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3 月 29, 2006
Microsoft Money2006にワタシ登場
いや、とっても驚いたんであるが、Microsoft Money2006というパッケージの箱の中に入っている小冊子に私が写真つきでCustomer Testimonialとして載っていた。Moneyを買った人に教えてもらってはじめて知った。
といっても、私のTestimonialは、Moneyそのものじゃなくって、パートナープログラムであるところのPayCycleという会社のオンライン給与支払いサービスのものですが。
PayCycle、もう3年くらい会社で使っているが、確かに愛用。使い始めた頃、何かメールで質問したら、30分くらいで答えが返ってきて、もう一回何かを聞いたら、15分後ぐらいに電話で返答が返ってきたので、「すばらしい!次に質問したら、誰かが直接訪問してきて回答してくれるんじゃないの?」と書いて送った。
すると、すぐさま今度は大学院時代のクラスメートからメールが来て、
「Chika、ワタシ最近Paycycleで働いてるんだけど、Customer Testimonialに出てくれない?」
と聞かれたので、気軽にイイヨ、とこたえた。数日後に彼女と一緒にランチをして、ついでに2-3枚写真を撮 られたのだが、まさかこんな風に全てのMicrosoft Moneyに同梱されているとは思わなかった。びっくりびっくり。
ちなみに、Paycycle、Intuit出身者が設立したベンチャーでPalo AltoはFry'sの並びにあります。給与振込み、各種税金の天引きや税務署への送金、申請書の電子送付などがASP(っていう言い方は古いですが)でできる。社員数5人前後の会社を主たるターゲットとしており、他の大企業向けの同種のサービスに比べ格安で、最初からオンラインサービスとして作りこまれているので使い勝手も良い。
社員数5人くらいの会社というのは、アメリカの全企業の80%だか90%だかに当たるバルクゾーン。というのはPaycycleの友達の受け売りだが、従来見落とされてきたが、インターネットの力でサポートすることが可能になった新たな市場の一つ。
カスタマーサポートも良いし、私が大注目しているベンチャーなのであります。
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3 月 28, 2006
自分を良く見せる努力より他人を良く見る努力
物事は何事もバランスが大事。ということで、昨日書いた「頭が良いフリをする方法」の逆の勧めです。
Built to Lastを書いた著名コンサルタント、Jim Collinsが「座右の銘」ということで、Business2.0のGolden Rulesに寄せた言葉。「興味深い人であろうとがんばるより、相手に興味を持とう」と。
これは、Jim Collinsがスタンフォードのビジネススクールで教えていた頃、彼のメンターに忠告されたのだそうだ。
"It occurs to me, Jim, that you spend too much time trying to be interesting," he said. "Why don't you invest more time being interested?"
「きみは、自分に興味を思ってもらうために、あまりに時間を使いすぎていないか。それより、相手をもっと知ることに時間を使ったらどうか?」と。
By practicing the art of being interested, the majority of people can become fascinating teachers; nearly everyone has an interesting story to tell.
興味を持って話を聞けば、殆どの人から学ぶものがある。誰もが一つは面白い話を持っている、と。
「おお、その通りだ」と反省し、Jim Collinsはその後この教えを守るべく努力するが
I can't say that I live this rule perfectly. When tired, I find that I spend more time trying to be interesting than exercising the discipline of asking genuine questions.
