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12 月 14, 2009

アメリカで優秀なexecutiveを雇うためのゴール設定・報酬体系のありかた

さて、前回の「日本企業のアメリカ進出:組織づくりはトップから雇用する」の続きで、では、優秀なトップ(およびその下の数名)を雇用する枠組みについて。

前エントリーで書いた通り、「アメリカで売るものが決まっている」、そしてそのための手段として「ゼロから組織を立ち上げる」こともすでに決定済み、という前提です。

さて、まず第一に考えなければならないのが「報酬」。というわけで、「起業時の主要メンバーはトップのコネで連れてくる」でも触れた2008年のITベンチャーのマネジメントのアンケートを元に「相場観」をば。

左の数字がベースサラリー、右の数字がボーナスのターゲット。kは1000ドル。$1=100円と大雑把に換算すると、100k=1千万円なり。

  • CEO: 236k, 102k
  • President/COO: 183k, 58k
  • CFO: 168k, 49k
  • Head of Technology/CTO: 178k, 57k
  • Head of Engineering: 163k, 39k
  • Head of Sales: 167k, 98k
  • Head of Marketing: 166k, 48k
  • Head of Business Development: 168k, 66k
  • Head of Human Resources: 113k, 28k
  • Head of Professional Services: 156k, 68k

というわけで、人事部長はちょっと低めだが、それ以外はベースサラリーで150k以上、CEOに至っては236k。100円換算だとそれぞれ1500万円、2360万円。90円換算しても、1350万円、2100万円となる。

プラスボーナスが300万円〜1000万円。

加えてストックオプションとなる。

「私の知り合いはもっと安い額でベンチャーのマネジメントをやってる」

という人もいるだろう。実際そういう会社はいくらでもある。自ら起業した会社を軌道に乗せるまで食うや食わずで、、、というのはアメリカだってあります。あと、ベンチャーもピンきりだ。「きり」であっても、一か八かで頑張った結果うまく行く、というケースもなくはない。

しかし、「事業の成功確率を上げられるような優秀なマネジメント」を外から雇ってくる、という話なので、やっぱり業界平均くらいは給料出せないといかん。

さて、「アンケートによる平均」といっても、母集団によっていろいろな差が出るので、このアンケートがどこから取られているかだが、

  • 全米の342社
  • 49%がソフトウェア、残りは通信、半導体、コンテンツ、ITサービスなど
  • 従業員数は、35%が20人以下。76人以上いる会社は18%のみ
  • 売上は、22%がゼロ、41%が$5M(約5億円)未満
  • ベンチャーキャピタル(VC)からの増資は、0-1回が23%、2回が同じく23%

ということで、「人もあまりいないし、売上も大してありません。」という状態なのであった。ただし、半分以上は3回以上のVC増資を行っているので、「急成長する可能性があると思われるベンチャー」ではある。

「日本側は大企業、または既に大きな利益が出ている会社だ。そういうところが親会社で設立するわけで、リスクは全くのベンチャーより低い。安定している分、給料も低めでいいのではないか」

と思う人もいるかもしれない。

しかし、

  • どれほど日本で利益が出ていようが、アメリカで事業をゼロから立ち上げる、という意味において、望ましい人材は、「普通のアメリカのベンチャー」と同じ。となれば同じ給料を出す必要がある
  • 「日本企業の子会社」ということは、「やっぱりアメリカは上手くいかないからやめた」といって引き上げるリスクがある。アメリカでうまくいかなければ他がない地元ベンチャーに比べて、働く人間から見たらリスクがより高いとも考えられる

さらにいえば、日本企業側が大企業だったり、ベンチャーであっても既に上場してしまっている場合、

  • ストックオプション等株式によるアップサイドが低い分、「普通のアメリカのベンチャー」よりもキャッシュ部分を大きくする必要性もある

というデメリットもある。(日本側が未上場の場合は、親会社のストックオプションを出すことで、この最後の点はクリア可能。ただし、「日本で上場したときに自分の株が本当に売れるのか」という微妙な懸念を持たれる可能性はあるが、まぁなんとかなる。その辺はまた後日。)

