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11 月 30, 2008
シリコンバレーで家を建てるのはオタク
さて、我が家の建替えもそろそろ終盤に近づいてきた。しかし、ここにきて新たな伏兵が。それは階段。スチールでできたスカスカの階段をドンと後付で入れる、というものなのであるが、すぐできる、と豪語していたコントラクターの自信は嘘で、実は誰もできる人がいないので、今から再度設計・業者探しから始まることに。まぁあと3ヶ月くらいはできないと見た。
そんな中、常日頃から目をつけていた近所の建設中の家を観察しに。
我が家はコンテンポラリチックな作りである。しかしながら、カリフォルニアでは、「スペイン・コロニアル風」とか「トスカーナ・ビラ風」が主流。
なので、コンテンポラリ風な家があると、どんな部材を使ってるか、とか、デザインのディテールなど、興味津々で観察しに行くのでした。今日も建設中の家の入り口でどんな窓とドアを使っているか近寄って見ていたら、オーナー家族がやってきた。ちょっと気まずいが、自己紹介。
この家は「スチールでできたスカスカな階段」があったので、
「これは!」
と思っていた我々はすかさず
「どこの業者で作ったのか?」
と質問。すると、「ゼネコンは自分」と豪語するオーナー氏がとうとうと説明してくれた。
「スチールの基本構造はオークランドにあるこの会社、スチールとワイヤでできた手すりはまた別のこの会社、ステップ部分の木はこういうのを使ってうんぬんかんぬん。こうすれば1万5千ドルでできる。全部をお任せで一社に頼むと5万ドル超だ」
階段が一番手間取って、すでに6ヶ月もかかっているが、これができれば家全体が完成、と。(工事完成間近に階段を作り始める我が家はどうなるのでしょうか、というのはさてはおきつ。)
この家は、デザインはロサンジェルスで主に商業建築を手がける建築家に依頼したとのことで、90度以外の角度をあちこちでつかいなかなか素敵。して、建築はオーナー氏が自らゼネコンとなり、下請け業者を駆使して仕上げた、と。
ちなみに、これ、ものすごい大変です。大変だからゼネコンという職種が成り立つわけだな。
しかも、単に図面どおり仕上げるだけなく、隅々までものすごいコストカット努力が払われている。
たとえば、IKEAのクローゼット用のドアがあちこちで使われていたり。(ステンレススチールのフレームの全面に曇りガラスを張ったデザインのもので、実は「安価にハイエンド風デザインを実現できる部材」としてコンテンポラリな家についてのオンラインフォーラムで絶賛されている。私は微妙に好みでないので使いませんでしたが。)
パウダールームひとつとっても、トイレから洗面台、蛇口等々、Philippe Starckデザインで統一されており、定価で買ったら6000ドル+だが、eBayで掘り出し物を探しまくって2000ドル以下で仕上げた、と。
話を聞きながら、
「この人、もしかして本業もゼネコン?」
と思ったのだが、実はスタンフォードのバイオエンジニアリングの教授でした。わははは。でも多分過去1年間くらい、彼の本業は自分の家を建てるほうだったと思う。(それくらい時間をかけないと絶対無理)。
ちなみに、この「突然訪問インタビュー」は我が家の建て替えでは欠かせないツールとなっている。そもそも、建築家選びも、これまたコンテンポラリ風の最近建った近所の家のドアを突然ノックして、
「建築家誰か教えてくれ」
と聞いて見つけた。この家も、ダンナさんが、アジアへの出張が多いのを利用して、中国・シンガポール・日本などあちこちで最安値の部材を買いまくり、中国人のコントラクタをしばきまくって、ハイエンドの仕上がりからは信じられない低単価を実現した、という家であった。
どちらの家でも、突然ノックしてたずねた我々に懇切丁寧にいろいろ教えてくれた。なにをどうしたらどうコストカットできて、誰にどう頼めばいいか、とか。自らの叡智を結集した血と汗の涙の結晶のノウハウを人に開示したい、という欲求もあるやなしや。
いずれにせよ、
「コンテンポラリな家のオーナーは、コンテンポラリな家を建てるためのさまざまなワザをとことんまで追求しており、聞けば懇切丁寧にいろいろ教えてくれる」
ということがわかったのでありました。
それにしてもみんな入れ込みようが普通でない。
思うに、シリコンバレーで自ら家を建てよう、なんていう人は「のめりこみ体質」のオタクしかいないんじゃないかと。
そもそもすでに建った家を買うのが一番楽チン。いくらでも既存の家があるなかで、敢て自分で家を建てる、というところで、オタク的野望でいっぱいなわけです。(素敵な中古が多数流通してますが、どうしても新築がいい、という人には業者が建てた新築の家もあります。)
その上、「スペイン・コロニアル風」とか「トスカーナ・ビラ風」が一般的な中で敢てコンテンポラリにするというのは、「こうしたい」というデザイン的野望、「これはいや」という強い嗜好がありまくり。
そして建築というのは、前にも書いたが、お金をかけようと思えば無限にかけられるわけで、「予算内で最高にスバラシイものを」と思うと、自ら時間をかけて微にいり細を穿ったリサーチを重ねて、コストあたりのリターンを最大化しなければならない。というか、したくなってしまう。
