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2007/09/12

Off | アメリカの結婚式に見る自由の苦悩

Second Lifeの中で結婚する人ってけっこういるんですよね。あちこちでウェディングドレスが売っていたり、ウェディングコーディネーターを仕事にしてる人がいたりする。リアルライフのパートナーとSecond Lifeの中でも再度結婚するとか、Second Lifeで結婚した相手とリアルライフでも出会って結婚するという人も一部いるようですが、多くは現実とは関係なくSecond Lifeの中だけで結婚。Second Life内で500件の結婚式を司った牧師(もどき)の人もいる。

・・・・という話をボーっと考えていて、はたと思い出したのが、大昔に私が書いたアメリカの結婚式に関するコラム。Google Desktop Searchで検索したら発掘できました。確か2001年にNHKのビジネス英会話の冊子に載せていただいたものだったような。

Enjoy!

アメリカの結婚式は、婚約に輪をかけて手が込んだ大イベントである。何といっても、世界の多様な宗教・民族が入り混じり、異なる習慣が並立(乱立?)しており、決まったルールがない。特に過半数を占める民族がおらず、マイノリティーという言葉が意味をなさなくなったカリフォルニアでは、その傾向は特に強いのではないか。日本の結婚式が剣道の一本勝負とすれば、アメリカの結婚式はプロレスと合気道とフェンシングと柔道のバトルロイヤルなのである。

宗教の中の、そのまたキリスト教だけをとっても、わんさかと宗派がある。宗派同士の反目は結構激しいらしく,新郎と新婦が各々信心深くて、しかも異なる宗派だったりすると、両方の牧師(または神父)が司祭としてやってきて、それぞれの儀式一式を行うということになる。大体そういうことになると、司祭同士が張り合って普段より立派な式をしようとし、結果として普通の2倍をはるかに超える長い式になって皆辟易するというのが通常のようだ。同じキリストを信じているんだから、仲良くすればいいのに、と思うがそうはいかないらしい。知り合いのプロテスタントの男性は、カトリックの女性と結婚するくらいだったら仏教徒の方がいいと断言していた。何だか本末転倒の観もあるが。

アメリカの結婚式には、大まかに分けて、ホテル・レストラン・その他という開催場所の選択肢がある。「その他」とは、親類もしくは全く関係ない人の家、博物館、水族館、本屋、ワイナリーなど、思いつくままに選ぶ場所である。準備は、ホテルからその他にかけて大変になっていく。例え簡単な「ホテル」を選んでも、花は自分で花屋に掛け合って持ち込むのが普通である。ケーキ、カメラマン、音楽のバンドなども、直接交渉が多い。よって準備は、複数の花屋、ケーキ屋、カメラマン、バンドを面接するところから始まるわけである。

ホテルですらそうなのであるからして、「その他」ともなれば、そりゃもう大変。飾り付けから式次第まで全てフリーハンド。何でも自由になるってことは、何でもキチンと計画しなければならないわけである。しかも、アメリカの常として、物事が計画どおり進まない。

最近私も結婚式をしてみたのだが、史上最大のめんどうくさがりを自称するにも関わらず、何を血迷ったか「その他」を選んでしまった。当然様々な問題が発生。

1) 私の父親、新郎の介添え人2名及び新郎、計4名のタキシードをレンタルするが、式の2日前にピックアップに行くとサイズが合わない。よくここまで間違えると感心するほど、全員分間違っている。予め一人あたり全身10か所くらい採寸して送ってあったのに。何とか当日までに交換。

2) 式2時間前にケーキ到着。3段レイヤーなのだが、2段目、3段目がそれぞれ別の方向に傾いでいる。しかも、2段目の下のほうに、こぶしで殴ったような凹みあり。さすがアメリカ・・・・と笑ってしまったのだが,周囲の人はパニック状態に。ケーキは花嫁の気合の入るポイントらしく、私が泣き出したり気を失ったりするのではないかと心配したらしい。コーディネーターの男性など、ワナワナと瞳孔が開き気味になっていた。会場の飾り付けをしていた花屋が大胆に花をケーキに巻きつけてカモフラージュ。

3) 披露宴に、招待していた夫婦が突然親戚一名を同伴して登場。当然席がないので、慌ててセットアップするも、前菜の始まる前に3人とも帰ってしまう。

4) ウェイターのうち一名が、呆然と突っ立っているだけで、時々後ろを向いてつまみ食いしたり、ドリンクテーブルで勝手にコーラを飲んだりし、ウェイター長からその場で首を言い渡される。

5) 当日式次第がないことを指摘され、義理の姉が4年前に使った式次第をそのまま使用したところ、してもいない私のガーターベルトを外すイベントが催される。他人の式次第をそのまま流用してはいけない。(これはアメリカ人ではなく私のせいだが)

ちなみに、結婚式は当地の新聞の人生相談における人気テーマでもある。以下,結婚式関係の相談で「さすがアメリカ」と感じたものの要旨。答えの方もメリハリがあって楽しいので、カッコ内に付け加える。

「遠い親戚から私たち夫婦に結婚式の招待状がきたが、息子3人とそのガールフレンドたちも行きたいと言っている。合計8人で行くと返答しようと思うがいいのだろうか」

(駄目)

「双方の両親、祖父母たちが皆何度か離婚・結婚しており、人数が多くて関係が複雑。他の招待客が混乱するといけないので、名札をつけようかと思うがどうか」

(誰も覚えられないからつけるだけ無駄)