疲れてくると、ついつい自分のことを面白く見せることに時間を使いすぎて、相手を知ろうとする努力を怠ってしまう、と。
昨日書いたような
1.外向的弾丸しゃべり
2.批判(というのがいいすぎだったら、評論的、でもいいけど、とにかく自分独自のjudgment)
3.得意分野について語る
といったことは、自分を印象深い人に仕立て上げるための方法なのだが、これ、得意な人にとってはいとも簡単なこと。
Jim Collinsも、マネジメントコンサルティング以外にロッククライミングにも精通しているとのことで、多方面にわたった面白い話ができる人なのであろう。そういう人にとっては、上記1-3は、半睡眠状態でもできること。自分の中から出てくるものだから、過去に話したことの再利用も可能だし。
しかし、相手に興味を持って、相手をよく知ろうと質問する、というのは、毎回毎回新たな挑戦。かなりの注意力を必要とする。自己顕示欲も抑えないといけないし。が、それを乗り越えてがんばることで、相手を気持ちよくし、しかも、自分が新たなことを学ぶことができる。
とはいうものの、相手の話を聞くばかりで、自分のことを話さない人も、それはそれでつまらない。冒頭で申し上げたとおり、世の中何事もバランスが肝要なのでありましょう。ポイントは、自分がどっちに傾きがちかを知って、そこから逆側に一歩でも近づく努力をする、ということでしょうか。
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3 月 27, 2006
コンサルタント:頭が良いフリをする方法
頭が良くなるのは大変だが、頭が良いように見せかける方法はある。あんまり無理すると笑われるだけだが、ちょっとだったら底上げ可能。
というわけで、Psychology TodayのBlinded by Brilliance
オリジナルの記事は、「超優秀な人と一緒に仕事をしなければならなくなったら、どうするか」というまっとうなもの。冒頭には、例として、ビルゲイツの若かりし頃のマイクロソフトでの逸話が載っている。
When teams of slick, seasoned Microsoft sales guys set off in search of corporate-software business 25 years ago, a young and scruffy Bill Gates often tagged along. He looked more like a tech-support guy than the CEO. Customers usually turned their attention to the older and more polished "suits" who traveled with him. But inevitably one of the Microsoft executives would toss a question to the floppy-haired kid: "What do you think of that, Bill?" Ignoring the skeptical gaze of middle-aged execs and computer engineers, Gates would hold forth about hardware, software, floppy drives and the interfaces between them. With others you sipped at a water fountain, but when Gates spoke it was like "drinking from a fire hydrant," said a former sales chief.
きちんとスーツを着た営業が、オタクな外見の若いビルゲイツを連れて客のところに行く。最初のうち、客はビルゲイツを無視しているが、一旦ゲイツが話し始めると、誰もがそのほとばしる怒涛の知性に圧倒される、という話。
「普通の人と話すのが、ウォータークーラーから水を飲むようなものだとすれば、ビルゲイツと話すのは、消防用のホースから水を飲むようなものだった」
と。で、本文は、圧倒的に頭の回転の速い人の能力はどんな風に顕在化するか、とか、そういう人と一緒になっても、びくびくしないで、自分の能力が最大限に引き出される良い機会と捕らえよう、みたいな話へ続く。
人間の能力が平均値の周りにどっと固まっている日本と違って、劣等なほうもさることながら、優秀なほうの裾野も著しく広いアメリカならではの記事ともいえます。実際「ぎょー、こんなに頭のいい人がいるのか」みたいなことがままある。
「1」
と言うと
「5」
と返事がかえってくるとか、
「えー、1.2で2.5で5.3で・・・・」
みたいな、要領を得ない話をこちらがしているのに、
「君の意見は平均すると3だが、私は4だと思う」
みたいな整然とした答えが返ってきたり。。
この手の会話はアドレナリンが出るので結構楽しかったりするのだが。
記事には、それ以外に、「相手のハッタリを見抜く」という囲みがある。どういうときに、相手を優秀だと勘違いしてしまいがちか、という例として
1.外向的な人
2.批判的な人
3.自分の得意な分野について語っている人
が挙げられている。これ、コンサルタントの3つの得意技、とも言えます。コンサルタント的にはどう活用するかというと:
1.外向的
→とにかくたくさん話す。必殺「質より量」である。あれこれあれこれ弾丸のように話している中に、相手の琴線に触れるものがあれば、
「おお、この人は良いことを言う」
と思ってもらえる。それ以外は、話したこと全部を覚えていられないくらい、とにかく滝の流れのように話す。さすれば相手は、「良いこと」と思った一点しか覚えていない。
しかし、立て板に水であれこれ話して、一つもヒットしないと、ただのおしゃべりに成り下がる、という危険もあるので、ヒットを増やすべくベース知識を常に仕入れておく必要はあるのだが。
本当は、無口で時々ポツリと語る一言がすごい、というのが格好いいが、マッキンゼー時代もそんな人はみたことない。成功するコンサルタント=饒舌、です。少なくとも仕事の時には。ただし、早口である必要はない。
2.批判的
→相手を個人的に批判すると角が立つが、相手の会社や事業を批判するのは有効。もちろん、深い準備と、それに基づききちんとポイントを付いた指摘でないとダメだが、「あなたの会社を考えていればこそ」と、ビシビシと難点を指摘する。
また、よりプライベートな話の場では、そこにいない第3者を批判する、というのも有効。「誰それはダメだ、なぜなら」といった感じで、単なる好き嫌いじゃなく理由を明快にして批判する。さすれば、アーラ不思議、まるであなたは優秀な人のように見えます。
3.自分の得意な分野について語る
→これは、まぁ当然といえば当然だが、いかなる話も自分の得意な分野に引き寄せて語る、という話術が必要なのだな。
***
しかし、あんまりこういうのをたくさん繰り出すと、自分より優秀な人から見透かされるので、程度をわきまえておくのも重要かと思います。はい。
<追記:クロスカウンターパンチ的エントリを書きました。自分を良く見せる努力より他人を知る努力。ご参考まで。>
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3 月 23, 2006
猫がコンピュータウィルスに感染

Is your pet infected with computer virus?