しかも、建築の神様は細部に宿っているので、どんな素敵な部材でもちょっとした施工の仕方で台無しに。望んだイメージを具現化するには自ら現場監督もしないとならない。(タイルのエッジの仕上げとか、目地の色とか、いろいろ。ちょっと違うだけで、頭の中でバッハのトッカータとフーガが鳴り響くぐらい違うものになってしまう。我が家もすでに5箇所くらいで圧倒的なトッカータとフーガが響いてますが、まぁしかたないわな。)
というわけで、我が家も含め、シリコンバレーでわざわざ自分で家を建てる、またはメジャーな改築をするのはオタクだけですよね、というお話でした。
前書いた、豪邸に住むためにどこまでするか、も著しい情熱を燃やしてコストカットしまくって豪邸を建てる人の話だが、こちらは「トスカーナビラ風」でございましたので、何風であっても大変なことに変わりはないのかも。
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11 月 26, 2008
Seagateラッププロモーションビデオ
笑った。サビが"1.5 terabytes, stack the memory to the sky"という、おごそかなまでにコンピュータオタクなラップソング。ディスクドライブを毎年1兆円以上売るSeagateのviral CMなり。「パーミッションが変だぜ、とサポートのDevonに言ったらさー、プロクシサーバ見たかよって・・・」みたいな歌詞が延々続きます。
そういえば、Appleの「PC対Apple」の宣伝って日本では受けなかったと聞きますが。
「トレンディなカジュアルを着こなしたApple君と、かっ こ悪いスーツのPCおじさんの対決」
というCMですが、
「トレンディなカジュアルの、シックでクールなギーク」
というイメージ像が日本にはないから対比が成立しなかった、 と聞きましたが真実やいかに。
このSeagateのビデオも、日本では「なんのことやら」って感じかもしれませんが。
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11 月 25, 2008
Blade Runnerに思う技術の進化速度
最近Blade Runnerを見た。もう数え切れないほど見ているのだが、もともとは1982年の映画。で、久しぶりに見て時代背景にちょっとショックを受けた。「未来物SF」で、2019年のLos Angelesが舞台。で、2016年ごろに作られたレプリカントが登場する。レプリカントは、DNA操作によって作られた業務用人造人間。「200キロの原子材料を素手で運べる」といった能力を持つが、感情は持たない。そして感情が生まれるとまずいことになるかもしれないので、4年たつと自動的に死ぬ。
ひえー、そんな高度なことがあと8年でできるとは到底思えん。というか絶対できない。
最初に私が見たのは1983年。ゆえあってオーストラリアで見たのだが、そのときは2019年という時代設定はまったく変だと思いませんでした。当たり前かもしれないが。
しかし、実際「あと8年」という今になって見ると、まったく現実の技術が追いついていなくて結構さびしい。分子生物学ってなかなか思ったように進化しませんね。これ以外でも、ヒットラーの遺伝子でクローンを作る、というThe Boys from Brazilは1978年の映画だが、ここで「すでに実現した技術」として出てくることもいまだに結構最先端だし・・。やはり人間の命という倫理に関わることが分子生物学発展を妨げる最大のネックでしょうか。
一方、Blade Runnerより現実世界の方がずっと進化しているのが「モニター」。映画内では2019年でもブラウン管で、コンピュータ画面は緑のぼんやりしたローマ字が羅列、というIBMのダム端みたいな感じ。1990年だってもっとましだった。
消費者のエンタテイメントにかかる技術は思い切り進化した過去25年、ということでしょうか。
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書評:Once You're Lucky, Twice You're Good
半年ほど前に出た「シリコンバレーベンチャー本」。副題はThe Rebirth of Silicon Valley and the Rise of Web2.0。SEO対策は万全ですな。マスコミ嫌いで知られるFacebookのCEO、Mark Zuckerbergに気に入られて長時間インタビューをものにした筆者が、さらにさまざまなweb2.0系ベンチャー関係者にインタビューした内容を元に書かれている。弁護士事務所Wilson SonsiniのYokum Takuさんよりの頂き物なり。「是非読んでみて」と。
内容は、タイトルにあるとおり「一回ベンチャーを成功させるのは運だが、二回成功できるのは本人の能力」ということで、特にweb2.0関連で次々と新しいベンチャーにトライし続けるシリアルアントレプレナーにフォーカスして書かれている。
16ページには「web2.0ベンチャー相関図」もある。web1.0会社からどんなweb2.0会社が生まれたか、と。web2.0企業として登場しているのがdeli.cio.us、Twitter, Ning、Digg、Slide、YouTube、Yelp、Facebook、LinkedIn、Blogger、Six Apart、Odeo、Pownce、Revision3、Friendster。
