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2007/02/22
On , Press | 日本発のソフトが少ないのは日本人が英語が苦手だから
日経産業に掲載頂いたコラムです。先日JTPAでRubyのまつもとゆきひろさんにお越しいただいて「ギークサロン」を行ったのですが、その時に伺った話も踏まえて書きました。
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「日本の自動車産業が世界に冠たるものになったのは、日本政府が自動車産業を守らなかったから」という見方がある。保護された産業は弱くなる。通信機器など、国営通信会社を介して大事に育てた産業はグローバル競争では惨たんたる有様だ。だが、例外もある。
日本のソフトウエアは自動車同様、ほとんど保護を受けなかった産業の一つだが、そのグローバル競争力は地を這っている。なぜか。一つには、開発サイクルと求められる完成度の違いがある。自動車はコンセプト段階から市場投入までに十年かかることもざら。
製品化した車の完成度には人間の命がかかっている。「長い開発サイクル」「高い完成度」という組み合わせだ。一方のソフトは、少々未完成なものでも市場に出し、短期間の間に改良を加えていかなければ競合他社に遅れを取る。「短い開発サイクル」「低い完成度」という組み合わせの産業だ。緻密で職人芸を好む日本人の美学には、自動車の方が適しているといえる。
ここまではしばしば指摘されること。だが、実はそれより大きな理由がある。自動車というハードウエアが単体で動くものなのに対し、ソフト、特にパソコン上で動くものに関しては、他のコンポーネントとの連携が肝要だという点だ。
ソフトには様々なレイヤー(階層)があり、それぞれ異なる開発企業や組織が乱立してしのぎを削る。特定のレイヤーで優位な地位を占めるには、他のレイヤーから広く支持される必要がある。そのため国際的な会話能力が不可欠。業界標準制定に際しては、優位な仲間を囲い込み業界団体を作ったり、その中で自社技術の優位性を主張したりする「政治力」も必要。自分のソフトを広く認知させるためにも、細やかなコミュニケーション能力がいる。
ソフトの世界では、それなりに国内市場を押さえていても、グローバルな勢力に押し切られる傾向が強い。国内で一世を風靡した「一太郎」、「花子」、そして「98パソコン」もマイクロソフトの波に飲まれた。連携が重要ゆえに孤立した市場を守るのは難しく、グローバルに優位に立つことが極めて重要だ。
日本のソフト業界になぜそれができないかといえば、グローバルビジネスのデファクト言語である英語が苦手だからだ。世界的に普及する日本発の開発言語に「Ruby」がある。島根県在住のまつもとゆきひろ氏が一九九三年から一人で開発したものだが、二〇〇一年からは毎年米国でRuby開発者を集めたコンファレンスが行われ、数百人の参加者が集う。
世界各国でRuby関連本が出ており、日本語と英語で運営されるメーリングリストも、〇二年からは英語の登録者が多く、今では毎日二百通程度が交換される。
まつもと氏は学生時代に二年ほど英語を多用する活動をしていたことがあり、Rubyが世に出始めた当初から英語でのコミュニケーションが可能だったという。もちろん、Rubyが技術的に優れた開発言語だったことが前提だが、開発者の英語コミュニケーション能力が普及を大いに助けたのは間違いない。
「英語で仕事ができるようにする」という目的を定めて義務教育できちんと教えれば、「英語が苦手」という理由で日本発ソフトが普及しない現状は改善できるのではないか。
*********************
以上が掲載文ですが、ちなみにですな、私の元原稿の最後の段落は下記の通りでありました。
「英語で仕事ができるようにする」という目的をきちんと定めて義務教育の間にきちんと教えれば、英語ぐらいたいていの人ができるようになるはず。「英語が苦手」というつまらない理由で日本発のソフトウェアが中々でてこないのは、歯がゆい限りである。
「・・・・ではないか」という終わり方、基本的に嫌いなんですよね。自分が読者として読んでるとき、
「私に聞くなよなぁ。意見があるならはっきり『・・である』と言い切ってくれよ。」
と思うので。今回、修正版を頂いたとき、
「むむ、何かがおかしい。」
と思ったんですが、ばたばたしてて何がおかしいか検討する余裕もなく、大体いいか、と「OKです」と言っちゃったんですけど、今もう一回読んで後悔。
08:03 午後 Onアーカイブ , Pressアーカイブ | 固定リンク | コメント (45) | トラックバック(9)
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最近、ブログのイジメ屋といわれている池田ですが、また小姑モードで・・・
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Tracked on 2007/02/23 5:03:36
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日本発のソフトが少ないのは日本人が英語が苦手だから
耳の痛い話。
私は決して英語は得意ではない。仕事で英語を使用したことは数回あるだけ。システム開発に関わっているが、専門書を英語で読んだことは無い。ソリューション開発が主なので、アルゴリズム開発や言語開発などに関わることがなかったからだが、それを言い訳にも出来ないだろう。