RFIDタグを媒介として広まるコンピュータウィルスの危険についての論文。今のところ理論的なリスクですが。
RFIDの用途にペットの体内埋め込みタグがある。迷子になって首輪もなくなってしまっても、獣医などでスキャンすると飼い主情報が出てくるというもの。かなり広く普及している。
よって、猫や犬(に埋め込まれたRFID)がウィルスに感染する危険があるということで、冒頭の論文は
Has your dog or cat contracted a computer virus? It’s not impossible.
と始まります。危険な時代になったものです。
<冒頭の写真は、我が家のムスビさんの若かりしころのもの。今ではこんな変わり果てた姿に>
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3 月 22, 2006
ペット用血糖値計
肥満になると糖尿病になりやすくなるのは、人間だけではない。犬や猫も同じ。犬200匹のうち1匹(頭?)、猫400匹のうち1匹が糖尿病の可能性があるんだそう。
ということで、Abbottが今月発売開始したのが、ペット用血糖値計AlphaTRAK。
しかし、これ、人間用と何がどう違うのか。ということで、Abbott社のニュースリリースを見てみる。
どうも、こんな感じらしい:
血糖値は、通常測った結果でインシュリン投与の要否を決めることが多い。(健康管理的に使われることもあるが)その際の基準値は、大規模な検査機器(ラボテスト)による測定値。この手の機器は血液中の血漿だけを使って検査する。が、普通患者が自分でテストする際に使うのは全血(普通の血)。
人間では、全血の血糖値+12%=血漿の血糖値の割合、と決まっているので、簡単に変換可能。(赤血球カウントが平均値からずれている場合、補正の必要はあるが)
ところが、この割合が犬・猫では人間と大きくずれているため、人間用の血糖値計を使うと、結果が低く出すぎる傾向があった。これを補正したのがAlphaTRAK。(原理、間違ってたら教えてください。)
しかし、人間とペットが違う、ということは、犬と猫も随分違うのではないか。犬モードと猫モードがあるのでしょうか。大型犬モードなどもあるのか。こちらも、ご存知の方がいたら教えてください。興味津々。
ちなみに、Business Weekの記事によれば、AlphaTRAKのお値段は、本体80ドル、テスト用ストリップ(消耗品)が1ドル。毎日3回テストしたら消耗品だけで月90ドル超。年間1000ドル超。一日1回とし ても年間365ドル。結構します。
***
医療機器は人間でテストする前は動物実験するものなので、きっと犬なんかもテストしていたはず。そういう意味では、別に技術的には何も珍しいことはない が、「ペットの血糖値を測る市場がある」と見極めたマーケティング力に依存した新製品なのでありましょう。ペットの臓器移植もある国ならでは。
以前書いたとおり、ペット医療ビジネスは190億ドル市場でNIHの総予算に匹敵する大市場。全米でペットとして飼われている犬・猫の数は1億6300万匹。一家で犬・猫を複数飼っているうちもたくさんある。ということで、無視できない市場なのでありました。
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3 月 20, 2006
白紙小切手会社と裏口上場
今日締め切りの原稿を書き終わった。テーマは blank-check company(白紙小切手会社)とreverse merger (back-door listing=裏口上場)だ。以下は、その下調べをしながら出会った笑える話の数々。(原稿自体は1ヶ月位したらBlogにアップします。体系だった話はそのときにでも。)
ちなみにblank-check companyとは、将来どこかの会社を買収することを目的に株式公開して資金調達をする会社。上場時点では、事業内容が決まっていないのでblank checkと呼ばれる。先週、Appleの創業者Wozniak、元Apple CEOのAmelio、同じく元Apple CTOのHancockが集まって作ったblank-check companyのAcuicorが上場して$150 Million調達した。
The StreetよりAcquicor Tech Enjoys Apple's Halo
Gil Amelio (中略) in exchange for a $2.5 million-a- year salary and a $5 million loan, presided over declines in Apple's earnings, market share, headcount and stock price.