いずれも知る人ぞ知るweb2.0企業だが、こうしたベンチャーを生み出したweb1.0企業として図内に登場するのがNetscape、Opsware、Equinix、Excuite@Home、PayPal。
この中で「単体として存続している企業」はEquinixのみ。あとは買収されたり、もうなかったり。
Equinixというあまりメジャーでない(でも今でも企業価値1500億円の)会社が登場するのは、ひとえにこのファウンダーだったJay Adelsonを図内に登場させるため。現DiggのCEOです。しかし、EquinixはIPOはしたものの、ファウンダーのJay Adelsonはマネジメントの座を追われ、お飾りのCTOとなり、しかも株価が下落する中、自分の株は一株も売らずに持ち続け、いったんは$55 million(約55億円)となった持分のトータル価値はゼロに。結局会社も辞めてSan Franciscoの家も売りNew Yorkに移る。身も心もぼろぼろ、という描写であります。
して、その後若きKevin Roseと出会ってDiggを起業するわけだが、本には「Jayは、ハンサムで機知に富むKevin Roseがうらやましい」というような表現が何度か出てくる。しかしだな、私、この二人もいるミーティングに出たことがあるのだが、私的にはJay Adelsonの方がハンサムだと思う。うーん、白人の美的感覚はよくわからない。
さて、話を戻してあまたのweb2.0企業を生み出したweb1.0企業には独立して残っているところは(ほとんど)ないという点。
これ大事。Googleみたいにいまだに成功裏に存続している企業だと、そこからたくさんの人が飛び出して新たに起業する、という感じにならないんですよね。ここ1-2年Googleも大企業化して、「飛び出し組」がちらほら出始めてはいるが、やはり、あるところで盛大に買収されてしまったベンチャーのほうが一気に人材が流出する。
本の中では、元Paypalのアントレプレナーが山のようにいることを指し、「Paypal Maffia」と呼んでいる。確かに多い。
そのうちの一人がPeter Thiel。Paypalは、ドットコムバブル崩壊直前に増資をしたことでバブル崩壊後の低迷を乗り切って成功したわけだが、この「直前の増資」の際に、「もっといい条件で増資できるんじゃ・・・」などと社内が割れたところを「バブルは終わり冬の時代が来る。今のうちにさっさと増資すべし」と。彼の読みがあたったわけです。ちなみに、このひとUS Chess Masterということで、チェスの名手。恐ろしく頭脳明晰なんですな。
ちょうど先週とある人と話をしていて
「ドットコムバブル期に上り調子のベンチャーを経営。で、$100 millionの企業価値で$30 million増資しようとしていて、『投資したい』というところがたくさんありすぎて、よりよい条件で投資させようとあちこちを天秤にかけていたらバブル崩壊。会社は倒産」
と。いや、こういうベンチャー山のようにあるんですよね。
だからこそPeter Thielの判断が引き立つと。
とはいえ、これは「たまたまラッキー」だったのかもしれず。「いやそうじゃない、本当に自分の能力だ」と証明するためには、二つ目のビリオンダラーカンパニーを作らないとならないわけです。ちなみにPeter Thiel、YouTube上の「バブル風刺パロディソングビデオ」の一番最初にも「There's absolutely no bubble in technology」というコメントの語り手として登場。
なおPaypal、あまり日本ではなじみがないようなので簡単に説明しておきますと、2006年の取り扱い高$38 billion、3兆8千億円、利益$1.4 billion、1400億円という大オンライン決済サービス。現eBayの一部でございます。
あと、この本には「シリコンバレー小話」が満載。PaypalのファウンダーMax Levchinが買った婚約指輪が3.14カラットだったとか(もちろん円周率にちなんで)、Marc Andreessenはコンファレンスなど業界人が多い場所で立ち止まると周りに彼と話したい人の輪または列ができてしまうので、誰とも目をあわさないよう宙を見据えてガシガシ歩いていくとか。(超背が高い)。
では本より引用しておしまい。
(Silicon Valley) might be the only place on earth where just creating a single $1 billion company wasn't enough. An entrepreneur had to do it twice to know he was actually good. And three? Well, that was Jim Clark
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11 月 23, 2008
今シーズン一押しテレビ番組True Blood
Tivoを買ってからすっかりテレビっ子と化している。その前もDVRは持っていたのだが、ちょっぴり押し付けがましい勝手録画等々、Tivoの微妙な機能に取り込まれてしまいました。(いちいち録画予約するの面倒ですよね)
