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3 月 31, 2009

マウンテンビュー市が失業者向けに野鳥狩を解禁

<エープリルフールのエントリーです。信じることなかれ。>

100年に一度の大不況ともなればスリリングなことがあれこれ起こるわけですが、なんとあのGoogleのあるMountain View市はShoreline Parkで、野鳥狩りが解禁されたというニュース。

Shoreline Parkは、Googleからも至近距離にあり、ゴルフ場もサイクリングコースもウィンドサーフィンができる巨大な池もある風光明媚な公園。ところが最近、カナダからの渡り鳥であるところのCanada Gooseが「暖かくて住みやすい」と年中住み着いて繁殖。今では800羽にもなり公園は糞だらけで困った事態に。(ちなみに、Canada Gooseは、1月にあったニューヨークのハドソン川緊急着陸事故の原因となったといわれる鳥。羽を広げると2メートル近くなる巨大なガチョウ。)

というわけで、Canada Gooseの数をコントロールし、飢えた市民の胃も満たす、という一石二鳥の作戦に出たわけです。
Canada geese
Shoreline Parkのバイクパスにて。かなりおいしそうです。

さらには、小ぶりながらCanadian Cootsという鳥もこの公園では大繁殖、Canada Gooseに勝るとも劣らない困った存在になっている。なんと冬場は4500羽もいるらしい。いやはや。

CanadianCoots3
これでもかというほどいるCoots


CanadianCoots
ゴルファーも困っている

ただし、人間もたくさんいる公園ゆえ、狩で許される手段は素手とロープのみ。

「ボーイスカウトで習った投げ縄がやっと役に立つ」

とばかりに、家でロープ投げを練習する人も多数おり、Costcoでは「投げ縄セット」が発売される人気振りとなっている4月1日的なシリコンバレーでした。

<エープリルフールのエントリーです。信じることなかれ。>

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3 月 30, 2009

アメリカ人は謝るか謝らないか

村上春樹の小説の登場人物のように話す、で「アメリカ人は謝らない」ということを枕詞的に書いたら、私の周りにいるのがたまたま謝らない人なんじゃないの?という類いのコメントをいくつか頂いたので、以下もう少し丁寧に書きますね。

1)アメリカでも、カスタマーサポートなどで、訓練を受けている人はこれでもかと言うほど謝ることもある。(そういうマニュアルになってるらしい。電話がホールドされている間に、1分に1回とかわざわざホールドを解除して人間が「お待たせして本当にごめんなさい」みたいに言ってきて「いや、いいから、問題解決に勤しんでください」と思うことも。サポートの方はインドに住むインド人の可能性も高いが、マニュアルはアメリカ製ですよね、多分。)

2)そうでなくとも、日常生活の中でちょっとしたことを「失礼しました」と謝ることに関しては、日本人より礼儀にかなっている。ほんの軽く触れただけでも丁寧に謝るのが普通。(ただし、I'm sorryとは滅多に言わない。Excuse meとか。とはいうものの、そもそもI'm sorryそのものが、日本語の「ごめんなさい」と、「このような事態になったことを残念に思います」の両方の意味があり曖昧なんですが。)

3)しかし、本質的な問題を問われるかもしれないシビアな局面では滅多なことでは謝らない。(シビアな局面の例:仕事での交渉、夫婦の間の会話(笑))

4)とはいうものの、「問題を解決しようとする行為」に関しては、アメリカ人の方が具体的かつ有益な行為を実現しようとする傾向が強い。たとえば、私のスタバ体験:

たいして混んでいないスタバでオーダーした後10分くらい待って

「まだこないんだけど、私のオーダーはまだこれから?」

と聞きに行ったらバリスタ嬢は

(あ、しまった)