Ellen Hancock (中略) headed up Exodus Communications, which filed for bankruptcy in 2001
Steve Wozniak (中略) whose most recent venture, Wheels of Zeus, shuttered its doors on Friday.
ファウンダーたちの暗い過去をびしびしと指摘する厳しいお言葉・・・・。が、人生山あり谷あり。山も谷も激しいシリコンバレーで、谷のほうをピックアップされたら、多くの人がこうなるだろう。ラッキーにも一発当たったら、さっと大学の先生になったりすると、バツがつかずに美しかったりする。
TheStreetの記事では、Acquicorのprospectusがいかにとんでもないかを延々と指摘。
Some highlights: "You will have no basis upon which to evaluate our ability to achieve our business objective"; "none of our officers or directors is required to commit their full time to our affairs"; and "the personal and financial interests of our directors and officers may influence their motivation in identifying and selecting target businesses."
Translation: We may fail at this, and if we bother to show up for work, it may be simply to use your money to buy companies we already own.
とか。続いて、「こんなのに投資するやつの気が知れない」と。ちなみに、投資家の多くはヘッジファンド。
What's disturbing is how readily funds put their capital into a company that, for all its star power, doesn't seem to have the interests of its shareholders as a top priority. That smells a little like an early-stage financial bubble, when funds get antsy about sitting on cash and grow desperate to stick it somewhere, anywhere.
で、Acquicorは「イワシの頭も信心から」みたいな投資である、うまくいくかどうかは今後のお楽しみ、と。
Acqucor is faith-based investing taken to the extreme. That it even got through the gates is a little startling. But keep watching: Whether it proves to be an exception or a general rule will show how intoxicated investors are getting with technology stocks.
こちらには、元NBAプレーヤーで国会議員だったTom McMillenが作ったblank-check companyの話もある。
Former NBA player and congressman Tom McMillen is trying to go two-for-two in homeland defense plays.
Fortress America Acquisition, a so-called blank-check company dreamed up by McMillen, raised $42 million in an initial public offering. The Bethesda, Md., start-up, whose only products are the resumes of its politically connected board, hopes to use those funds to buy a company that "contracts directly with the government on homeland security projects."
「ボードメンバーの強い政治的コネクションで国土安全保障(homeland security)関係の仕事を受注するような会社を買う」というビジネスプランだそうです。いやはや、臆面もなく。すごいですねぇ。
一応Blank-check会社は、IPOして一定期間(18ヶ月とか)後にどこも買収できなかったら資金を投資家に返すことになっており、そういう意味では少ないリスクでバイアウトに参加できるといううまみが投資家側にはあるわけだ。
***
一方、Back-door listingは、こちらのページに寄れば
A strategy of going public used by a company that fails to meet the criteria for listing on a stock exchange. To get onto the exchange, the company desiring to go public acquires an already listed company.
とのこと。休眠状態の上場会社を買収して、上場ステータスはそのままに、中身だけ自分の会社にするわけです。「厳しい上場基準を満たさずとも上場できる」、「上場するためのコストが安あがり」、というのが動機。後者については、普通に上場すれば数億円から数十億円かかる。(多くが投資銀行へ流れる。ぼろ儲かり。)それを安く上げるというのは結構意味があることではあるが、その一方で、いい加減な会社を上場させて、株価が上がったところで売り抜ける、という悪事が発覚した過去もあり、評判よくなし。
が、最近、GoogleのLarry Pageのお兄さんが創業したHandheld Entertainmentという会社がback door listingをした。Vikaという会社を買ってのものだが、このVikaのSECの申請書類が泣ける。一応、中小企業向けにデータとボイスの統合アクセスを提供する予定、とかなんとか書いてある。が、
As of December 31, 2004, we had $2,690 in cash on hand. This is sufficient cash to sustain our operations for a period 1 month.