で、そんなワタシの今シーズン一押しがTrue Blood。「吸血鬼がカミングアウトしてメインストリーム化を狙う時代。そんなアメリカはルイジアナの片田舎で、吸血鬼と恋に落ちる精神感応能力者(テレパス)を核として展開する物語」なり。
テレビ番組とはいっても、有料ケーブルチャンネルHBOのものなので、HBOに加入していないと見られませぬ。Sex and the Cityとか、The SopranosもHBO。もうちょっとマニアっぽいものでは、我が愛しのAngels in AmericaもHBO。すばらし。でも最近は契約者数が伸び悩んでいるようだが。
True Bloodに話を戻すと、これが結構アンダーグランドっぽいつくりなんですな。少々ゆがみの出たLPレコードみたいなチューンで始まるオープニングでは、画面にはちょっと変わった写真がコラージュ風に次々に現れる。食肉工場みたいなのとか、沼のようなところで洗礼している風景とか。登場人物のほとんどは激しい南部訛りでまったりした感じ。(東北弁のテレビドラマ、という感じでございます)。
テレパスの主人公を演じるのは、X-MenでRogueを演じたAnne Paquin。他の登場人物もみな高い演技力で、かなりありえないシチュエーションにリアリティを持たせている。
話の進みは、Heroesとか24などのように、「次から次へと事件が起こり登場人物が右往左往」というのとは異なり、これまた「まったり」。田舎スピードで進むので個々の俳優の演技力をじっくり味わうことができます。
吸血鬼、テレパスに加えてもう一種類が登場したところだが、シーズン1は今日で最終回。作品内世界では、狼男も含めさまざまな怪物が実存するらしい、ということだけは判明しているので、次はどうなるか。シーズン2が楽しみでございます。
ちなみにアメリカは吸血鬼ばやり。金曜にオープンしたティーン向け映画、Twilightもほとんどの映画館で初日は前売りで売り切れ。吸血鬼男子と、シャイな人間女子の純愛もの。「男の子受けしないから興行成績は伸びないんじゃないの?」という予想を裏切って大うけ。Sex in the Cityの映画版といい、ついに「女子のみにしか受けない映画でも興行的に成功する」時代になったようですな。いいことです。
吸血鬼といえば、萩尾望都の「ポーの一族」。実はワタシ、この手の「Sci-fi・ファンタジー少女漫画」ジャンルの30年来の大ファンなのだが、これグローバルにならないですかね。(いまのところ、ほとんど無視されてますが)。
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11 月 21, 2008
投資はがし(とベンチャーキャピタルの仕組み)
昨日のエントリーが貸しはがしだったので今日は投資はがし。
昨今の市場暴落で「ベンチャーキャピタル(VC)のキャピタルコールに応じないLPが出る」、と言われてきたが、なんと自社の社員の給料も払えないVCが出ているらしい。
(とはいうものの、今日、シリコンバレーのVC、corporate VCあわせて3人の方と話をしましたが、皆さん、ごく最近series Aやseedで投資したばかり+投資するところ、鋭意検討中、とのことで、審査は厳しいものの、まともなVCはまともなベンチャーには相変わらず投資し続けている模様ですが。)
「キャピタルコールって何じゃ?LPって?series Aって?seedって?」という方には以下説明します。
そもそも、ベンチャーキャピタルというのは、自分たちもどこかからお金を投資してきてもらってファンドを組成、、そのファンドのお金をベンチャーに投資する。で、その「ベンチャーキャピタル(のファンド)に投資する人」のことをlimited partner、LPという。LPは、自分が投資した金額分しか責任を負わないので「limited」。
一方で、実際にベンチャーキャピタリストとして投資にあたるベンチャーキャピタルの社員(パートナー)がgeneral partner、略してGP。
そして、ひとつのベンチャーキャピタルが複数のファンドを持つのが普通。たとえば、「Sequoia Capital」というベンチャーキャピタルはひとつしかないが、そのSequoiaは時期が違うファンドをいくつも持つ。(バイオとIT、という風に投資領域が違うファンドを複数持つこともある。)通常ひとつのファンドは10年間の期間限定付き。
つまりベンチャーキャピタルというのは、複数のファンドと、それを運営するパートナーを抱える芸者の置屋のようなものなわけです。
で、VCが「うちは200億円のファンドを運営中」という場合、それは「今銀行に200億円入ってます」という意味ではなく、「ファンドの運営期間中に200億円出す、とLPがコミットした額が200億円」ということ。実際には、必要になるたびに、「capital call」というのをして、そのたびにLPはちょろちょろとお金をVCに渡す。つまり最初に総額は決めるが、実際にお金を出すのは五月雨式なわけです。
で、LPが何らかの理由で資金が出せなくなると、「capital callがあってもお金を渡せない」ということになる。これが冒頭の「キャピタルコールに応じないLPが出ている」という話。
capital callに応じないと、それまでファンドに投資した金額のリターンがあってももらえない。すでに投資済みの投資先が将来上場したりしても、びた一文もらえないことになる。なので、致命的なのだが、お金がないと背に腹は変えられず。