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Tracked on 2007/02/28 19:23:53
コメント
一太郎、懐かしい~・・・
私(72年生まれ)が高校を卒業した頃の求人広告には必ずこの「一太郎が使える」というのが条件でしたが。。今ではまず見ませんね。
英語でもビジネスでも、意地でも「日本流」で通そうとする人って多いです。「グローバルに優位に立つための英語」は今後ますます重要になってくると私も思います。アメリカに合わせるという意味ではなく、インド・ヨーロッパ語圏の人だけでなく、中国、韓国の人たちですらその重要性を認めて英語力をぐんぐん上げてますからね。
Posted by: detroiter♀ at 2007/02/25 21:13:21
>研究領域なんかだと別に上手に喋れなくても何とかなりますわな
>結果が全て!みたいな
それでも論文を書くのは英語だったり。
国内オンリーでいくなら日本語でもいいけどね。
Posted by: 貧乏神 at 2007/02/26 0:10:49
池田信夫さんの「小姑的」ブログも読みました。(笑い)
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/bfb38bd193d473cfe6417f652488de7d
Posted by: snowbees at 2007/02/26 0:44:12
まったくの個人的な経験からなんですが、私の場合、英語をある程度理解するのと話せるようになるまでには(最低限レベルですが!)、アメリカ(そのときアメリカに居たので)の文化を理解する事が必要だったように思います。(彼らの物の考え方とかなんでそういう言い方、表現のしかたになるのか、とか)欧米人のアメリカ人と東洋人の日本人とでは普段の生活から思考回路が異なり、これは使用している言語もひとつの理由にあるそうです。(前にも書いたんですが、「木を見る西洋人森を見る東洋人」から)
なので、もしかしたら日本人にとって、ちょちょっと英語を習得する事は何気に難しいことなのかもしれないと思ったりもします。
Posted by: 鈴木 at 2007/02/27 2:23:17
私はChikaさんのご意見に激しくagreeします。シリコンバレーでその業界にいたからです。やはり英語ができないこと、英語でなく日本語で製品化してしまうこと、の代償は大きいと思います。
これは言語そのもので不利なだけではなく、言語が弱いために地元のカルチャーに入ることでもハンディキャップを背負います。したがって、日本製の工業製品で言えば言語へのかかわりと米国での成功度合いに相関があります。
一番苦手なのは、いわゆるソリューションビジネス。
その次がソフトウエア製品
まだマシなのが半導体とAV家電
かなりいいのは電子部品等。
明らかに言語依存性、それに結びつく文化依存性と相関があります。
日本人の生活の言語を変えることは不可能でしょうが、メーカーの技術者は設計ドキュメントを全部英語で書くくらいのことは義務付けてもいいと思います。
Posted by: 胡椒の木 at 2007/02/27 5:41:35
義務教育での英語の強化は必要ない。
東大を含む主要国立大学に圧力をかけて、それらの入学二次試験に、英語とは別に「英会話」という新規の科目を導入すれば良い(これにより例えば全科目400点満点が500点満点になる)。コストは、30000人ぐらいの受験生を想定してPCレンタル代等を含めて30億円ぐらいですむはず。一番てっぺんの"ふるい"が変われば下は民間の力(受験産業等)が変えてくれる。
今の日本の企業での問題は、東大を卒業して企業の海外交渉部門に配属された(英語の成績が良いはずの)超エリートでさえ、英語が流暢に話せず、海外企業との交渉で不利な立場に置かれることが多いこと。モノの価値だけで勝負できる自動車や家電よりも、海外の顧客の要求に従って迅速に(Dog-yearレベルで)改良していかなければいけないソフトやサービスビジネスでは、流暢な英語は必要条件。あってもビジネスが出来る保障はないが、なければグローバルなビジネスで勝つことはできない。
この30億円で日本の企業の対外競争力は劇的に変わる。小学校からの英語義務教育化はお金はもっとかかるし特に必要ない。日本語の特殊性から、英語習得のハードルは、他国の人に比べて異様に高い。無駄に英語教育を押し付けるのは可愛そう。せめて会社の命運を握る人達だけでも、英語で交渉ができるようになればビジネスはそれなりに回る。
ちなみに私は東大卒ではない。英語で苦労し、かつ、他アジア人の英語力のすごさに圧倒されている、しょぼい大学のMBA生です。
Posted by: 通りすがり at 2007/03/01 13:25:05
本題とはちょっとズレてしまうかもしれませんが・・・
本日の朝日新聞の記事に
「仏ルノーの新車開発拠点で過去4ヶ月で社員3人が自殺。
2005年にルノーのCEOに就任したカルロス・ゴーン氏が09年までに26車種を発表し、販売台数を80万台増やす計画を発表。
労組が、”それ以来仕事量が増え、期限にうるさくなり、心を病む社員が増えた”と主張」
といった記事が出てました。
ゴーンさん、日本流の開発方法(速度?)をルノーに持ち帰ったのかな?