ということで、おととしの年末時点では所有キャッシュが2690ドルだったそうです。お小遣いじゃないんだから。。。。しかも、これで1ヶ月会社が運営できると。正々堂々としたペーパーカンパニーなのであります。
ということで、フィナンシャルエンジニアリング花盛りのアメリカでした。
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3 月 16, 2006
アメリカ的正しい三つ指
1950年代の記事。(クリックすると拡大)。
「よい妻の掟」
です。あちこちのアンダーラインは、私のところにEメールで回ってきたときにはすでに引いてあったもの。現代のアメリカ人女性が爆笑しながら読むところ。
たとえば:
- ダンナ様が快適に過ごせるように尽くすことで、心から幸せな気持ちになることができます
- ダンナ様が話したいことのほうが、あなたが話したいことよりずっと大事です
- ダンナ様の帰宅が遅くなったり、外泊したりしても決して文句を言ってはいけません
- ダンナ様の決定に疑問を表明する権利はあなたにはありません
- よい妻は、常に自分の身分をわきまえています
過去50年の、アメリカの女性の地位向上はすさまじかったんですねぇ・・・。明治は遠くなりにけり・・・:-)
(後日注:本記事、Fakeかもしれないそうです。こちら参照)
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3 月 15, 2006
シリコンバレーの生活水準
シリコンバレーの給与水準を書いたら
「むっちゃ高いけど、生活コストはどうよ?」
というコメントをいくつか頂いたので。(なお給与水準自体の妥当性については、「ちょっと高めでは?」「それくらい」「低すぎる」などのコメントを頂いたので、総合するとやっぱりこのくらいじゃないでしょうか。興味のある方は、お手軽にサラリーを計算できるEngineerSalaryやJobStarなんていうサイトもあります。)
もとい。シリコンバレーでやたらに金がかかるのは
1.税金
2.家
3.医療費
4.学費
5.失業した時用貯蓄
1-3は絶対必要、4-5はオプション。1、3、4は全米共通。
が、これ以外は、賢く情報収集すれば日本よりかなり安く上がる。
1.税金
Shiro-sanからのコメントで「収入の3-4割」と頂いたが、大体そんなもんでしょう。細かいことを言うと、これに加えて、扶養家族控除が少ない、結構たいしたことない所得レベルからAMTという恐ろしい税金増システムが効いて来る、といった問題はあるが、シリコンバレーで働く人の給与レンジの場合、ひじょーに大雑把には4割、と考えておけばよいのではないかと思います。アメリカ在住の皆さん、どうでしょうね。
2.家
これが痛い。買う場合、一軒家だったら80万ドル以上、マンションでも50万ドルはするかな。ちょっとましなところだと、ごく普通の築50年、みたいな家で100万ドル、1億2千万です。(ただし、家のローンの金利は税金から控除)
借りるのも、結構する。1人暮らしでも1000ドル切るのは難しいと思う。日本みたいに「滅茶苦茶小さくていいから6万円」みたいなアパートが存在しないので。ドラッグディーラーばかりの地区にでも住めば話は別だが、命の危険を冒してまで働いてどうする。
ただし、2ベッドルーム、3ベッドルームと部屋数が増えても、家賃が2倍、3倍になるわけではない。2ベッドルームで1500ドルとか。これを借りてルームメートとシェアすれば1人750ドル。アメリカ人はこういう住み方を良くする。ルームメートを募集している人に連絡して日本人だと告げると、大変喜ばれたりする。(金払いが良くて清潔という評判アリ)
一軒家の貸家も多い。2ベッドルームで2000ドル位からあると思います。
真剣に興味ある人は、以前GoogleMaps+Craigslist=こりゃ便利! で書いた、賃貸・売買物件情報がビジュアルに見られるHousingMapsを参照アレ。Zillow.comでは、全ての一軒家の現時点での推定市場価格が出る。ビジュアルに近隣の家の価格を根こそぎ表示可能。San Joseの南のほうとか、湾を渡った東側の方に行くと割合リーズナブルになります。
3.医療費
20-30代の人の保険料が月300ドル代。これはまぁOKだが、子供2人と夫婦、という組み合わせだと1000ドルくらいになる。最近では保険料を全部持ってくれる会社は少なくなってきており、特に扶養家族分は相当の割合が自己負担となることも多い。
医者にかかったときも自己負担はあるが、年間の自己負担のマックスが決まっているので、まともな保険に入っていれば問題ない。ただし、シビアな病気になったときのカバレッジが低い保険もあるので要注意だが、日本人だったら、著しく医療費のかかる重病になったら日本に帰るという手があるかも。(少なくともヨーロッパ人ではこの手段が有効らしい)