***
ちなみに、VCの一般的なビジネスモデルは、
1.毎年、ファンド総額の2%を運営費用としてもらう(これをmanagement feeという)
2.ファンドの運用益が出たら20%をもらう(こちらはcarried interest、または単純にcarryという)
となっております。「運用益」は、投資先が上場したり買収されたりすると発生する。
ちなみにVCで働くGPも、ファンドには出資する。ただし1%のみ。つまり1%しか出していない人が、利益の20%を持っていくわけです。
なお、ファンドが巨大だとmanagement feeの方もばかにならない。たとえば$500Mのファンドだと、management feeだけで年間$10M、10億円。GPが5人だと、一人当たり2億円だ。実際にはオフィスの賃料とか、そのほかの社員の給料とか、そういう経費があるので、手取りはそれよりは少なくなるが、それにしても億円単位。
また、ひとつのファンドの寿命は10年なので、期間合計で見るとmanagement feeだけで2%×10=20%。ファンド総額の二割となる。(1%、ということもあるようだが、総額が大きいとそれでも巨額になってしまう。)
バブル期には巨大ファンドが増えて、「management feeだけでそんなに儲かっちゃったら、投資実績を上げてcarryを出そう、という意欲が薄れるのでは」というLPの懸念が出たりした。
***
あ、それから、ちょっと前のエントリーで「VC投資のシリーズ」のことを軽く書いたら、「はじめて知った」というようなご意見が散見されたので、再度それも説明します。
正しいシリコンバレー的ベンチャーでは、増資をだらだらと常時行ったりしない。増資は、時々まとめて行われるもので、それぞれの回ごとに「今回の投資の条件」が決まり、複数の投資家(主にベンチャーキャピタル)が同条件で投資する。その「回」をroundと呼び、それぞれのroundをはじめの方から順番にseries A、series B、series C・・・とする。
(なお、数千万円程度の小額増資をしてアイデアを形にする、という場合、それは「seed round」となります。種まきラウンド。かわいい。多くの場合seedはエンジェルインベスターと呼ばれる個人の投資家か、friends and family=縁故・知人より行うことが多いが、VCの中にもseed投資をするところもある。また、seedはすっとばしていきなりseries Aということもあります。)
投資条件は、同一round内では一緒だが、roundごとには異なる。(抵当権設定で先にある抵当権と後に来る抵当権では借金取立てできる順番が違う、というのとちょっと似ている。)で、たとえば会社が売却された際には、どちらのseriesの投資家から先に売却益を獲得するか、等々が異なるわけです。
それから、各roundにはlead investorが一社だけいる。leadの主たる役目は値段付け。総額いくら投資するかも大事だが、それで会社の何%を手に入れるか、という「価格」が大事なんである。
「投資してもいいけどleadはしない。どこかleadが見つかったら声をかけてね」というように言うVCもいれば、「うちは基本的にはleadしかしない」という勇気あるところもある。あと、以前のroundで出資した投資先ベンチャーが次のroundの増資をする際には、新しいVCをleadで呼んでくる、というのが美しかったりする。(じゃないと、自分で自分の持ち物の値段をつける、という状態になってしまうので。)
ちなみに、VCの投資書類はすごい長い。見ても呪文のようである。実際、ほとんどは単なる呪文なので適当に弁護士まかせでよい。しかし、絶対に見落としてはならないのがliquidation preference。特に不景気に突入していく昨今のような状況下においては、これが明暗を分けるケースも多い。以前のバブル崩壊時に書いたliquidation preferenceに関するエントリーがあるのでそれを参照してください。
それ以外では、anti-dilution/ratchetってのもベンチャー側にとっては「ぐえっ」と首が絞まる可能性のある大事な条項である。これは弁護士に説明してもらってください。弁護士のYokumが書いたエントリーもありますのでご参照あれ。
***
なお、ベンチャーキャピタルというのは大変小さい産業で、2006年時点で年間総額$20 billion、2兆円程度。スーパー高利貸しPayday Loanで書いたとおり、「普通の人が、銀行口座から残高を超えた引き出しをした際の罰金総額」が3兆円もあるわけで、それより小さいという。小粒でもぴりりと辛いよ、って感じでしょうか。
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11 月 20, 2008
貸しはがし
倒産するのでは、とみんなが思っているシティバンク。そのシティバンクからお手紙がやってきた。
「家を担保にした根抵当ローンを停止します」
というもの。ははは、きっとそうくると思って、もう満額借り切っちゃったんで全然問題ないんですが。
元のローンの説明をすると、家を抵当にしたローンで、設定された限度額内だったらいつでも借りられる、というもの。