という顔をしつつ

「Oh」

とかいって、ささっとドリンクを作り、さらに「エスプレッソドリンク無料券」をにこやかにくれた。

「もうっしわけございませんっ」という平身低頭ぶりはかけらもなかったが、「無料券」できちんと落とし前はつけてくれたのであった。

仕事とかでもこういう「言葉では謝らなくても、本当に自分が悪いと思ったらきちんと代償行為をする」ことが多いかなと思うんですが。

なお、私は、「謝ってもらっても何にもならない。そんなことに労力を使っている暇があったら、その間に問題を解決して欲しい」と強く思うタイプなので、アメリカが快適です。はい。

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3 月 27, 2009

日本のためではなく日本人のために何かをするんじゃだめなんでしょうか

JTPAシリコンバレーカンファレンスを受けての感想。私も設立当初から関与しているJTPAというシリコンバレーの日本人NPOが、シリコンバレーで働くことについてさまざまな角度から話をする丸一日のカンファレンスを実施、120人ほどが参加した、というもの。前後で何十件もの会社訪問や学校訪問、その他もろもろのイベントが催され、なかなか活発であった、、、と思う。

実はカンファレンス当日、私は自分の話す最終のコマしか行かなかったので、他のセッションで何が話されていたか皆目わからないのだが、聞いていた主催者側であるJTPAの人たちが異口同音に言っていたが

「『愛国心はないのか』『日本を救うために何をすべきか考えているか』という類の参加者からの質問が複数あった」

ということ。で、主催者側の人たちの中は、かなり反発を感じた人たちも複数いた模様。

というのも、JTPA側はみなボランティアでこのカンファレンスを開催したわけで、それは

「同胞であるところの日本人に貢献したい」

と思っているからであって、それだけ一生懸命やったのに「愛国心はないのか」なんていわれると、例えそれが一部の人の意見だとはわかっていても、なんかもうがっくりきますよね、普通。

(私は自分の分のセッションの話をするのと、翌日家でブランチを開催しただけで、まったく運営にかかわっていないので、べつにじっと手を見たりはしないのだが。)

「国をよくする」以外にも

「どうやったら日本の会社はよくなるのか」

という質問もちらほらあったようだ。私を含め、主催者側の多くの人は

「不満があったら、自分の環境が変わって欲しいと夢想しているのではなく、まず自分が変わるべき。転職するのもひとつの『変化』。自分すら変えられない人に、他のものを変えられるはずがない」

と思っている。

(私がカンファレンスで話した際に例としてあげたのは、「飛行機で、非常事態には酸素マスクが降りてくる。着用の注意として『例え自分の子供が横にいても、まず自分がマスクをつけろ。自分が気を失ったら、もう子供を助けることもできない』といわれる」というもの。)

だからこそ「シリコンバレーで働くという変化も面白いよ。(万人向けじゃないが)」という情報発信をするために、手弁当でこのカンファレンスを実行したのだと思う。

ま、とはいうものの、「JTPA側の人はこう思う」とまで言うと言い過ぎで、ま、いろいろな思いを持つ人がいると思うので、以下は私の意見だが

「『集団』を作っているのは『個人』である。その『個人』がそれぞれ変化していくことで、『集団』も動く(かもしれない)」

と思っているわけで、「まず集団が動くと、その中にいる個人も右に倣えで動く」という計画経済的なのは嫌いだし、(少なくとも先進国になってしまった後は)うまくいかないと信じている。

冒頭の「日本のために」という類の質問をされる方の頭の中では、「日本国」というのは、中のヒトであるところの「日本人」とは乖離した、別個の上位システムとして認識されているのではないかと思うが。

そして、時には、「所属する組織」を去る、ということが、その組織を改革に導くために一番いいことであることもある。

まぁ、卑近な例で言えば、どんなに客の扱いが悪いレストランがあって、それに不平不満を言っていても、みんながそのレストランに行き続けている限りは何も変わらない。が、客足が遠のけば、レストラン側も必死の努力で変わろうとするものである。

余談ですが、そういえば以前、日本から企業派遣で留学中の方に

「どうやったら日本も転職が容易な社会になるでしょうか」

と聞かれて、

「うーんそういう社会にしたいんだったら、まずあなたが転職してみたらどうでしょうか」

と答えたことがありましたが。

まずは隗より始めよ

(ちなみに、「隗より始めよ」の元の逸話はかなり面白いので、興味のある方はグーグルしてみてください。)