4.学費
大学が年間3万ドルくらい。小学校ー高校も私立だと同じくらいでは。
Stanfordの学費が全米でもずば抜けて高いと思っている人もいるが、そんなことはなくて、例えば、「ベッカムに恋して」で主人公が留学したSanta Clara大学というのもシリコンバレーにはあるが、学費は同じようなもの。UCはバーゲン。UC BerkeleyとかUCLAとか。特にカリフォルニア州の住人とみなされると年間1万ドルを切る。「アメリカの良心」である。
大学院では、Research AssistantとかTeaching Assistantをすると、学費免除の上に給料が2000ドルくらい出るそう(Sei君情報)。なので、特に理系だったら心配いらない。(法律とかビジネスとか、そういう、理系ほど世に求められない勉強をする場合は相当自腹を切る必要があるが)
あと、子供の保育園、幼稚園なんかも高い。日本だったら毎日通わせられる費用で週2日くらいしかカバーできない、と聞いたことありますがどうでしょうか。夏休みに、義務教育中の子供をいろいろな習い事に送り出すとそれも毎週数百ドル。
5.失業した時用貯蓄
1年は職がなくても食っていけるだけの蓄えが欲しい。なければないで、いろいろ食いつないでいくこともできるかもしれないが結構スリリング。結婚して夫婦共働きだと両方失業するリスクはかなり低くなる。
1-5以外では、車の維持費もかかる。一人1台必要だし。夫婦2人で3台持ってる、なんていう人も結構いる。
***
老後の貯蓄というのもあるが、これは必要度は日本もアメリカも一緒。年金がもらえるスバラシイ老後は、いずれの国においても今の30代以下の人にはまずこないでしょう。残念なが ら。(ちなみに、心休まる老後のためには、税引き前の年収の2-3割貯めていかないとイカンというのがfinancial plannerの教えであった)
これ以外は安い。安いところをきちんと探せば、だが。Costco、Target、Walmart、中華スーパーなどを駆使。今の時期ならオレンジが3キロ弱(6lbs)で1ドル、なんていう超絶ディールもあります。(@Sigona's)
また、家が高いといっても、単位面積あたりだったらそうでもない。1ベッドルームでも70平米くらいあるし、2ベッドルームだと100平米くらいは普通。「こじんまりした家」で、敷地が600-800平米、 延べ床200平米、という感じ。(これで、アメリカ的には、かなりせせこましい。シリコンバレーを出たらこの2倍、3倍はざら。)
というわけで、アメリカのコスト高を織り込んでもまだ日本より給料高いと思う。
***
が、しかし、コメントでも頂いているように、いつ首になるかわからない危険を感じながら働くストレスもあるし、やっぱりシリコンバレーの仕事が好きじゃなかったら、金だけのために来ても続かない。実際、バブル期にそういう人がたくさん流入したが、そういう人はバブル崩壊時に大体いなくなった。
(景気が悪いときの職探しの大変さについては、2003年に書いた「社会の上から下までリスクは一緒」あたりも参照願う。)
やはり、シリコンバレーのダイナミズムとか、技術を核としたカルチャーが好きで、しかも、シリコンバレーにこそやりがいがある楽しい仕事がある、という人のための場所なのだと思う。リスクがあること自体を、
「失業・転職(または、その恐怖)を通じて、厳しい社会を乗り切っていく戦力というアセットが身に付く」
と感じられるような人のための場所、とも言えるのかもしれない。
「No pain, no gain」ですね。
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3 月 14, 2006
シリコンバレーの給与水準
先週の土曜日シリコンバレー某技術企業の山村さんに、JTPAでセミナーをしていただいた。お勤め先は、売上約600億円、社員数1500人強のシリコンバレーの上場企業。このセミナーは、大学生・大学院生を中心とした日本からのセミナーツアーのフィナーレを飾るイベントであった。
さて、その中で「シリコンバレーのエンジニアの給与水準」の話があった。こんな感じ。
- 新卒
- 学士: $65,000-70,000 (800 - 850万円)
- 修士: $70,000-80,000 (850 - 950万円)
- 博士: $80,000-90,000 (950 - 1100万円)
- 一般
- 普通のエンジニア(staff engineer): $90,000 - 120,000 (1100万円 - 1500万円)
