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4 月 18, 2005

増殖とダイバーシティ

Dr. Tatiana's Sex Advice to All Creationは、スタンフォードで学び、オクスフォードでPhDを取ったOlivia Judsonが書いた、進化生物学の本。「森羅万象の生き物向けセックス相談室」ということで、動物(や昆虫やバクテリアやその他いろいろ)からの相談に回答する形式です。

ま、どれも大おかしいのですが、特に印象に残った「無性生殖で8500万年生き残っているワムシ」の話。

ワムシ(といってもなんのことやら、ですが、要はプランクトン)の一種にBdelloid rotiferというのがいて、彼女たちは自らのクローンを作ることで種としてずっと存命している。通常、細胞内に核を持つ真核生物は、「他人とエッチする」という有性生殖が必須。(ワムシは真核生物)そうしないと、遺伝子が混ざらず、周り中同じ固体ばっかりになって、ちょっとした環境の変化で絶滅してしまうから。

ところがBdelloidはクローン一筋で8500万年存続してきた。しかも、遺伝子シャッフルが起こっていないにも関わらず、8500万年の間に数百もの異なる種類に分化。有性生殖しているワムシよりずばぬけけて多様になっている、という驚くべき結果。

有性生殖だと、一人におこった突然変異も、その後他人と遺伝子をマゼマゼして子孫へとわたっていく間に平均化されて、長い目で見ると飛びぬけて変なやつは誕生しにくい。ところが、クローンだけで子孫を増やしていくと、誰かに起こった突然変異は、そのままその子孫にずっと受け継がれ続ける。

結果、いまやBdelloidワムシは360種類もに分化、南極からスマトラ島まで広く分布。

一方、Bdelloidワムシの親戚にseisonidワムシがいるが、こちらは有性生殖。seisonidは結果的に2種類にしか分化しておらず、いずれも同じ種類の魚に寄生、という似たり寄ったりの二種類。

ということで、クローンを続けているBdelloidの方が多様性が増しているのである。

有性生殖をしない生物としては、核がない生物にはバクテリアがいる。しかし、そのバクテリアでも、その辺をふわふわしているDNAを拾ったり、行きずりのウィルスからDNAをもらったり、死んだバクテリアのDNAをゲットしたり、といろいろな方法で遺伝子シャッフルを行っているわけで、クローン一筋のBdelloidは非常に稀。

個体間の遺伝子シャッフルが起こらないときに一番困るのは環境の変化(や疫病)。周りの固体がみんなちょっとちがって居れば全滅は避けられるが、「周りはみんな自分のクローン」だと一網打尽にやられちゃう可能性大。クローン一筋Bdelloidの危機である。

しかし、そんなとき、Bdelloidは

「からからに乾いて風に飛ばされて行く」

という裏ワザを繰り出すのである。そして、新天地に着陸してそこで新たな生を営むのだ。(この裏ワザにはAnhydrobiosisという名前がついてます)

つまり、

1)クローン(というか、無性生殖)で増殖すると、短期的に見ると周りはみんな同じヒト。なので環境変化に弱い
2)しかし、時々ドラスティックに起こる一瞬の環境変化を生き残ることができると、長期的にはクローンの方が変った種類が誕生。

一方、有性生殖のように他人と遺伝子が混ざると、短期的には、周りはみんな違うヒトだが、個体の間違い(というか変化)は遺伝子シャッフルで補正され続けるので、長期的にはあまり変らない。

***

というわけで、他人とシャッフルしないことが、実はエラーの蓄積を助長させて種の多様化につながっているとは。この考え方って、社会学的に見て、人間組織の思考方法・行動様式にも適用できそう。。。。

ま、「からからに乾いて風に飛ばされていく」を人間が実現するのは大変そうですが。

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4 月 14, 2005

アメリカのろのろブロードバンド

Snails今日、Los Gatosで打ち合わせがあって、車で走っていたら、Netflixの本社がありました。Los Gatosは風光明媚・自然満載。こんなところで働くのはよいのー、と言う感じでした。

さてさて。

ダンナが、昨日は在宅勤務してました。

「インターネットでの調べ物をするだけだから、家の方が能率があがる」
とのこと。

というのも、彼の会社のインターネット接続は、上り・下りとも500キロbpsしか出ないから。オラクルの本社のすぐ横にある、かなり新しいオフィスビルなのだが。T1を引いているので、一応理論的には1.5Mまで出るはず。でもなぜか500k。家はケーブルモデムなので下りは4M。

一方、日本の母親から「NTTの光にしたらサクサク」というメールが来た。実効値でも40メガbps位出てるんでしょう。多分。

ダンナにそれを告げると「君のママはサーバーファームでも始めるのか」。実家が家内工業的にラックを満載させ、サーバーを積み上げている様子を想像して笑った。

「アメリカはブロードバンドの接続数では世界最高」という調査結果があったが、なんだかとても信じられない。だって、500kしかでないオフィスビルがシリコンバレーの真ん中にあるんだから。というわけで、以下、軽く「ブロードバンド」の定義をGoogleで調べてみました。

Satellite TV Online 56kbps以上
Cisco 1Mbps以上
3G News 2Mbps以上
Jupiter Research 256kbps以上 (2001年の調査で利用された数字)
BBC 512kbps (イギリスで、「ブロードバンド」と宣伝してよい最低速度。2004年8月)