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3 月 18, 2009

村上春樹の小説の登場人物のように話す

うちのダンナはアメリカ人なので、滅多なことでは謝らない。私の行きつけの美容師さんは日英バイリンガルのショージさんという日本人なのだが、ショージさんいわく

「アメリカ人にとっては、I'm sorryっていうのは、きっと4-letter wordと同じくらい、言ってはいけないタブーなんですよ」

4-letter wordとは、fxxkとかsxxtとか、そういう良い子の皆さんが真似してはいけない言葉。

もとい、ダンナであるが、普段私の話しを全く聞いていない。

先日もレストランで向かい合って食事中、わたしが1分間くらい何かを滔々と説明していた時のこと。ダンナはフンフンと相づちを打ちながら私の目を見て話しを聞いていたが、その目が死んでいる。これは聞いてないな、と思った私。普段はそこで話しをやめるのだが、その日はちょっと意地悪に

「かくかくしかじか、と私は思う訳だけど、How do you think?」

と聞いてみた。話しを聞けない男、絶体絶命のピンチである。想像通り、間髪を置かず死んだナマズのようだったダンナの目に光が戻ってきた。質問の覚醒効果は偉大なり。

(どうせ聞いてなかったはずだが、どうやってこの窮地を乗り切るのだろうか)

と興味津々の私。

するとダンナは、堂々と以下の通りの発言をした。

「I wish I were listening to you.  It must have been very interesting」

・・・さすがアメリカ人なり。

「悪い、聞いてなかった」

でもなければ

「ごめん、もう一回言って」

でもない。かといって

「うるさい、いちいち聞くなよ」

と逆切れするわけでもない。

で、このダンナの発言を和訳するとこんな感じでしょうか。

「君の話しを聞いていればよかったのに、と思うよ、ほんとに。きっと、とても面白い話しだったと思うんだ」

・・・・おまえは村上春樹の小説の登場人物か。実際村上春樹の文章は、英語をそのまま和訳したような感じなわけですが、会話の奥にある登場人物の「魂」も、謝らない、逆切れしない、他人事のように理路整然と感想を述べる、というアメリカ人の魂が宿っているんだなぁと感心した次第です。

<追記:アメリカ人だって謝るぞ、というコメントを複数頂いたので、その点について、アメリカ人は謝るか謝らないか、でもう少し詳しく書きました。>

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3 月 12, 2009

ベンチャーシーン的観光スポット

シリコンバレーでベンチャーのヒトとかベンチャーキャピタルのヒトが沢山いる場所。一日かけて巡ると、「犬も歩けば」で何かいいことがあるかも。すくなくとも盗み見、盗み聞きでいろいろわかる、かもしれません。

あまりに田舎臭いのでびっくりするかもしれないが、ここが由緒正しいベンチャーキャピタリスト御用達朝ご飯場所。山の中のドライブインみたい。

<朝のドライブ>

朝ご飯を食べ終わったら、フリーウェーの280にのってSand Hillで降りてStanford大学がある東に向かい、左に曲がる道があるごとに入ってみましょう。奥にある地味な低層の建物にメジャーどころのベンチャーキャピタルが。Kleiner PerkinsSequoiaMenlo Ventures (←最近めっきり名前を聞かないが)などなど。それ以外にもたくさんあるので、こちらのSand Hill RoadにあるVCリスト参照。

もうちょっとSand Hill Roadを進むと右手がStanford大学。さらに行くとPalo Altoのダウンタウン。

イタリアン。チェーン店ではあるが、Palo Altoのダウンタウンの中心的立地。

<腹ごなしの散歩>

Il Fornaioを出て左へ行き、すぐUniversity Cafeを左折してちょっと行くと左手にベンチャーキャピタルのAccel Partnersがある。

University Avenueをさらに進んでちょっといった右手。開放的で天井も高く昔からお茶ミーティングのメッカ。

昨日のエントリーで書いた、ドイツから来たファウンダー氏とあったのがこちら。いつも混み合っているが奥の方が穴蔵的に快適。Wifiも快適なので多くがMacBookを広げて何かしている。起業の相談をしている人も多く、昨日も外のテーブルでは「いつどんな増資をするか」という相談をしているグループがいて、中の方には「XYZ(会社名かサービス名)makes money」という頭出しのプレゼンページを覗き込みながら喧々諤々議論している人たちがいた。University Cafeよりカジュアル感が強く、年齢層低し。