- シニアマネージャ/シニアエンジニア: $120,000 - 150,000 (1500万円 - 1800万円)
- ディレクター/シニアプリンシパルエンジニア: $150,000-220,000 (1800万円 - 2700万円)
ボーナスとストックオプションがこれ以外に付く。つまり4大卒の基本給が月給にして70万円なわけです。
日本の何倍か。
ちなみに、この給与水準は大体大企業でもベンチャーでも同じ。
大企業では、ストックオプションによる見込み利益は漸増だが、ベンチャーだと大化けすることもある。なのに、なぜ同じ給料なのか・・・と思うかもしれない。(たとえば前紹介したGoogleの社員番号一桁の知人は、多分ストックオプションだけで100億円超になった。)
が、大企業はつぶれる可能性は少ないが、ベンチャーだといつ会社がなくなるかしれない。
また、突然会社の方向性が変わって、従来からの社員をばっさり切って、違うスキルを持った社員を雇いなおす、なんてことも多発する。これは大企業でも同じことが起こりがちなのだが、大企業だったら、がんばれば社内で別の部門に「社内転職」ができることもあるが、ベンチャーでは無理。
というわけで、そういうリスクを見込んで、大企業もベンチャーも同じ給与水準なんです。
***
昨日、知り合いと話していたら
「東大のコンピュータサイエンス系の学科が定員割れした」
と言っていた。まじですか。そもそも理系自体人気がないとのこと。うーん・・・一方、シリコンバレーは景気が良くなるに連れて求人難になりつつあり、わりと簡単にビザが出る時代はもうそこまで来ているかも。2年前に東大のマスターから直接シリコンバレーのRambusに入社した斉藤君も冒頭のセミナーに来て、日本からの学生をリクルーティングしようとがんばっていたし。
本当は理系の諸君、理系心を押し隠して文系にいくのはやめよう。そしてシリコンバレーで稼いでくれ。稼げるだけじゃなく、シリコンバレーの技術企業では社内でエンジニアが一番偉いことが多いから、是非偉そうにして欲しい。
もっとも、またバブルがはじけて路頭に迷っても当局は一切関知しない。が、しかし、そういう時はインドにでも出稼ぎに行けば王様のような暮らしができるはず。だから大丈夫、My friend。
<<おまけ>>
山村さんには2年前にもJTPAでセミナーをしていただいたが、その当時VP、今では出世してSenior Vice President、SVPになった。部下500人!すごいですねー。。。。もちろん、その500人は日本人のように従順ではない。で、山村さんいわく
「Eメールで喧嘩し始めると、やり取りが100通くらいになることもあって収拾付かない。ネガティブなコメントは口頭でしましょう」
とのことでした。
<<おまけ2>>
税金で4割持っていかれる、といったシリコンバレーの生活コストについて書いたエントリーも追加で書きましたので、そちらも参考にしてください。
シリコンバレーの給与水準再び、というエントリーもどうぞ。
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3 月 13, 2006
「きみはペット」に見るカーリーフィオリーナ三つ指幻想
「きみはペット」を読んだ。7巻までだけど。よくできたお話です。
で、ちょっと驚いたのが、主人公の女子(27歳)が彼氏の留守に上がりこんで掃除をしてあげること。
「うーむ、ドライそうに見える最近のワカモノが、本当にこういうことをしているのだろうか」
と、周囲の最近日本から来たワカモノ(♂♀とも)に聞き取り調査したところ
「いや、結構みんなしますよ」
とのこと。な、なるほど。
しかし、主人公は実はシオらしい女ではないのである。無理してやっているのだ。
・・・ということで、高学歴男女のパートナー探しを阻害していると思われる「カーリー・フィオリーナ三つ指幻想」について。
***
その前に、「きみはペット」を読んだことがない人のために、概要です。
主人公は、東大・ハーバード卒、身長170センチ、美形、新聞記者のスミレ27歳。自分より身長も収入も低い社内恋愛の相手と結婚寸前だったが、相手が浮気して終わりに。「浮気相手の彼女といる方がほっとするんだ」と劣等感丸出しで去っていった相手に傷つき、「高収入・高学歴・高身長」の男としか付き合わないことを決意。
そこで転がり込んできたのが20歳、収入なし、家事労働能力なし、背も低い、でもかわいい性格で、顔もきれいなダンサー男。「ペットとして飼う(Hなし)」ということで、双方合意し、同居生活が始まる。
一方で、スミレは、大学時代の憧れの先輩と再会、恋愛関係に。しかし、スミレは、彼の前では緊張しまくり。「優秀なのに控えめで家事も完璧」を装う。そしてスミレは、先輩から鍵をもらうや、彼の仕事の日にわざわざ出かけて行って、せっせと掃除してあげちゃったりするわけです。2人の間の会話は、主に彼の話をスミレが聞くことによって成り立つ。「何が食べたい?」と聞かれても「なんでも(にっこり)」。
