし、それにしてもテンプレート使っても70万円かい!と日本のベンチャーの皆さんは驚かれるかもしれませんね。
日本の人と話すと、会社の大小に関わらず、「あ、その程度の契約なら社内で書いちゃいます」的話が多く、ここでも「アメリカのベンチャーはカネがかかる」ということが如実にでるのでありました。
テンプレートを作ったさらに詳しい背景は、Ben Horowitzが書いたブログを参照あれ。
<参考:ベンチャー投資について、あれこれ解説したWilson Sonsiniの弁護士のYokum Takuサイトをさらに解説した過去エントリーはこちら。ベンチャーキャピタル投資のテンプレートなんてのもあります。>

