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2006/05/30

On | シリコンバレーの給与とストックオプション

シリコンバレーベンチャーの給与・ストックオプションに関するプロの人に、最近の動向について話を聞く機会があったので、以下忘れぬようにメモ。

  • 同じレベルの人材では、開発にかかわる技術系が一番高い水準となる。(給与、ストックオプション含め)ビジネス系(マーケティングや事業開発など)の人は技術系より10-15%安く、オペレーション系(財務や人事、総務など)の人および営業は技術系より20-25%安い。QAはビジネス系同様の水準で開発技術系の10-15%引き
    (渡辺注:赤字は、以前書いたエンジニアは神様ですを裏付けるものですね)
  • CEOからVPレベルまでは、上場企業に比べ未公開企業の基本給は10%くらい安め。しかもボーナスもないことが殆ど。その代わりがストックオプションとして出る
  • VPより下(directorクラス以下)は、基本給も上場企業・未公開企業とも一緒。上場企業で出るボーナス分を、未公開企業ではストックオプションで補う感じ
  • 10年位前は、VPより下のクラスでも、未公開企業の給与レベルは上場企業の20%減くらいが普通だった。しかしその後人材難が進み、今では同じになってしまった。

    (注:ベンチャー暦の長い知人たちはよく
    「ストックオプションって、結局殆どの場合ただの紙だから、それよりキャッシュの給料が大事」
    と言ってます。つまり、「ベンチャーは実はなかなか成功しない」という事実が、過去10年で知れ渡ったということではないか、とも思います。)
  • キャッシュの給料を除いた、純粋にストックオプション部分だけの比較では、VP以上は多く、その次のdirectorレベルでがくんと下がり、また下のほうのレベルに行くと割合多くなる、という傾向がある。このため、中間管理職レベルでストックオプションの差が少なくなってしまう。

    原因は、VP以上では、ストックオプション付与にVCなどが関与することも多く、「市場価格」的な相場があるが、それ以下では、各社が恣意的に算定することが多くなるため。しかし、給与レベルが8万ドルくらいをきったレベルからは、実はストックオプションの人事戦略的効用は薄れる。(雇用のしやすさ・人材キープのしやすさとストックオプションの相関が小さくなる)よって、本当は、下のレベルのストックオプションを減らし、その分中間層・上位層を厚くしたほうがよい。
  • 従来ストックオプションは4年掛けてだんだんと手に入る4-year vestingが普通だったが、最近これは実情に合わなくなってきて、オプションの上乗せをしたりするケースが増えている

    (注:オプションが行使できるようになることを、vestする、と言います。「ベストを着る」のベスト。最初は「4年掛けてこれだけのオプションをあげよう」と約束されるだけで、そのあとせっせと働かないとオプションは実際にもらえないわけです。せっせと働かせるためにオプションがあるわけだから当然ですが。で、実際にオプションが行使できるようになることを、オプションが身につく=vestする、というのでした。)

    以前は大体3-4年で公開できたので、4-year vestingが合っていた。しかし最近、上場するためのハードルが高くなり5-6年かかるのが普通。なので、オプションをベストしきっても、まだ会社が上場せず、よってさらにオプションを追加して出さなければならない。

    その場合、困るのは、どこから追加分のストックオプションをひねり出すか、ということ。特にCEOからVPクラスの、会社にとって非常に重要な人たちをキープするのが会社にとっての重要課題であり、その人たちにまわすため、ヒラの人たちのストックオプションを減らす傾向がある
  • ベンチャー企業の基本給の相場は、シニアプリンシパルエンジニアで$150,000±20-30%、一流大学の学卒の新卒で$70,000±20-30%
  • ストックオプションはCEOレベルで全株数の5%、VPクラスで1%くらい

シリコンバレーIT系上場企業の年収相場についてはシリコンバレーの給与水準をご参考あれ。収入は多いけど、生活コストもかかるのでシリコンバレーの生活水準もお忘れなく。なんでシリコンバレーの給与水準が高いかについての検討を書いたシリコンバレーの給与水準再びもある。

なお、シリコンバレーでは、こうしたベンチャーの給与水準やストックオプション水準を、会社の現状・成長予測・将来予測などに基づき算定してくれる専門のコンサルタントがいる。こういう人もシリコンバレーベンチャーエコシステムの一員なんですね。

しかし、ことストックオプションに関しても、上のほうのレベルの待遇をよくするために、下のほうをカットする、という、アメリカ全体の収入格差と同様なことが起こっているんですねぇ・・・・。

06:41 午後 Onアーカイブ | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック(3)

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まあ、そのうち機会があれば書こうかと思ってたことなんだけれど、ちょっとアレなので今まで書かなかったストックオプションの話。 [Read More]

