« 2006年7 月 | Main | 2006年9 月 »
8 月 05, 2006
ナイーブは現代米国英語ではバカという意味です
Wall Street Journalより、高級リゾート会員権販売運営会社が倒産したという記事。
The Chapter 11 filings, which disclosed operating losses of $64 million in 2005, have left Mr. Korpan and many of Tanner & Haley's 873 other well-heeled members angry, confused and embarrassed.
Tanner & Haleyは倒産した会社の名前。最後のembarrassedに注目。会員の皆さんは、一人当たり85万ドルから130万ドルという高額の会員権を買ったのに、運営会社がつぶれて、払い込んだお金が海の藻屑になるかもしれないという被害者なのに「恥ずかしい思いをしている」、と。
記事ではさらに、
"There are a lot of presidents of companies, CEOs, lawyers and doctors...really bright people, who feel kind of naive, myself being one of them," says Chris Stevens, 33, a Sacramento, Calif., home-building executive who put down a $750,000 deposit to join the club in March.
会員の一人が、「自分がnaiveな気がする」と嘆いているのだが、つまりこれは、「宣伝文句に踊らされて、変な投資をしてしまった自分がバカな気がする」というような感じ。そう、英語ではnaiveはバカ、という意味なんです。イギリスではどうか知らないが、アメリカでは、naiveを「繊細な」という良い意味で使うことはまずないです。
「繊細な=すれてない→世間知らず→バカ」
という展開でしょうか。
Tanner & Haleyは、会員権を3億ドル以上集めながら、保有不動産は1億ドル程度分しかなく、6400万ドルの負債を抱えて倒産。「こんな財務状態なのをわからずに投資してた自分がバカ?」と会員の多くが恥ずかしい思いをしている、というわけです。
確かに、タホで似たような権利を買った私の友達は、運営会社の財務諸表を丹念に分析してたなぁ。加えて、
「自分が買ったのは利用権じゃなく、土地・建物の分割所有権なのだ」
と強調しており、聞いたときはなんのこっちゃと思ったのだが、運営会社がつぶれた時、債権者としての順位が高いということだったのであろう。プラス、だからこそ買った権利の価値もキープされるだろう、と。なるほど。。。
というわけで、naive=バカ。アメリカ人に「君はナイーブだ」と言われたら反論しましょうね。
Permalink | Comments (25) | TrackBack (1)
8 月 04, 2006
グーグルアイスクリーム
グーグルでランチしてきました。グーグルといえば無料でおいしい社食。社内のあちこちに無料のジュースとかスナックが置いてある。わたし的には、グーグルに行くといつも何か食べてるので、「グーグル=食べ物」というパブロフ化が進み、
「グーグル」=「ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家」
という脳内回路が結線。(家のパーツの全てが食べられるというイメージ)。写真は「グーグルアイス」。精製した砂糖ではなくて、サトウキビで作っている特製だそうな。
会社に入るところで、一応受付でビジター登録する必要があります。で、わたしが受付に行ったときには、ランチを食べに来たと思われる「フツーの人」の長い行列ができていた。明らかにビジネス目的じゃない人たち。乳母車を押してる人までいたぞ。
夏休みということもあって、親戚や友達が尋ねてきたときに
「じゃか、ランチの時においでよ」
みたいなノリで社員が呼んでると思われる。「グーグル見物&ランチ」というのは、シリコンバレーの観光コースに組み込まれているのであります。あ、 一応社員に知り合いがいないと入れません。また、社員も、ビジネス以外の知り合いは月に二回しかランチに呼べないことになってるようなので、社員の友達がいても、あんまり頻繁に頼むと嫌 がられるかもしれません。念のため。
「誰も知り合いがいないし、ランチもディナーもいらないけど、グーグルの社内が見たい」
という人は、WebGuildがやってるセミナーなど行くとよろし。最近はいつもGoogleでやってます。次回はVertical Searchというテーマなようだ。(なお大変余談ながら、次回セミナーのスピーカーの一人はGautamという名前なのだが、これって、もしかしてゴータマ・シッタルダと同じ名前?お釈迦様か!!)