(ベンチャーシーン観察のためのお茶は2−4時くらいがお勧め。)

<さらに散歩>

Coupa Cafeを左に出て、角を左に曲がりちょっと行ってHigh Streetとの交差点の手前左がFacebook本社。University Avenueの反対側の建物のどれかが初期のGoogleが入っていたビル。

車で5分ほど走るとGoogle発祥の家もあります。

なお、「普通の人が普通にご飯を食べたりお茶してただけ」という苦情は当局は関知しませんので悪しからず。

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3 月 11, 2009

ドイツからやってきたハイブリッドバイク会社のファウンダー

eRockit Stefan Gulas
シリコンバレーに来ずともアイデアはいろいろ出てくるはず、でも本当に興味があるんだったらやっぱりシリコンバレーに来ないとね、という話しが前回、前々回のエントリーであった。

そして今日はそれを裏付けるような人に偶然会ったのでご報告。バイクと自転車のハイブリッド、ErockITで起業中のStefan Gulas。Palo Altoでお茶してたら、偶然隣に座ってたのが彼。ドイツでプロトタイプまで出来たので、本格的に市場に出すためにシリコンバレーに会社を移すべく、その準備に来たのだそうだ。

うーむ、あまりに昨日、おとといのエントリーとぴったりで、まるでとってつけたようだが 。

もとい、どんなものかはこちらのYouTubeビデオを見てください。

日本にも電動自転車はいろいろあるが、あの手の「免許のいらないママチャリ」ではない。人力を50倍まで増幅、最高時速80キロもでるので、ちゃんとバイクの免許がないとダメ。

(追記:「ハイブリッドはプリウスみたいなガスと電気ではなく、「自転車とモーターバイク」、つまり「こぐ力と電気」のハイブリッドです。)

重さ110キロ、ギアは一速、リチウムイオンバッテリ搭載、一回の充電で70−80キロ走行可能なり。

かなり笑えるのが

「スピードの変化はペダルをこぐ速度で決まる」

というところ。こぎ始めは普通の自転車風の動きなのだが、ぐいぐいとこぐうちにバイクの加速を見せ、80キロまで出るわけです。80キロでもひたすらこぎ続けないといけない。

見た感じ「自転車に乗った地味なスーパーヒーロー風」。(つまり、「自転車」という一見地味になモノに乗っているのに、急加速してヒーロー化する。)

ファウンダ−氏は、ドイツでは路上を走る許認可も取りつけ、ヘルメットにカメラをつけてあちこち走りまくったとのことで、いろいろ面白い映像を見せてもらった。

周囲の車の運転手の中には、驚愕のあまり信号待ちでわざわざ車を降りて「これなに?」と聞きにくる人も。バスの運転手は、信号が青になっても話し続けていたり。(ドイツ人ってルール遵守じゃなかったのか?)

開発には3年半かかったそうで、ついに公道を走れるようになったとき、アウトバーンに入るところで奇声を上げる、というビデオも見せてもらった。3年半の夢が実現し、死ぬほど嬉しくて雄叫びを上げたんだそうである。

ちなみに、現在ベルリンに12人のチームがいて、これまでは全て自己資金・・というか「パパ資金」だそう。お父さんがルーマニアでBMWの代理店のチェーンを立ち上げたとのことで、そのバックアップでここまで来たそう。

「ドイツ人は新しいものなんか買わない。新しいアイデアで起業する、なんて言っても『全然ダメ』というネガティブなことを言う人しかいない。ここから先はシリコンバレーじゃないとね!」