また、別の反論として、既にアメリカで大きく事業を行っている大企業の場合、

「これまで現地採用してきた人たちは、そんなに高くないぞ」

と思うかもしれないが、「既存事業をきちんとこなせる人材」と、「ゼロから立ち上げられる人材」は全然違う人達なのでした。

というわけで、「相場より低い額で優秀な人材を取る」という野望は捨ててください。

+++

さて「ゴール設定」の方です。

前述の給料では、「ボーナス」分があるわけですが、これはもちろん成果ベースなわけだが、成果って何だ、という話になるわけです。

これはもう事業次第なので、ここで「こうだ」とは言えないのだが、ゴール設定が必要なのは明らかですよね。

明らかなのであるが、実際には

「取りあえずはじめてみて、様子を見ながら何となくよろしく進める」

というのが日本の人は好き。大変に常套表現で恐縮だが、日本は社会的に育ってきた背景が似ているので、大して考えることに差がでない。また、プライベートを犠牲にしてでも仕事仲間と日夜行動を共にしながら、家族のようなあうんの呼吸を生み出し、相手の欲することを言外から汲みあって形にしていくのが仕事のパターン。だから、「様子を見ながら」が通用しやすい。

が、しかし、今回は相手は異文化の人。しかも、本当の意思決定者は日本にいる可能性が高いので地理的にも遠い。こういう時は、きちんと何が目標なのかを言語化して共有することが大切。目標は何も売上だけではない。製品によってはリードタイムが長く、なかなか売上が立たないこともあるし。それ以外でも、どのような組織を立ち上げるのか、どのようなマーケティング活動をするのか、などなど、いろいろな目標がありえるはず。そのあたりをきっちりと話しあって決めるのが大事かと。

一方で、これまた日本の「普通」とアメリカの「普通」がずれるところとして、マイクロマネージするかどうか、という問題がある。日本では、明快に目標を定めない代わりに、日常の細かい意思決定の隅々まで連絡・報告しあう、ということが行われがち。一方、そもそも独立新旺盛なアメリカで、しかもゼロから事業を立ち上げられる独立独歩の気質に富んだ人をそこまで細かにチェックするのは、相手も嫌がるし、非効率だったりする。

Gilt Groupeという会員制のブランド品ショップの会社があるが、そのCEOのSusan LyleがNew York Timesのインタビューで言ったこと:

I don’t buy a dog and bark for it.

彼女が、過去、とある雑誌の編集長になった時、社長であるボスにフィードバックを求めようと自分の原稿を見せたところ言われた言葉。「犬を買ったら、吠えるのは犬任せだ」と。ひどい表現だがつまり、「君に任せた雑誌なのだから自分で考えろ」といわれたわけですね。彼女はそこで「そうか、自分がこの仕事のNo.1なのだ」と自覚を持つに至った、と。

この人は、今はシリーズC(3回目のVC増資)まで行ったGilt Groupeの雇われCEOなわけですが、例えばでいうと、こういう人達が相手なのです。

マイクロマネージするのではなく、目標を設定して、そこにどう至るかはプロである相手に任せる、というのが大事(逆に言えば、それが任せられるような人を雇うのが大事)。ただし、あまりに遠大な目標で「2年たって蓋を開けたらうまく行ってませんでした」というのはまずい。

というわけで、前述の

  • 最初に中・長期で達成したいことを共有する。(「XX市場でシェアYY%を達成する」とか)
に加え、
  • その達成ゴールに到達する過程で、短期的にも成果の達成度合いが明確にわかるよう、いくつかのマイルストーンを設ける

というのが肝要だと思います。例えば、最初は本当にどのようなのがゴールかすらわからないのであれば、そのゴールを定め、ビジネスプランを明快にするのが最初の3ヶ月の目標、というのもありです。

++

なお前回のエントリーを書いたときTwitterで「日本から送り込む社員が米のトップになるという選択肢はないのか」というコメントを頂いたのですが、なくはないです。ただし、その下にくるEngineeringやSalesのトップは上記の給与体系にすること。(日本から来た人の給料より高くなる可能性が高いですが)。