Permalink | Comments (6) | TrackBack (1)
8 月 03, 2006
たかが広告費ではないということについて
7月27日の日経産業に掲載頂いたコラムです。以下本文。
***
「グーグルはすばらしいといっても、収益源は結局のところ単なる広告費」という声がある。これは大間違いだ。
そもそも、全ての事業は何かを売ることで成り立っている。そして、「売る」という行為には、商流、物流、情報流の三つの流れが必要だ。商流は金の流れ、物流はモノの流れ、情報流は商品に関する知識の流れ。
クレジットカード、プリペイドカード、エスクロー決済といった商流のツール、宅配、コンビニ止めといった物流の新たなあり方の価値は、誰もが認めるところ だろう。一方、形がないために軽視されがちな情報流。しかしこれは、問屋や商社といった仲介業者が生き残っていくための最後のよりどころとして、過去二十 年さかんに語られてきたもの。「広告」は、その大切な「情報流」を担う重要な機能である。
とはいうものの、これまで広告の効果は曖昧なものだった。世界の広告費市場は約4280億ドルとされるが、そのうち2200億ドル、実に半分以上が無駄に使われているとされる。
インターネットは、こうした広告の無駄を省くのに非常に適した媒体だ。たとえばペイ・パー・クリック。見た人が、その広告をクリックして初めて広告費が発生する。グーグルの膨大な売り上げの基盤はこれ。とはいっても、クリックした人が必ずしも買うわけではない。この無駄を省くため、クリックした人がさらに商品を買ってはじめて広告費が発生する成功報酬型の検索サイト、スナップドットコムも誕生した。
また、世の中にはネット販売をしない事業者もいる。たとえば地元の商店、医者、会計士。こうした広告主のために、クリック以外の方法で成功を計る手法も誕生している。たとえば、サイト上に「チラシ」を置き、それを見た人がプリントした時点で広告費を取るペイ・パー・プリント、サイトから広告主に電話が入った時点で広告費を取るペイ・パー・コールがそうだ。ペイ・パー・コールでは、スカイプなどのボイス・オーバー・IPを使ってパソコンから直接電話する方式もあれば、見た人がサイトに自分の電話番号を入力すると、その番号と当該広告主の電話を直接つなげてくれる面白い仕組みもある。
インターネットのインタラクティブ性により、成功の計測が容易になった結果として、情報流に大きな革命がもたらされているのである。
このインターネット広告、果たして今後どれくらい伸びるのか?米国では、消費者がメディアに接する時間のうち23%がインターネットに費やされているのに、オンライン広告はまだ全広告費の6%にしかなっていない。また、従来、多くの企業は自社製品の5-10%しか広告してこなかったとされるが、成功報酬型の広告であれば、どんなにニッチな製品でも情報発信をすることができるため、広告のニーズそのものがさらに広がるとされる。インターネットによる情報流革命は、まだ著に着いたばかりなのだ。
Permalink | Comments (11) | TrackBack (3)
8 月 02, 2006
スミスからの電話
今、
「はろぉ、まいねぇむぃいず あんどりぅ・すみぃす」
という電話があった。スーパー・インド訛りだった。「おまえがAndrew Smithのハズないだろ」と笑えるんだけど、他人のアイデンティティを名乗らされているのは同情するよなぁ。
こちらはBusiness WeekのCall Center? That's So 2004という記事。
Americans, it seems, hate calling a help desk or customer service number to find an Indian on the line. Well, guess what, America? India doesn't particularly want to talk to you, either.