とのことでした。

「でも、ビザとか意外に大変だけど大丈夫?」

と聞いたら

「全然問題ないっ!Schwarzeneggerだってオーストリア人だけどちゃんと来てるしっっ!!だから僕も大丈夫っっ!!!」

と超能天気。さぞやベルリンでは浮いてるんだろうなぁ・・・。(ちなみに、ドイツで工学系のマスターまで取っているそうで、さらにはパパ資金もあり、しかもプロダクトも出来ているので、確かにビザ的にはハードルは低い。)

昨日はLos AngelesでJay Leno(超有名芸能人)のGarageに行ったのだそうだ。

「アポなしっ!直撃っ!ガレージのマネージャはスイス人だったっ!」

とのことでした。

「ドイツでアポなし訪問なんてしたら大変だよっ!」

・・・アメリカだってちょっとは大変だよ。

でも、やっぱり当地はみんな新しい物好き。カフェでも、私の反対側の隣のカップルが興奮して彼といろいろ話しをしていて、女性の方が

「Buck'sのオーナーと友達だから紹介してあげる」

と一生懸命言っていた。Buck'sは、Palo Altoからほど近いWoodsideというところにある、ベンチャーキャピタリストのブレックファストミーティング御用達で有名なレストラン。オーナーはもちろんみんなと知り合い。

というわけで、こういうのが「シリコンバレーに来ないとわからないこと」なわけですが、でも「シリコンバレーに来る前にプロトタイプまで作ってきた」からいろいろな人と話しが弾むんですよね。

ちょっと微妙なのは、ErockIT、「ベルリンでハンドメード」と銘打っているだけあって、1台3万ドルだそうです。うーん、誰か原価30万円くらいで作ってあげられないでしょうか?

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3 月 10, 2009

シリコンバレーは来ないと享受できないメリットが沢山あるが、来なくてもわかることが沢山あるー2

さて、昨日は「シリコンバレーは来ないと享受できないメリットが沢山ある」ことについて書いたのだが、今日は後編で、「来なくてもわかることが沢山ある」。

インターネットも発達、腐って発酵して香しくなるほど情報がオンラインにあり、しかもTwitterやらチャットやらビデオコンファレンスやら、リアルタイムの情報まで入手できて、さらにはSNSで世界の人々と人間関係まで構築できるという今日この頃。本当に近所にいることに意味があるのか?結論から言うと、「最後はやっぱり会って話せる環境がモノを言うが、しかしかなりのところまではオンラインでイケる」。

「シリコンバレー発世界に羽ばたくインターネット事業を立ち上げたい。ついては、シリコンバレーに住めばシリコンバレーがわかるはずだから、まずは移り住んでからどういう事業を起業するか考える」

「シリコンバレーの会社で働きたいが、まずはシリコンバレーに住めばシリコンバレーがわかるはずだから、まずは住み着いて職探し」

という類いのことをいう方に時々会うのだが、うーむ、と思うのであった。(特に後者はビザもないのでまずあり得ないのではあるが・・・・)。聞いてみると、日本語で紹介されている情報以外全然知らない、という状態のことがほとんど。

冒頭で書いた通り、オンラインに情報は莫大にある。特にインターネット関係ともなれば、どんな会社が起こっているか、どのベンチャーキャピタルがどのベンチャーに投資しているか、どんなサービスが人気か、どんな技術がトレンドか、などなど本当に目が痛くなるくらい情報が溢れている。まずはそれをフォローするだけで、少なくともよさげな起業のアイデアを作るくらいまでは行けるのではなかろうか。

もちろん、それをどうブラッシュアップして行くか、どうやって事業を大きくするか、というところでは昨日書いたような理由でシリコンバレーにいる意味は多々出てくると思うのだが。

逆に、シリコンバレーに住んだだけでは、中々シリコンバレーのことなどわからない。インサイダーのネットワークに入るためには、自分も相手に与えるものがないといけないのは世界共通。「まずは勉強しにきました」という状態だとかなり厳しい。