で、
「近隣の住宅価格下落に伴いローン停止」
というお手紙が来たのであった。「停止」の元の言葉は「suspend」。「借りている分は急に返せとは言わないが、限度額に達していなくても今後は貸しません」、というもの。
半年前くらいから、いつかはこのような顛末になるだろうという予測の元、さっさと全額借り出してしまったので、特に痛痒なしですが。用途は享楽費用ではなく家の改築費用でございます。
しかしこれ、もし我が家同様の家の改築のために同じようなローンを借りた人がいたとして
「まずキャッシュで持っている自分たちのお金から使って、それがなくなったら根抵当を設定してあるローンのお金を使おう!」
とか思っていたら、結構困りますね。アメリカで家を建てるのは、五月雨式に工事の進行に合わせてちょろちょろといろいろな業者にお金を払い続けるもの。して、途中で突然資金が尽きると、
「おっと、床を入れる前に資金ショート!」
てなことになりかねないわけです。
バブル崩壊時には、諸般の利用で工事の途中で資金ショートを起こし、工事現場のまま放置される家が増えるのであった。不景気の風物詩ですな。
ドットコムバブル崩壊時の事例は:
建たない豪邸
豪邸に住むためにどこまでするか
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11 月 18, 2008
常にチャレンジし続けるJames Prenton
パソナテックのサイトに連載しているコラムの最新号が、サンフランシスコに事務所を構える弁護士、James Prentonさんのインタビュー。名前は完璧にガイジンだが、お母さんが日本人、お父さんはイギリス人で日本育ち。アメリカには、大学入学との時に単身渡ってきた、という人である。
弁護士というと、「一旦資格を取ったら一生安泰なんでしょ?」と思う人もいるかもしれないが、Jamesのキャリアは波乱万丈。行く法律事務所が次から次へと瓦解したりレイオフされたり。人生は厳しいのである。しかし、そうした苦難を乗り越え、ついに大手事務所のパートナーに上り詰め、独立して自分の事務所を設立した、という「人間版プロジェクトX」みたいな偉い人だ。
しかも、専業主婦の奥さんと3人の子持ち。いつも思うんだが、シリコンバレーでこういう家族構成で働いている人って、本当にリスクテーカーですごいと思う。夫婦共働きでも結構リスクがあるのに。
(多分同様の家族構成のエンジニアで、最近、シリコンバレーの会社からレイオフファイヤーされて上司3人を銃殺した人がいるが、気持ちはわかる、とまでは言わないが、切羽詰ってたんではなかろうか、と推測したり。)
もちろん、既に一生左団扇で暮らせるくらいの安全な蓄えがあります、というなら話は別なのだが、そうではない人でも結構いるんですよね、専業主婦+子沢山な人たち。これがさらに、ただの就労ビザだと、「レイオフ→即国外退去」となるのでかなり崖っぷち。Jamesは早くから永住権のグリーンカードを持っていたので、それはなかったわけですが、しかし、それでもすごい。
と言っても、そういう人、特に移民では結構いる。(ビザの関係で奥さんが働けないケースが多いので)。やっぱり、こういうリスクに挑戦しようという人だけが選択的に残っている国がアメリカということでしょうか。
Jamesのインタビューはかなり長くて、4回分割で掲載されていますが、よろしかったら読んでみてくださいませ。
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11 月 17, 2008
給料もらって勉強して起業させてもらえるプログラム
スタンフォード大学のBiodesign Fellowshipという1年の奨学金プログラム。対象領域は医療機器、です。
Biodesignは医学部と工学部の学際学部、Bio-Xの一部門。奨学生は年間4-8人程度の少数精鋭ながら、過去7年間分の生徒の母集団から、外部からの増資に成功したベンチャーが10社誕生。なお、冒頭の写真はBio-Xの校舎。NetscapeファウンダーのJim Clarkが工事費の相当額を寄付したのでClark Centerと呼ばれている。
以下、同プログラムのサイトと、半年ほど前にこのプログラムの推進者であるところのDr. Yockに伺った話を基にしてます。
さて、これまで生まれたベンチャーの内訳は・・
- Kerberos: 買収
- InnoSpice: 買収
- NeoGuide: シリーズC増資
- Acumen: シリーズB増資
- Stemcor Systems: シリーズA増資
- iRhythm: シリーズA増資
- simpiricaspine: シリーズA増資
- Spiracur: シリーズA増資
- Curant: SBIR Phase 1
- InSite: SBIR Phase 1
増資状況は、半年ほど前に聞いたときのものなので、今はちょっと違うかもしれませんが。「シリーズ」は増資の進み方で、Aが最初、その後、B、Cと進んでいく。買収されるのは大変美しいエグジットであります。
なお、奨学金のファンディングの一部はベンチャーキャピタルからも出ており、彼らもまじめに投資先を探しているということかと。