「アメリカ人はインドのコールセンターの電話が嫌いだけど、インド人だってアメリカ人と話したくなんかないぜ」という出だしで、インドのアウトソース事業が、ローマージンのコールセンター業務からより高付加価値の知的事業に移ってる、という記事です。
Permalink | Comments (10) | TrackBack (0)
8 月 01, 2006
シリコンバレーIT業界転職率
驚くなかれ。
IT業界で働く4大卒以上の男性の一社当たり平均在職期間は、全米で4-5年。シリコンバレーだけだと2-3年しかない。
「転職ばっかしてる人もいるよねー」という「自分の周りの人に聞きました的調査結果」ではなく、Current Population Surveyという、国勢調査のようなものから丹念に拾った数字。2005年11月に出たJob-Hopping in Silicon Valley: Some Evidence
Concerning the Micro-Foundations of a High Technology Clusterというレポートからのもの。母集団の数は44,202人。
(男性に限っているのは、調査の目的が地域間格差を導くものなので、性差の影響を防ぐため。)
カリフォルニアでは、「競合企業に転職してはいけない」というnon-compete規定は違法。19世紀以来あるルールである。結果として、シリコンバレーのみならずSan DiegoやLos Angelesなどでもシリコンバレー同様のハイパー転職状態になっている、と。
「そんなにみんなが転職したら、企業秘密が守れないから、発明の意欲が薄れてイノベーションが起こんないんじゃないの?」
という疑念は米国内でも強くあった。だが、2004年の全米で申請された特許のうち、45%はシリコンバレーからのもの。なぜ~という疑問に関しては、去年の12月のNew York Timesの記事
when there is a lot of technological uncertainty, the fastest way to find the best solution is to permit lots of independent experiments. That requires modular designs rather than tightly integrated systems.
"By having a lot of modular experimenters, you can take the best, which will be a lot better than the average," Professor Rebitzer said. Employee mobility may encourage productive innovation, as people quickly move to whichever company comes up with the best new technology.
But you would not expect to find people moving around all the time in every industry, only those where technical uncertainty justifies spending lots of resources on experiments - including many that will not pan out. "In most other settings," said Professor Rebitzer, "it's going to be easier simply to design things with special purpose parts that fit in."
技術的不確実性が高いときは、技術コンポーネントをモジュール化し、それぞれのモジュールで、ありとあらゆるトライアルを大勢がガッシガッシとすることで、より優れた開発が起こる。そして敗れ去った技術の会社からすぐれた開発をした会社へどんどん人が移れることが、この「大勢でがしがし」を促す、というわけですな。
確かに、
「当たるかどうかわからんこの開発をこの先10年やれ。失敗したらキャリア一巻の終わり。」
といわれたら結構びびりますよね。でも、
「とりあえず1-2年やって、ダメだったらその間に得た経験で、より優れた競合に転職できる。」
となったら、まリスクは少ないな、となる。シリコンバレーでのベンチャーに入社するときの発想はこういう感じで、ベンチャー固有のリスクもさることながら、そのベンチャーが属する領域全体を丹念に見る人も多い。
「大勢でがしがしやると、より優れたものが出る」
はサーチ・独立・株式市場でも書きましたが、Wisdom of Crowds(みんなの意見は案外正しい)の発想ですね。ご存知の方が多いと思いますが、まだだったらこの本をチラーリかつパラパラと読んでみるのもよろしいかと。
(注)最初の年数は、マックスでも、という但し書きがつきます。というのも、オリジナルの調査の結果は、「一ヶ月の間に仕事を変った人の割合は全米で2.41%。ということは、1年間同じ会社で働き続ける人の割合は(1-0.0241)の11乗で76%。」というもの。でも、76%の人が1年後も同じ会社で働いている、っ直感的じゃないので1÷76%=4ちょっと、というので勤続年数に直したんですが、本当言うと、「1年間同じ会社で働き続けない人」が何回仕事を移っているかわからないので、本当はこれより短くなる可能性があります。同様にオリジナルの調査の結果では、シリコンバレーで一ヶ月の間に仕事を変った人の割合は2.41%+0.8%だそうです。