(なお、「何も知りません。まずは勉強しにきました」が大いに奨励されるのが留学。学校で学ぶことのみならず、他の学生も似たような境遇にあったり、そう でなくともせっかくの学生生活ではなるべくたくさんの人と知り合ってみようという人も多い。なので、社会勉強的にも全くゼロからでOK。)

いばらの道を行くのが好き、だから当たって砕けろでまずシリコンバレーに住んでみる、という方を止めはしないが。

ではあるが、日本に居ながらにしてまずはインサイダー風知識を空気のように呼吸してみたい方には:

Techcrunch: 言わずと知れた。。。
VentureBeat:ゴミ記事が少ないと思う
Valleywag:「ベンチャーゴシップサイト」というシリコンバレーにしかなさそうなもの
Silicon Alley Insider:ニューヨークのサイトだが、まじめに旧来メディア的深堀りをしている

他にもGigaOMとかMashableとかいろいろありますが。全部読むのも大変なので、RSSでタイトルだけ眺めて面白そうなのだけ読んでも良いし、一つだけしっかり読んでも良いと思う。(一つだけ、の場合ValleyWagにするとちょっと偏るが、それ以外はどれでもお好みで)。

あと、情報収集ではなく、英語そのものも「アメリカに住めば自然と上手くなる」と思っている人も多いのだが、大人になってからだとそうは問屋がおろさない。いつまでも片言のまま10年以上住んでいる人も沢山います。日本のドラマを見て、日本の本や雑誌やサイトを読んで、日本人とだけつき合って、、、という「出島状態」でいつまでも過ごせてしまうので。

その一方で、気合いさえあれば、日本にいても、かなりの英語力までは行けるはず。読む方を上記でせっせと慣らすのに加え、聞く方のブラッシュアップ用にはこんな英語のpodcast, videoサイトがある。(聞けさえすれば、話す方がつたなくてもそれなりに会話は成立する)。

Venture Voice : アントレプレナーインタビューのPodcast。スバラシイ顔ぶれ
IT Conversations : IT系インタビュー、セミナー等々が大量にあるPodcast。
TED : シリコンバレーからはちょっと遠くなるが知的興奮に満ちた講演のビデオの山。あまりに珠玉で、これを見てるだけで人生が終わってしまう懸念もあるとかないとか。Bill Gatesのもある。 (TED=Technology, Entertainment, Design)

ついでに、住宅事情、求人事情からデート事情までなんでも掲示板のCraigslistもちらりと覗くと、臨場感が増すかも。ローカルの人たちの中には仕事から彼女から車から友達から、全てをCraigslistで調達している人もいる。

***

とはいうものの、シリコンバレーに住む効用としては、

「せっかく海を越して引っ越してきたのに全然インサイダー情報も入って来ないし英語も上手くならん。まずい!」

と背水の陣で気合いが入る、というのは大いにあるかもしれませんが。本当は来なくてもわかるんですけどね。

(ちなみに、シリコンバレーに長く住んでる他の日本人の人たちで「来なくてもわかるから」という私の意見に同意する人には会ったことがない。なので、非常に局地的な意見であることはご理解あれ。でも、今既に根を下ろしている人たちが来た頃と、今とでは、インターネット(とインターネット上のコンテンツ)の充実ぶりが全然違う、と私は思うので、「来なくてもかなりわかる」という意見を強硬に持っているのでありました。)

参照:Economist.com "The Value of Spillovers"

But it appears that communications technology is, so far at least, a complement to rather than a substitute for face-to-face contact. Technology has enabled blogging, and it helps bloggers to know where their blogging colleagues are. That information at hand, bloggers then co-locate in coffee shops and bars, where they hash out and improve their arguments, eliminating wasteful posts and generating new publishable material. What works for blogging works for other knowledge-based industries as well. We may not, as economists, have a firm grasp on the mechanics of such spillovers, but we can be sure they're constantly functioning--and energising many centre cities in the process.