まぁ、でも一般論でいうと、前回も書いた通り、日本から来た人が「上司」を雇った方がうまく行くと思います。マネジメントのプロとでもいうなら別ですが、そういうスキルセットを持った日本の人はあまりいないので。文字通り郷に入れば郷に従え、です。

++

では、次回は、「優秀なexecutiveのに出会うための方法」です。

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12 月 10, 2009

シリコンバレー的に幸先のよいクリスマス商戦

最近、せっせとオンラインでお買い物中。クリスマスのプレゼントなどなど。あちらのサイトもこちらのサイトもセールなので、ついうっかりついでに自分のものも買ってしまったりするんですが。

で、今年は、アメリカの景気はいまだ渋く、失業率は高いが、Thanksgiving明けのクリスマス商戦では、オンラインショップに関しては予想よりずいぶんよい模様。

ちなみに、Thanksgivingのある11月の週は、全米最大の休暇なり。この週は、日本の盆と正月とゴールデンウィークが一緒にやってきたような感じで、みなせっせと実家に帰ったりする。出張してきても誰もいないよ。会ってくれる人は心で泣いている。その人の家族も泣いている。多分。

Thanksgivingは木曜日なのだが、その翌日の金曜日はBlack Fridayと いって全米がお買い物の日になる。夜中の0時にオープンする店なんてのもある。朝5時とか6時にオープンするのは割と普通。で、最近はさらにその次の週の月曜日がCyber Mondayと呼ばれる。Thanksgiving休暇明けで会社に戻った人たちが就業時間中にせっせとオンラインショッピングするから、と。

Black Fridayのオンラインセールスは、対前年比24%増、Cyber Mondayは14%増だったそうな。(統計のとり方でいろいろな数字があるが)。

去年のCyber Mondayは対前年比15%増だったので、景気に関係なく伸びているのですね。

一方、リアルの店舗の方は今年は横ばいか微増。オンラインショップは、小売の売上トータルのごく一部(たしか6%位;要確認)しかないので、オンラインが20%増えたからと言って、全体の横ばいを覆すことはないのだが、しかし、テック企業的およびシリコンバレー的にはスバラシイ。

まずオンラインリテーラーが儲かる。たとえばAmazonは対前年比でトラフィックが44%増だそうでございます。

そして、来年もオンラインセールスが伸びることに皆確信を抱けば、設備投資も起こる。サーバも買うし、サーバのソフトも買うし、オンラインショップの効率化のソフトとか、オンラインカスタマーサポートのシステムとか、シリコンバレーの会社が作っているアレやコレががっつり売れる。

なんといっても、シリコンバレーは広域で見ても人口200万人しかいないのだよ。別に全米の経済全部が復活しなくても、技術系投資の需要が喚起されればそれでいいのダ。なので、今年のオンライン商戦がうまくいってるのはシリコンバレー的には大変素晴らしい。

ちなみに、私は最近、なんでもかんでもオンラインで買ってます。洋服とか靴とかリアルな店舗に行ってもサイズが無いことが多い。面倒だから、気に入ったメーカーの服や靴だけをオンラインで買う。サイズが合わなかったら送り返せばOK。(でも、基本的には知ってるブランドのものしかかわない。のでサイズは大抵の場合は合う。)1年に4回くらいリアル店舗に行って、見聞を広め、新しいブランドを物色。

洋服だけでなく紅茶も切れそうだから今日Amazonで買った。

昨日はMacbook Proの電池をオーダーしたら、今朝届いた。

ダイヤモンドの指輪だろうが、ジェラートだろうが、猫用Tree Houseだろうが、なんでもオンラインで買える。

いや、余は楽ちんじゃ。

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12 月 09, 2009

起業時の主要メンバーはトップのコネで連れてくる

先日書いた、「アメリカでの組織づくりはトップから雇用する」というののバックアップデータです。「ベンチャーの上層部10名ほどは、どういうツテで採用されたか」というグラフ。