***
いや、スミレが本当にそういう性格なんだったらそれで全然問題ない。が、しかし、彼女は、実はプロレスとアニメをこよなく愛し、天然ボケながら強い自己主張を持つのである。それを全て押し隠して先輩と付き合っているわけです。1年たっても会話は敬語。
「だめだよー、こういうことしてちゃ・・・・」と思ったのだが、しかし、27歳だったらこういうこともあるかもなー、とも思ったり。思い起こせば私が27歳のときは
「この上MBAなんか取ってしまった暁には嫁にいけなくなるのでは」
と真剣に悩んだものであった。今にして思えば信じられないが、そのときは
「いや、しかし、MBAを取らずに一生嫁にいけないのと、MBAを取って一生嫁にいけないのでは、後者の方がまだましだ」
という判断の元に果敢に渡米したのであった。そういう私にスミレは笑えない。
****
さて、スミレのなにが「だめだよー」なのか。それはやっぱり
「カーリー・フィオリーナが三つ指付いて風呂を入れる」
といった人物像を「普遍的な理想の女性像」だと思い込み、それを演じてしまっていることだ。
カーリー・フィオリーナはHPの元CEO。強い強い女性であります。昔HPについてのエントリーで引用したように、Bill Gatesよりも強靭らしい。「She withstood everything her opponents could throw at her」だそう。見た目も美麗である。
で、そういうカーリー・フィオリーナのような仕事がバリバリできる女が、恋愛関係においては突然謙虚になり、その上家事まできちんとこなす、というのが「カーリー・フィオリーナ三つ指幻想」。
本当に無理せずそういうことができる人も、広い世界にはいるのかもしれない。もしかしたら。でも多分世界広しといえど、3人以上いたら驚く。いたとしても。
まず、物理的に、毎日夜中にしか家に帰れないような仕事をしながら、家事までバリバリこなすなんて、分身の術でもできない限り無理である。しかも、彼氏の家の分までやってたら死んでしまいますです。それ以上に
「彼の話を聞いているだけ」
「何を食べたい→なんでも」
という嘘の性格表示はまずい。なんといっても無理してるスミレがつらい。しかも、無理することで、本来ならありのままのスミレを好きになる人を遠ざけてしまう。
世の男子がすべからく「控えめで家事が得意な女」が好きなわけではない。好みの性格、人生ポリシー、共通の趣味、といった点が合えば、それ以外はどうでもいい、いや、むしろ勝気で、家事する時間があったらばりばり何か外でしてて欲しい、と思っている男子もたくさん・・・・でもないが、それなりに存在する。
しかし、スミレが控えめぶりっ子をしたら、そういう男子に逃げられてしまう。
さらには、スミレが「優秀で控えめ」と思い込まされている先輩がかわいそうだ。何がかわいそうって、「カーリー・フィオリーナ三つ指女」が実在する、と思い込まされてしまうところがかわいそう。たとえスミレと別れても、「理想のカーリー・フィオリーナ三つ指女」を探し続けてしまい、「さまよえるオランダ人」ばりに、未来永劫さすらってしまう可能性大。
実際、私の周りにそういう男子が複数いる・・・。「そんな女いないよ」といっても、「いや、昔の彼女はそうだった。アレが理想だ」とか。
しかし、残念ながら心の底まで謙虚で従順だったら、バリバリ仕事するような挑戦的人生を選ばないんじゃないかなぁ。either orってやつです。そこで、「憧れの先輩」のような男子も、本来なら「カーリー・フィオリーナ系」と「三つ指系」の両方とあれこれ付き合ってみて、「うーん、両方兼ね備えたヤツはいないんだな」と現実を見極め、どちらかの条件を諦めるに至る。が、スミレのような擬似「カーリー・フィオリーナ三つ指女」によって、そのプロセスがかき乱されてしまうわけ。
ちなみに、私は結婚前は極力男に料理はしないことにしていたのだが、これは俳優の舘ひろしのお陰である。彼が雑誌の対談で
「昔付き合っていたイギリス人(かなにかの)モデルの彼女が、別れるときになって初めて料理を作ってくれて、『母の教えで、絶対付き合っている男に料理してやってはいけないと言われたが、もう最後だから作ってあげる』と言った。感動した」
という類のことを言っていたのを読んで、
「好きな男には料理をしない!これはカッコイイ。まねしよう」
とミーハーにも思ったのがきっかけだ。しかし、おかげで、家事労働を全く期待しないダンナをゲットすることができた。ありがとう、舘ひろし。
・・・というところで世もふけてきたので、以降いつかに続く・・・・。