ちなみに、SBIRは政府のsmall business向けグラント。9つの政府機関が、総計年間$2 billion、約2000億円をベンチャーに投資する。アプライ中の知人いわく二つのフェーズに分かれるが、総計$1 million、1億円近くくれるそうで、「単なるアイデア」を次のステージに移すには十分な額といえましょう。融資でも投資でもなく、ただくれる。しかし、そこはアメリカ、どこにどんなグラントがあるかを探すのは大変です。こちらのページでサーチできるが、中々難しそう。ま、ここでくじけるようなヤツに血税1億円を渡してはいかんのでしょうが。
Stanfordの奨学金プログラムはInnovation Fellowshipという名前だが、これ、毎年何十人も生徒がいるわけではありません。最初の数年は1年に4人、その後は8人、という感じで最初の7年分からで10社。かなりの成功率。すごい。(ちなみに、今年の夏に終了したのが8年目)
プログラムの進行はこんな感じらしい。
- Clinical Immersion- 4人が1チームとなり、大学病院で実際の医療現場を観察、チームごとに200個の「ニーズ」を探す。これを3ヶ月間行う
- その中から12個を選び、さらにそこからベスト4の「ニーズ」を選ぶ。
- チーム構成員がそれぞれ1つの「ニーズ」をもって分散
- 個々のチーム構成員が、ビジネススクールなど他の学部の生徒とチームを作り、それぞれの「ニーズ」を元に、それを解決するアイデアをいろいろ出し、様々な角度から検証しながらビジネスプランにする
「ニーズ」を選ぶ際には、ベンチャーキャピタルから、医療機器の専門家、許認可の専門家など20人のメンターと話し合う。また、アイデア出しからビジネスプランに落とし込むまでの過程では、関連領域の様々な専門家がレクチャーに来る。「FDA承認とはこうなっています」とか、いろいろ教えてくれるそうです。
なんともスバラシイ。
応募資格は、
Applicants with a background in engineering, medicine, biosciences or relevant business /technology are encouraged to apply.
「工学、医学、バイオサイエンス、関連するビジネス・技術のバックグランドを持つ人に応募をお勧めします」ということで、そういうバックグランドがなかったらダメとは書いてない。(とはいっても、そうじゃない人が受かるのは難しいだろうが)。できれば、修士、博士、医学博士所持者が望ましいともあるが、これも一応絶対条件ではありません。
医者、特に外科医は別枠で先に選考がある。来年のプログラムに関し、こちらの枠の締め切りは終わってしまったが、それ以外の人(主に、工学系のエンジニアのイメージ)の締め切りは今月末。まだ間に合う!外国人でもOKだそうですのでいかがでしょうか。応募要綱等はこちらにあります。
なお、「姉妹プログラム」のStanford-India Biodesignもある。こちらはスタンフォードとインド政府との合同プロジェクトで、奨学生は半分をインドで、半分をスタンフォードで過ごす。インドならではのニーズにあった「起業」をするとのことで、たとえばインドで新しく実施された救急体制にあった除細動器、とかそういうのをやったそうです。
日本も、どこかの大学がStanfordと共同で同様のプログラムをすれば面白そうなのになぁ。
プログラムを推進するDr. Yockは、自身も複数の医療機器発明を行ってきたシリアルアントレプレナー。スタンフォード大学医学部のほかの教授と話していたら、
「Biodesign Fellowshipは、Dr. Yockが新しい起業のアイデアを探して自分も一枚かもうという野心のための手段」
と揶揄していましたが、たとえそういう野心があっても、いや、むしろ野心があるからこそ、一生懸命プログラムを推進してくれるのではないかと。全然悪いことだとは思いませんが。
ちなみに、このプログラムの授業の部分だけをウェブキャストで聞ける、という企業向けのコースがあるが、実際にそれを受けた方いわく、「ごく当たり前のことを言ってるだけで肩透かし」とのことでしたのでご注意あれ。「医療機器の開発の流れも許認可も何も知らない、という初心者だったら面白いかもしれないが」とのことでしたが。多分、実際に起業できるかも、という当事者の野心満々でやらないとつまらないのでありましょう。
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11 月 16, 2008
スーパー高利貸しPayday Loanの存在価値

カリフォルニアにはPayday Loanの店があちこちにある。(高級住宅地、一流ビジネス街等は除く)。年利300%とか400%という超高利で小額のお金を貸してくれる、いわゆる「サラ金」屋さんである。以前磯崎さんがこの業態に触れて、世界にはまだこんな高利の貸金業が存在すると、驚きを記事にされていた。どんなにおどろおどろしいものかと思う方もいるだろうが、写真のような「明るい」お店。
州ごとに法律が違い、認可されないところもあるようだが、カリフォルニアは97年に合法になった。
大抵同じ店舗で「check cashing」も提供している。こちらは「給料でもらったチェックを現金化してくれるサービス」。なんでもチェック=小切手で支払うのが普通のアメリカでは、日雇いの現場労働者なんかでも容赦なくチェックで支払れたりする。チェックは、自分の銀行口座に入れることで現金になる。ところが、推定2800万人が銀行口座を持っていない。そういう人たちは