Picture 1

Cのつく人たち(CEO、COO、CFO、CTO)および、各機能のトップ(エンジニアリングのトップ、セールスのトップ、マーケテイングのトップ、、、、などなど)それぞれについて、誰からの紹介で入社したか、というもの。

  • オレンジ=CEOの紹介
  • 緑=他のexecutiveの紹介
  • 赤=投資家の紹介
  • 水色=その他

2008年に340社のベンチャーにアンケートしたデータをもとにしたレポートより。対象はシリコンバレーだけではなく、全米のIT関連ベンチャーです。

これを見てわかることは、

「6割以上のexecutiveは、CEOか他のexecutiveの紹介」

ということ。(CEO自身がCEOの紹介、というのがあるのは、多分前職のCEOの紹介じゃないかなと)。

会社のNo.2のCOOは63%がCEOの紹介。

日本企業が進出してアメリカで組織を立ち上げる、というのも、「なにもないところから組織を作り出す」という意味においてベンチャーみたいなもの。そして、そういうゼロから立ち上げの会社は、こうやってexecutive同士の「コネ」で組織を作り出しているのですな。

(で、コネがない人の会社は、投資家のコネを活用すると。executiveのコネ、投資家のコネ、以外でやってくるexecutive(=青色)がいかに少ないかよーく見て欲しい。)

元レポートは、WilmerHale, Ernst & Young, J. Robert Scottの3社のスポンサーで、Harvard Business SchoolのProfessor Wassermanが作成したもので、ベンチャーのexecutiveの報酬に関するもの。こちらで公開されています。同じサイトに、ライフサイエンスバージョンのレポートもあります。ご参考まで。

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12 月 07, 2009

業務連絡:夜のお仕事のできるウェブエンジニア募集

私+数名で、何年もかけて片手間で作っている英語学習サイトがあるのですが、ほぼ完成してからはや10ヶ月・・・ボトルネックはペイメントとなっております。ついては、そこのところを構築してくれる人を探しています。「構築」といっても、Paypalを使うので、そのインテグレーションが仕事です。デザインはもうできているので、デザイナーではなくウェブエンジニアの方に限ります。

要件:

  • これまでにペイメントシステムを組んだことがあると非常にgood
  • 中でも、Paypalのインテグレーションをしたことがあれば特にすばらしい(あまりいないと思いますが)
  • mustではないが、Railsがわかるとさらにすばらしいです(サイトがRailsでできているので)
  • また、先々のことも考え、サーバのメンテなどもできると美しいです(でも、これはRailsができないと無理らしい)

できればベイエリアに住んでいる方だとgoodですが、基本的には世界中どこに住んでいてもOK。Paypalのインテグレーションはこんな感じらしいです。

興味のある方は簡単なresume(またはこれまでの経験リストなど)をchikawatanabe (at) gmail.comまで送ってください。

では。

<経験豊富な方々に応募いただいたので締め切りました。thank you!>

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12 月 03, 2009

日本企業のアメリカ進出:組織づくりはトップから雇用する

これからいくつかのエントリーに分けて「日本企業・日本人アントレプレナーの米国進出方法」についてまとめていきたいと思います。先日セミナーで話したことを元にしています。私のこれまでの社会人経験の総括に近いので、かなり長くなりますが。

まずは「企業」が進出する場合。主にIT系企業がシリコンバレーに進出することを念頭において書きます。今日は「アメリカでの組織づくりはトップから雇用する」です。

まずは前置きで全体像をば。

日本企業がアメリカに進出する場合、日本企業の「したいこと」には次の4つのパターンがある。

  • 売るものが決まっている
  • 日本で売ってきた製品(含サービス)をかなり変更する必要がある
  • 日本でも売っていないものをアメリカ向けにゼロから開発する
  • 何をしていいかわからない

また、進出の「手段」としては次の4つがある。

  • ゼロから組織を立ち上げる
  • 米国企業に投資する
  • 米国企業を買収する
  • 米国企業とジョイントベンチャーを作る

さて、では、まず前述の「したいこと」のトップバッターから。

  • 売るものが決まっている場合

ビジネス向けの製品では結構あり得る。「日本で売って成功したものを、そのままアメリカで売る」というパターンだ。マーケティングの仕方など、それなりに工夫は必要だろうし、売っていく中でアメリカ向けのローカライゼーションも必要になってくるかもしれないが、とりあえずは「これを売る」というものが明快にある。