「親戚の結婚式に、電気仕掛けでぴかぴか光る巨大な蝶ネクタイをしてきた失礼なおじに、正式な礼服で登場してもらうにはどうしたらよいか」

(招待するな)

「6度目の結婚式に家族が誰も来てくれない。失礼だと思うがどうしたらいいか」

(辟易している家族に同情する)

「同性愛の女性同士の結婚式だが,二人ともウェディングドレスというのも変。しかし、どちらも男装の趣味はない。どうしたらよいか」

(スーツを着るべし)

***

フリーハンドで自由がきく反面、何もかも自分で選んで交渉しなければならず、しかも頼んだことがきっちり実行されない、というのは、アメリカの生活そのものである。電話料金からスポーツクラブの会費まで、定価のあるものでも交渉してみる(往々にして安くなる)。ATMでお金をおろしたら必ず数えて、足りなかったら請求する。アメリカで暮らすということは、こうした中世の市場のような日常生活をこなしていくということなのだ。

***

自由というのは面倒くさいものなのである。

07:53 午後 Offアーカイブ | 固定リンク | コメント (15) | トラックバック(0)

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コメント

"The Wedding Planner"という映画があったと思いますが、
今はそういったビジネスが北米でも浸透しているのでしょうか?
それとも冠婚葬祭の分野はまだこれからという感じなのでしょうか?
日本ではそういった分野で消費者の高い評価を得た新しい事業者がたまにメディアで取り上げられていたりします。

Posted by: eakas at 2007/09/12 21:01:44

chikaです。

wedding planner、浸透してますよー。私も使いました。使ってこれです。っていうか、使わないでできる人、ひたすら尊敬。アメリカの結婚式は、最近どんどん派手になっていて、3日がかりのイベントになってたりします。

Posted by: chika at 2007/09/12 22:42:18

ちょっとおもしろすぎですw

Posted by: hg at 2007/09/12 22:56:34

つまみ食いをするウエイターって、面白いですね。
なんと、3日がかりのイベントとは...
親戚一同それに付き合っちゃうんですか?
何だかうらやましい気もします。笑

Posted by: seisonoei2 at 2007/09/13 0:23:33

ご結婚おめでとうございます。

Posted by: こう at 2007/09/13 0:32:39

うちもAina hainaの海辺の家を半日レンタルしてやりました。結婚式。
当日、Waikikiのホテルから親戚一同を拾ったチャーターバスが会場を見つけられず迷子に。教えておいたはずの携帯番号は伝わっておらず… 1時間くらいでどうにか着きましたが、一時はどうなることかと。
wedding coordinatorを使わずに全部自分たちでやったんですが、式の後は疲れきって二人とも爆睡でした。

Posted by: shiro at 2007/09/13 0:37:34

いやー。参った。いつも楽しませていただいてますが、今回のは特別面白かったです。会社で読んでいたので大笑いして大変でした。ありがとう。

Posted by: fujino at 2007/09/13 1:12:19

これから結婚するのですが、入籍だけにすることになっています。しかし、私の実家のほうが「結婚式はする!」と言い張りそうでこわいなぁ、と戦々恐々のところです。
結婚式は、今も昔もドラマの宝庫だなぁと、他人事としては笑えましたが、自分のこととして考えると、何もしていないのに疲れました。

Posted by: kumtin at 2007/09/13 5:29:54

second life内だけの結婚式はゴッコぽく感じます。
リアルライフでそれをやって再度second lifeでやるのって現実でやった時に「あそこはもう一つ足りない」って
のがあったんじゃないですか?

ともあれ日米問わずみんな祭り(披露宴、ハネームーン)ってのを好きなんでしょうね。

Posted by: フジキセキ at 2007/09/13 9:47:43

この面倒くささは自由のためなのですね。
そう思うといろいろ納得です!

Posted by: ami at 2007/09/13 10:06:55

chikaさん、こんにちは。
このエントリも楽しく読ませていただきました。

>他人の式次第をそのまま流用してはいけない。

ガーターベルトの話がいちばんツボでした。

私が4年前に結婚した際、お寺で仏前式をあげて、披露宴は地元のいわゆる総合結婚式場で行いました。
なぜお寺かというと、夫の実家がお寺だからです…。自由もなにも…。
まあ、めったにできないことだし、と楽しみましたが、自分の未来予想図(笑)にお寺で結婚式はよもや描いておりませんでした。
ちなみに、お寺(曹洞宗)の結婚式は、神前式に近いと思いました。

Posted by: yuki at 2007/09/13 17:34:18

chikaです

皆様コメントどうもです。ちなみに、アメリカではここ10年くらい花嫁の結婚式完璧化願望が著しく強化しており、周囲を振り回してエゴイスティックに自分の理想の結婚式を遂行しようとする花嫁のことをbridezillaと呼びます。ゴジラ化した花嫁、です。

Posted by: chika at 2007/09/14 9:04:03

>最近私も結婚式をしてみたのだが、
えっ、最近?
要らぬツッコミとは思うものの気になって、気になって。

Posted by: Takurou at 2007/09/16 7:10:35

chikaです。

冒頭にちらりと書きましたが、この文章2001年のものなので、あしからず。

Posted by: chika at 2007/09/16 11:20:19

失礼しました。m(_ _)m
そういう文章だったのですね。

このお話を見て、昔々「規則と自由」について考えていたことを思い出しました。

Posted by: Takurou at 2007/09/17 6:17:59






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