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http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/05/post_7.html メモ. 同じレベルの人材では、開発にかかわる技術系が一番高い水準となる。(給与、ストックオプション含め)ビジネス系(マーケティングや事業開発など)の人は技術系より10-15%安く、オペレーション系(財務や人... [Read More]

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同じレベルの人材では、開発にかかわる技術系が一番高い水準となる。(給与、ストックオプション含め)ビジネス系(マーケティングや事業開発など)の人は技術系より10-15%安く、オペレーション系(財務や人事、総務など)の人および営業は技術系より20-25%安い。QAはビジ... [Read More]

Tracked on 2006/06/08 10:39:57

コメント

昔は上場企業でも新入社員にはまず4年掛けのオプションをあげて、その後も毎年上積みをするのが一般的でした。おかげで重役レベルでなくても普通に貰ったオプションでお金持ちになる人も多かったです。でも法律が変わってからはオプションの量をものすごく制限するようになって、最近は面白みがないそうです。

一攫千金を狙うなら、上場するのが難しくなっていてもベンチャー企業で働かないとダメだという風に私は聞いていますが、その辺はいかがなのでしょうか。。。

Posted by: Yuki at 2006/05/30 23:39:41

Yuki-san, Tracback先の方

「一攫千金を狙うなら、上場するのが難しくなっていてもベンチャー企業で働かないとダメ」
というのは事実だと思います。

10年前は、
「一攫千金を狙うため、ストックオプションをもらえるなら少々給料は下がってもよい」
というくらいストックオプションの価値があったのが、
今では、
「一攫千金を狙うためストックオプションは欲しいが、給料が下がるのはいやだ」
というレベルにストックオプションの価値が落ちた、というのがより正しい言い方でしょうか。

10年前が
ストックオプション=基本給カット分+ボーナスの機会損失+会社がつぶれるリスク
だったとすれば、今は、
ストックオプション=ボーナスの機会損失+会社がつぶれるリスク
となった、ってことでしょうか。

Posted by: chika at 2006/05/31 1:15:58

こんにちは。大変興味深く読ませていただきました。相場基本給なんですが、私の周りのベンチャー/スタートアップで働いている人々の場合は,CEO/CTO/Founderあたりで$80000、それ以外の人は、$70000と言った感じです。経験、学歴は全く関係ありません。中退も新卒もいます。いずれも、起こして一年以内に、VCからびっくりな額を集めた急成長中の会社ですが、その後、給与体系に変わりはなさそうです。シリコンバレー内でも,web系の会社と、”新しいテクノロジー開発”会社とで、結構差があるんですかね?アイデア勝負なweb系の彼らは、20代がたいていですし、それも関係あるのかも。

Posted by: コマチ at 2006/05/31 8:08:07

いつも楽しく拝見してます。

ご存知の事とは思いますが、シリコンバレーといえば、最近Paul GrahamのBlogの"How to be Sillicon Valley"というエントリが「我が意を得たり」という感じで興味深かったです。(Paul Grahamの文体にもそろそろ飽きてきましたが。)
http://www.paulgraham.com/siliconvalley.html
私も早く、シリコンバレーに戻りたいなぁ。

Posted by: かめぞう at 2006/05/31 8:42:36

どうもいつも楽しく読ませていただいてます。

ひとつお聞きしたいのですが、シリコンバレーでのハードウェア技術者もしくは研究者での研究者の給与体系はどうなっているのですか?

Posted by: とし at 2006/05/31 19:12:40

コマチ-san,

給料の設定には「今までいくらもらっていたか」というのも重要なファクターになるので、お知り合いの皆さんは以前の収入が学生だったから0とか、ファウンダーストックを持っているから、インベスタートのネゴで給料は抑えられた、とかそういう要因はないですか?ベンチャーのCEO、CFOは、大企業の重役とかを外部から引っ張ってくるような想定なので、そういう人は7万ドルではさすがにちょっと難しいと思います。。。

かめぞう-san,

あ、初めて読みました。そうですね。アメリカのオタクは自然が好きですよね。体鍛えオタクの人も多いし。なんでかなぁ。

とし-san,

ソフトウェアに比べるとちょっと低めです。本文で触れた「エンジニアは神様です」というエントリーに出てくるチャートを見てください。

Posted by: chika at 2006/05/31 23:41:57

こんにちは。以前立ち上げた台湾ベンチャーがIPO目前でイニシャルストックを結構持っているのに、株式市場が小さいのと公募価格も並なのでリターンもかなり小さくなりそうです。人生なかなか楽はできません。(泣)

皆さんも国選びには気をつけて下さい。(笑)

Posted by: wgarai at 2006/06/02 11:42:22

「幸せとは、現実÷期待値である」
-by 渡辺千賀

wgaraiさんのリターンも、ふつーの人から見たらとっても幸せなモノかもです。

Posted by: chika at 2006/06/05 22:19:26






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