しなければならないのは、売るための組織を作ること。

そのためには、

  • ゼロから組織を立ち上げる
  • 米国企業とジョイントベンチャーを作る
  • 米国企業を買収する

という3つがある。このうち、まずは「ゼロから組織を立ち上げる」場合について。

この場合、最も大事なのが

トップを最初に雇用する

ということ。

アメリカの仕事は個人ベース。信用や評判が会社名で決まる傾向の強い日本に比べ、個人に依存する傾向が非常に強い。

もちろん、会社の信用がない、とは言わないが、「あの人がするなら」という、「who」が判断基準になる傾向が大いにある。

アメリカの企業では、新しいCEOが来ると、彼のそれまでの側近の部下がまるごとその新しい会社に来てしまう、というようなことが起こりがち。ゴーンさんが自分の部下を連れて日産にくるみたいな感じ。

全く同じことが、ごくミクロなレベルでも起こる。

特にシリコンバレーで優秀なエンジニアを雇うのは至難の技なわけだが、優秀なトップを引っ張ってくると、あとは芋づる式にその人の過去の部下などが集まってきて、みるみるうちに組織ができる。

「そういう優秀なexecutiveに来てもらうのは大変じゃないですか」

とよく言われるのだが、優れたエンジニア10人雇うのは、優秀なexecutive1人雇うよりもっともっともっと大変なのであった。

というか、不可能に近い。

探し出すだけでも大変。「シリコンバレーのエンジニア」といっても、かなり使えないレベルの人がうようよいる。そしてジョブマーケットにいる多くの人はそういう人材。(考えてみれば当然です。多くの会社が優れたエンジニアを欲しがっているので、そういう人材が大量に市場に溢れているはずがない。決していなくはないが。しかし、普通に募集をかけた場合の応募者のS/N比は超低い)。

そして、面接してオファーを出しても断られがち。まぐれで一人採用できても、つぎの人を取るのに手間取っているうちに辞められて、振り出しにもどる、とか。

「そんなハイエンドの人じゃなくていいです」

と思うかもしれないが、「普通のエンジニア」をとるのだったら、シリコンバレーに来る必要はない。「普通の人」でもシリコンバレー相場で高給。何度も言っているが、別にシリコンバレーだからと言って普通の人も優秀なわけではない。

というわけで、せっかくシリコンバレーで組織を作るなら優秀な人材が欲しいわけだが、それには、どれほど大変であっても、「まずトップから取る」というのが本当に大事なのであった。

エンジニア以外でも、「あの人が行くなら」ということがすべての業界で起こる。

「優秀な部下が行った会社に上司があとから行く」と言うケースもあるが、「上司」が芋づる式に連れてくる部下の量に比べると、部下がつれてくる上司は数が限られる。

とにかく、組織図は上から埋めていくのがアメリカの常識である。

一方でしてはいけないこと。それは、

決して「なんちゃってバイリンガル」をトップにしてはいけない

「なんちゃってバイリンガル」とは、言葉はそれなりに日本語も英語もできるが、あなたの事業を米国で立ち上げるのに適した業界経験・マネジメント経験がない人の事。

逆を考えてみて欲しい。あなたがいる業界で、日本でゼロから事業を立ち上げたいアメリカの会社がある。そのアメリカの会社が、ちょっと怪しい日本語が流暢にできるだけで、日本の業界知識もない人を雇う。その人を核にして事業が立ち上がると思いますか?無理でしょ?