「一体全体この紙切れをどうしたらいいの」
という状態に。こういうときに「check cashing」のお店に持ち込むと現金にしてくれるわけです。もちろん手数料は取られるが。
こちらのcheck cashingは70年代からあるビジネスらしい。
そして、そういうcheck cashing屋さんが多角化して「payday loan」の方も手がけるようになった、というケースが多い模様。
「年利300%」というと、どうしてそんなものを借りる人がいるのか、といぶかるかもしれないが、
「手数料20ドルで、2週間の間、100ドル貸してあげます」
という感じなんですな。つまり、利息ではなくフィーとして支払う。もちろん結果は同じだが、借りる側としては非常にわかりやすく、しかもクリーンな感じ。
ただし、payday loanの方は、将来の日付のチェックを「借金のカタ」に差し出さないとならない。なので、銀行を持っている人しか使えない。ということで、check cashingとpayday loanの対象顧客層は異なるわけで、なんで同じお店がやってるのか常々疑問に思ってきた私。
そんな折、New York Times Magazineに特集が。南カリフォルニアのcheck cashing/payday loanチェーン、Nixに関する記事。なかなか興味深い。
それによれば、競合他社を合計すると、同様の店舗は、マクドナルドとスターバックスを足したより沢山あるんだそうだ。そして、昨今の不況でどこも大賑わい、ということらしい。
記事には、「どうしても銀行でお金を借りられない人たちだけがPayday Loanを使っているわけではない」、というちょっと驚く記載もあった。
アメリカの銀行というのは、貧乏人に非常に厳しくできている。口座残高が低いと、口座維持料を取られるのは初歩の初歩、小切手発行手数料なんてのもあったりする。さらに、残高がない口座を使うと罰金がつく。これが結構高い。
「残高がない口座を使う」とはどういうことか、と不思議に思うかもしれないが、これはつまり
1)残高が足りなくなる額のチェックを切ってしまう
2)残高が足りなくなる買い物をデビットカードでしてしまう
といったこと。一回20ドルとか30ドルの罰金を取られる。
「一回」ごとだから、たとえば、残高ゼロになってから2ドルとか3ドルの買い物を5回しても、5回分罰金を取られる。1回20ドルとして100ドル。
私も昔旅行中に残高がなくなった瞬間があり、1日で20ドルくらいの買い物を2-3回して、その回数分の罰金をチャージされたことがありました。しくしく。チェック用の口座以外に貯蓄口座もあって、そちらにはちゃんと現金があったのに。しくしくしく。
話をNew York Timesの記事に戻すと、18セント(約20円)残高オーバーしたために35ドル(約3500円)の罰金を請求され、それ以降、より高いことはわかっていてもNixを愛用している人の話が出てくる。銀行の口座もキープしているのでチェックの現金化は無料でできるのに、わざわざNixで手数料を払っているそうな。銀行は信用できないから、と。
記事によれば、「銀行による、残高を超えた引き出し関係の罰金収入」の総額は、2006年に$25.3 billion、3兆円近くあるとのこと。2年間で48%増えたそうだ。
アメリカの銀行は、残高を超してもどんどんお金が使えるように、わざとしてると思う。絶対そう。
こういう銀行への不信感、というのが根強くあるところに入り込んだのがcheck cashing/payday loan屋さんなわけです。
銀行への不信感に加え、「二週間、などと期限をきっかり切られて、ホンの小額だけ貸してもらうだけだから、それ以上の借金の泥沼に入ることがない」といった「自戒の気持ち」がある人もいるし、ちゃんと他のコストも計算して見合うときだけPayday Loanを使っている人もいる。また、全てのフィーが明快でわかりやすいことを気に入っている人もいる。
さらには、記事で取り上げられたNixでは、会社による店員の待遇がよいため何十年も同じ店で働いている人もいて、常連の顧客と信頼関係がある、ということもあると。
そして、こうした「貧困層向け金融」を手がけようと、ついに大手・正道の金融機関であるところのKinectaというクレジットユニオンがNixを買収した。業界を知り尽くしたNixのファウンダーも重役としてキープ、NixユーザーにKinectaのサービスを提供しようとしている。5ドルからスタートできる貯蓄口座をNixの店舗で開設できるようにする、といったようなこと。記事を書いた記者の人が、実際それをはじめたNixの店舗で観察したところ、多くの顧客が非常に興味を持って窓口でいろいろと質問しており、中にはその場で口座開設した人もいたとのこと。
しかし、銀行口座を持たずにアメリカで暮らすって、ものすごいリスキー。1週間とか2週間に1回給料が払われるわけだが、それをキャッシュにしたら、そのまま数百ドル、時には数千ドル持ち歩くわけで。貧しい地域ほど窃盗が多いのもよくわかります。くわばらくわばら。
ちなみに、冒頭の写真のチェックキャッシング屋さんはSan Joseのラーメン屋、Haluの隣にあります。