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3 月 09, 2009

シリコンバレーは来ないと享受できないメリットが沢山あるが、来なくてもわかることが沢山あるー1

前回の「シリコンバレーで働く方法」は、「日本人がシリコンバレーで働くのに一番確実な留学→就職という方法をとる人が少ないね」というエントリーだったのだが、「そもそもシリコンバレーにどうしていかなきゃならないんだ」という思いがけない角度からの突っ込みコメントが複数きた。私は「相対的」に「留学→就職」比率が少ないということを書いたのだが、「絶対数」に関してのコメントが来た訳です。それも含めてなんだか沢山コメントいただいたので「続きエントリー」です。

最初に言っておくと、「どうしてシリコンバレーに行かないといけないんだ」という問いに対する答えは「いや、全然来る必要ないし」。面白いと思う人、来たいと思う人だけくればよいのではないかと。でも、何が面白いかは伝えたいと言うのがこのブログの基本の主旨だったりします。

というわけで続きエントリーその1の今日は「シリコンバレーに来ないと享受できないメリット」。

一言で言うとnetwork externality。ネットワーク効果、またはネットワーク外部性と訳される。奈良産業大学のサイトより

ネットワーク外部性とは、「同じ財・サービスを消費する個人の数が多ければ多いほど、その財・サービスの消費から得られる効用が高まる効果」をさします。たとえば、FAXが世の中に1台だけしかないとすると、その FAXは全く機能しません。利用者が少なければ、FAXを利用する価値は乏しいと考える人も多いでしょう。逆に、FAXの利用者が増えれば、通信できる相手が増えるので、それだけ FAXの価値が増すことになります。FAXそのものの性能とは無関係に、利用者の数に依存して価値が変化するのです。

Skypeを世界で一人だけがインストールしても使い物にならないが、100万人くらいがインストールすると、おお、こりゃ便利!となる。Skype自体の機能は変わってないので、大勢が使うというのは「製品の外側」にある変化な訳です。だからexternality。

で、シリコンバレーには人材のnetwork externalityが働いているのであった。いくつかあって、

1)採用候補となる人材の多さ

引っ越ししなければならないほど遠くの会社に転職するのは大変だが、同じ家から通える会社だったら気軽にできる。ということで、同じような人材を雇用する雇用主がたくさん集まっていると、会社は採用がしやすい。

というわけで、技術系の会社がシリコンバレーに集まっているわけだが、もっとローカライズされた傾向もあって、例えばIntelの周りには半導体ベンチャーが多い。Intel社員に夜バイトに来てもらう、そのまま転職して正社員になってもらう、てなことが容易なので。

(これは逆向きも真なり。「転職先の会社が沢山ある方が、働く側も住んでて安心」となる。)

2)エンジェル投資家の豊富さ

エンジェル投資家は大抵自分も起業して成功した人なので、技術も起業家の気持ちもよくわかる。過去の成功の蓄積のかいあって、特にここ10−15年くらいエンジェル投資家の層が増してきた。

3)投資家と非投資家が近くにいることによるコミュニケーションの円滑化

ベンチャーキャピタルは、軽やかに車で行ける範囲の会社への投資がメイン。投資先の管理・指導といっても客観的に点数でするものではなく、会って話して臨機応変に対応していかないとならので。どんなにいい技術を持った ベンチャーでも遠かったら投資しない、というVCは沢山ある。

4)知恵の伝播の容易さ

属人的に蓄積する知識が、face to faceで会えることで伝わりやすい。増資の際の交渉の仕方とか、採用の仕方とか、プロダクトマーケティングのあり方とか、いろいろ。

5)アイデア共有の容易さ

アイデアは多くの人に共有されることにより、より価値が増す、という不思議な財。上記の4の延長線上にあるのだが、「近く出会えることでアイデアの共有がより容易になる」ということがある。(特にまだ秘密に近いアイデアでは、メールで文章にして出したくはないが、会って話す程度には開示できる、というレベルものが多々ある。)参照:Paul Romer