Posted by: sarieri at 2007/03/05 4:41:55
>私(72年生まれ)が高校を卒業した頃の求人広告には必ずこの「一太郎が使える」というのが条件でしたが。。今ではまず見ませんね。
そりゃ、デファクトしか目に入らないあなたの無知さゆえ。
いまの一太郎はワードファイルも、OpenDocument も扱えますよ。
日本のソフトが育たないのは、ソフトの内容を見ずに、他人の評価や大昔のうわさ話を信じ続ける間抜けが多い性ですな。
Posted by: ほるほる at 2007/03/06 8:15:27
マーケティングも、性能と同じくらい大切では?ソフトにおいては、
「いい内容のものさえ作れば売れる」
が一番失敗する発想だと思います。「このソフトが売れないのは、ソフトの内容を見ない人間が多いから」的な「私は悪くない発想」みたいな。(私が「ソフトにおいては」と思う理由は本文に書いたとおりです。)
・・・だし、求人広告に特定の項目があるかどうかと、それを見る人がデファクトを信じるかどうかは別問題ですし。
・・・だし、日本以外の国では、きちんと内容を評価した上で、デファクトじゃないものを買う人がいっぱいいるなんてこともない。(だったら、そもそもデファクトなんて言葉が頻繁に使われるはずもない。)
あと、通りすがり-san,
日本の英語教育、別に今以上のお金・授業時間をかけなくても向上できるんじゃないかと思います。要は、「読んでわかるものは聞いてわかるようにする」だけで、相当コミュニケーション能力は向上する。別に「英語が話せる先生」を導入する必要もない。テープとかいろいろあるし。とはいうものの、大学入試に導入して、あとは自助努力に任せる、というのが、一番ローコスト・ハイリターンな策かもしれませんね。
Posted by: chika at 2007/03/06 10:09:29
現在の一太郎の売り方は、Officeでは物足りない・使いこなせないユーザーをターゲットにして、それなりにマーケティングを意識していると思います。
プレバンドル市場を抑えているマイクロソフトには正面切って競争をいどんでも勝ち目はありませんから。
バージョンを重ね、販売を続けていくことを勝利目標としているなら、善戦していると思います。
グローバルな競争はパッケージソフトから、WEBサービスに移っていると思います。
Posted by: ほるほる at 2007/03/07 8:04:13
久しぶりの投稿です。既に各論のお話になっているようで恐縮ですが。
日本でパソコンのソフトウェア産業が育たないのは、中小零細企業、もっといえば、汎用的に使われるソフトウァは個人のフリーウェアが主体であるからではないでしょうか。
他方、家庭用ゲーム機器ならば、グローバルスタンダードで、国際的に著名なソフトウェアも数多く輩出しています。昨今のアキバ系文化しかりです。
などの前提で考えますと。
・日本は、特に昭和中期以降、ベンチャーには適さない国になっている。
・そもそも世界を見ていない作者が多い。
・情熱を注げるのは、ビジネスでは無くホビー。
・日本語の壁と英語の壁。
などと言う考察結果に至ります。
Posted by: nazoodle at 2007/03/12 9:01:59
お初です。
なんかchikaさんを論駁したくてコメってる人もいるような気がします。
僕も↑の方も仰ってるように、世界を見ていない作者が多いんではないかと思います。
日本は島国だから世界に触れる機会が他国に比べると圧倒的に少ないから、猿山の大将で満足できてしまう人が量産されているんではないでしょうか。
自分が見てきた世界の中で一番になれればそれでいいのさ!ウキー!
Posted by: kk at 2007/09/15 3:05:53
「ソフトウエアの弱い分野もある」と言った方が良くありませんか?
一番競争力のある工作・一般機械や、例題の自動車や家電製品なども、ソフトウエアで動きます。
一時世界を制したゲームも、ソフトウエアです。
戦前、自動車に限らず多くの分野が、アメリカ企業に支配されていた。高度成長期は戦時体制がそのまま続いていた。 By野口 悠紀雄
Posted by: K at 2007/09/15 5:07:51
chikaさん、美人ですね。
Posted by: masa at 2007/10/12 6:17:14
久しぶりに、自分にとって読む価値のあるブログに出会えました。(遅すぎたけど。)
Posted by: sou at 2008/01/13 10:17:54