逆も無理です。

「事業を立ち上げる」というのはそれはそれは大変なことなのだ。業界経験も、マネジメント経験も、さらにいえば、事業を立ち上げた経験も全部あって、それでも上手くいかないことも多々ある。いわんや、そうした経験のない人をや。

トップとして採用するのは、

「こんな素晴らしい人に任せれば必ずやバラ色の未来がひらけそうだ」

「こんな人が来てくれるとは、うちの会社も大したものだ」

と惚れ惚れするような人にすべし。そういう人すらまだ、うまく行くも八卦、うまくいかぬも八卦なのです。

そのような得難い人材で、さらに日本語もできたら、それは大変素晴らしい。素晴らしいが、めったにいない。というか、まずいない。

では「言葉の壁」をどうやって超えるか。

「通訳を雇う」または「トップを雇うためのバイリンガル人材を雇う」という二つの方法がある。

1.通訳を雇う

採用面接時点から雇う。雇用後は、日本とのやりとりにはすべて通訳をつける。フルタイムで雇ってもいいくらい。ニュアンスがわからないまま適当にやりとりを進めると齟齬が広がる。新しい事業をどうやって立ち上げていくか、というような複雑な意思疎通が必要な場合は特に。

「通訳でも伝わらないことがある」

と言う人もいる。もちろんそのとおり。でも、通訳がいないより100倍マシ、というか、もとがゼロだから無限大マシ。

「通訳のコストが・・・・」

などと心配するんだったら、そもそもアメリカ進出しない方がいい。高確率で失敗に至る「なんちゃって人材」を雇う方がずっと高コスト。

ちなみに、この「通訳を雇う」というのはすぐに実現出来ることなのだが、日本の会社が実際にやってるのを見たのは、某NTTが主催した複数社参加の日米テレビ会議で一度あっただけ。(韓国の会社の日本支社では、ちょっとした会議でも通訳を使っているケースがあった。)

「アメリカで事業をする」のは、「英語でビジネスをするという度胸試し」でも、「分からない言葉での冷や汗モノの会議の我慢大会」でもないのです。丁々発止の議論ができる英語力がない人はさっさと通訳を雇いましょう。

なお、通訳、というのも、分野別に違う人がいるので、きちんと自社事業分野を得意とする人を雇ってください。

2.アメリカのトップを雇うためのバイリンガル人材を雇う

まずは意思疎通できるバイリンガルな人材を雇う。1の通訳の役割を果たしつつ、米国会社設立やら、オフィス賃貸契約やら、もろもろのセットアップなどもこの人にしてもらえる。この人は、上述の「なんちゃってバイリンガル」でよいのだが、その人のミッションは、トップになることではなくトップを雇うこと。そして、トップを雇ったあと、その人と日本のトップとの間のやりとりを円滑にすること。

この手の人材は、組織の立ち上げ期に特に必要なので、その期間だけコンサルタントとして起用するという手もある。(←こういうのが私の仕事の一部でもある。営業だ。笑)。

それなりに米国トップと日本のトップの間のあうんの関係ができたあとは、上記1の「通訳を雇う」に移行することも可能。

===

この

「アメリカでの事業立ち上げでは、まずはスーパー優秀なトップを雇う」

ということがどれだけ重要かは、何度言っても言い過ぎということがないくらい重要。これをやる気が無いのだったら、アメリカで事業を立ち上げるための組織を作ろうなどと夢にも思わない方がいい。

「でも、日本から送り込めるのはミドルマネジメントで」

というのであれば、その人にアメリカでの「上司」であるトップを雇わせること。

先日のセミナーでもこれは一生懸命強調したつもりなのだが、そのセミナーを聞いた人と話していて、

「・・・とはいえ、やっぱりまぁ、うちの会社がいきなりバリバリのアメリカ人を採るというのもなんだから、まずは日本語のできる人の採用面接をすることになっていて・・・」

といわれたときは、かなりがっくりきました。

ユニークな事業で、シリコンバレー系VCから相当額な増資もしている日本のベンチャーで、世界進出の足がかりとしてシリコンバレーに支社を設立、という「好条件」が揃った会社なのに。

・・・しかし、なんとか立ち直って思うに、これは、「優秀なexecutiveを雇うためのゴール設定・報酬体系のありかた」とか、「優秀なexecutive候補に出会うための方法」という具体的な話をセミナーではあまり突っ込んでしなかったので、「優秀なトップを雇う」ということに現実味がなかったのかも。

ということで、この2点は、別途また書きたいと思います。

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