***


というわけで、

「アーラ不思議、自分個人の能力は変わってないのに、シリコンバレーに来るだけで価値が上がる!」

ということが人によってはあり得る訳です。通信のnetwork externalityはわかるけど人のnetwork externalityはピンと来ない方は、自分が電話機とかファックス機になったところを想像してみてください。え、余計わからない?ううむ。

もとい、locationによるnetwork externalityは、「先行者利益」とでもいいますか、「先に集積したもん勝ち」。

(人間に依存するので、イノベーションに必要とされるスキルが大幅に変わる時が、新しい場所に優位性が移るターニングポイントになります。)

前エントリーのコメントでshiroさんがリンクしてくれたPaul Grahamのエッセーの和訳もよろしかったらご参照あれ。

「シリコンバレーが出来るには」 http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20060802
「ベンチャーがアメリカに集中する理由」 http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20070204
「なぜスタートアップハブに行くべきなのか」 http://www.aoky.net/articles/paul_graham/startuphubs.htm
「シリコンバレーは金で手にはいるかも」 http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20090301

***
次回は「来なくてもわかることが沢山ある」の方に行きます。

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3 月 02, 2009

シリコンバレーで働く方法

Pasonatechのサイトで連載している「働けシリコンバレー」。基本的には、シリコンバレーで働く日本人にインタビューしたものを連載している。時々そうじゃない回もあるのだが。

最新号は福澤伴子さん。今回の特徴は、「アメリカの理系大学院に留学して、卒業後に出る『お試しビザ』であるところのoptional practical training (OPT) visaをゲットして、テクノロジー系企業に就職する」という王道のキャリアの人がついに登場したこと。これが一番楽にシリコンバレーで働く道なはずなのだが、このインタビューを始めて、そういう日本人はなかなかいないということがわかった。

近いところでは、VMWareで働く吉澤さんのインタビューがある。カリフォルニア大学サンタクルーズ(UCSC)校の分校がシリコンバレーにあり、ここに9ヶ月通って大学卒業と同等の証書をもらい、OPTビザを取って就職したそうです。

しかしそれ以外の人は「たまたまシリコンバレー転勤の話があったので、それにのって」とか「知り合いが起業するのでそこに参加」みたいな再現性の低い方法で来た人が多い。

中国人とかインド人は、上述の

「アメリカの理系大学院に留学して、卒業後に出る『お試しビザ』であるところのoptional practical training (OPT) visaをゲットして、テクノロジー系企業に就職する」

という王道がザックザックといるわけだが、日本人はそうではないのであった。

なぜか。

思いつくのは、OPTを取った二人はいずれも名前に「澤」の文字が入る、つまり澤が苗字にあるのが重要だ・・・・というトンデモではなく、

  • アメリカの理系大学院に自費留学するようになったのは今30歳以下くらいの人たち。ゆえに、まだそういう人の母集団が少ない(それ以上の人のバルクの留学生は企業派遣なので、卒業と共に日本に帰ってしまう)

というのと

  • 今シリコンバレーにいる日本人エンジニアにはプログラマが多いが、スーパープログラマにとっては大学で勉強するのは馬鹿馬鹿しいので、学歴から縁遠い道を歩んでいる

という二つの理由かな、と。(後者は、むろんアメリカ人だとそういう人はあちこちにいるのだが、外国人では、そういう人がビザを取るのは大変。なので、数の上では「理系大学院組」が圧倒するわけです。)

さらに言うと、「日本国内で王道的バックグランドと見なされるメインストリーマーは、日本を離れない」ということもありますね、多分。(このアタリが、低学歴の親を持つ東大生はシリコンバレーに行く、というのにも現れているのかもしれない)。

とはいうものの、最近は日本でも「海外の大学に行く」ための予備校とか高校が流行ってるみたいなので、10年後にはかなり違った様相を示している可能性はありますが。

余談ながら、何度も言っているとおり、アメリカの理系大学院は基本的には自己負担なしで卒業できるシステムになってます。とりあえず最初の半年~1年分なんとかなれば、あとは生活費もらいながら学位が取れるケースが多いのでぜひどうぞ。

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