2Wireというブロードバンド関連機器を作る会社で働いていた知人は250kが足切りライン、と言っていました。そんなもんでしょうね。ビデオオンデマンドなんて普通の方法では無理無理。

3G Newsの2Mbpsはwishful thinkingという感じが。シリコンバレーで、「ブロードバンドは2M以上」としたら、ブロードバンド接続できている家庭は存在しない、オフィスでも10%なんていう結果になったりするかも。

***

冒頭の写真は、庭の草の新芽を食い尽くすので、毒薬をまいて虐殺したカタツムリ。
「ジュー」
と、苦しみの声を上げながら、数時間のた打ち回り、段々小さくなって死ぬ。呪われたら怖い。直径3メートルくらいの巨大カタツムリに這い回られるとか。。。。しかし、のろのろしてるのはインターネットだけでたくさんなのだ。

ちなみに、ベイエリアのカタツムリさんたちは、エスカルゴになるのと同じ種類とのこと。捕らえてしばらく清潔な餌で育て、バターとガーリックで焼けばエスカルゴ。たこ焼き用の鉄板でできるかも。試したら結果報告してください。当局は関知しませんが。

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4 月 13, 2005

フィッシングの次はファーミング

San Jose MercuryのIdentity thieves' new ploy: `pharming'。オレオレ詐欺ならぬPhishing詐欺に続いてPharming詐欺が登場、という記事。

(Phishingについては去年のエントリー巧妙化するネット犯罪をご覧下さい)

ユーザーが正しいURLを入力しているのに、偽のサイトに行ってしまい、そこで入力したパスワードやクレジットカード番号などの個人情報が盗まれてしまうという、一般人には手の施しようがない詐欺。ネットワークの住所台帳であるところのDNSを書き換えてしまうのである。Phishingが、一人一人のユーザーを騙す「一本釣り」なのに比べ、Pharmingは、本物のサイトにアクセスしてくる人たちを根こそぎ偽のサイトに連れて行くという「全面収穫」なので、ファーミング=農業。

Pharming exploits an underlying Internet technology -- known as the Domain Name System, or DNS -- used to translate a Web site's address into a numerical code for the Internet routing.

Pharming scams take several forms:

• A hacker could break into an Internet service provider's DNS servers and switch legitimate addresses stored in the server's ``cache,'' a temporary holding area, with bogus addresses in a practice called ``DNS poisoning.''

• A scam artist could pretend to be a Web site's operator to persuade an Internet registrar to make the change to the bogus address in the registration database.

• Attackers could use malicious code, such as a virus or Trojan program, planted on a user's PC to track keystrokes or change a computer's settings to take users to fraudulent copies of legitimate Web sites they request, said Gary Steele, chief executive officer of Cupertino e-mail security company Proofpoint.

• Hackers could also target the 13 ``root'' DNS servers that route all Internet traffic.

DNSの書き換えには、本物のオーナーに成りすますという方法から、ハッキングする方法までいろいろ。いずれにせよ、Phishingよりはかなり高度なので、Phishing並みに普遍化するとは思われないが、一回でも成功すれば、かなり莫大にデータが盗めてしまう。

In March, attackers exploited a vulnerability in Symantec firewalls with DNS caching to redirect users typing in google.com, eBay.com and weather.com to three malicious sites, according to the Internet Storm Center security Web site.

実際に、Symantecのファイアウォールの弱みを突いてDNSのキャッシュを書き換え、GoogleやeBayといったサイトへのアクセスを悪意ある偽のサイトに送り込んでしまう、というアタックが3月にあった。

これに対抗するために、「いくつもの種類の異なるマークを設定、ユーザーにその中から一つを選んでもらい、そのユーザーがアクセスしてきたらサイトにそのマークが表示される」という方法で根こそぎ詐欺を防ぐ、という手法を編み出したところもある。(という話の出典は冒頭の記事ではない。どこで読んだか忘れた。すみません。)

世に悪事の種は尽きまじ。

しかし、Phishing、Pharmingときたら、次はなんだろうか。

phondlingとか。 fondleは"To handle, stroke, or caress lovingly."、つまり「優しくなでなでする」。変態ロリコンが子供を(悪い意味で)触る、という時にも使われる。(ただいま裁判中のマイケルジャクソンとか・・)よって、「ユーザーを懐柔しながら徐々に騙して行く」という意味でphondle・・というのは私の勝手な想像で、こんな言葉はありません。

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4 月 12, 2005

インタビューして頂きました

JINAというサイトにインタビューしていただきました。読んでみると、なんだかお気楽な私。。。
インタビューしてくださったのは、UCバークレーで建築のマスターを取って建築事務所で働いていた飯田さんという方。内容はこちらです。

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4 月 11, 2005

アナログな未来

今日のSan Jose Mercury Newsの特集はSV150 Silicon Valley's Largest Publicly Traded Companies。紙媒体で18ページある「大」特集。売上、利益、市場価値、その他様々な項目で企業や業界を縦横無尽に切り、さらに様々な特集記事が載っている。

売上順では、一位がHP、Googleも初登場ながら19位。市場価値÷売上では、Googleが一番高くて15.7、以下eBay、Yahooと続く。

利益率No1はLinear Technology。アナログ半導体の会社である。一位であるからして、当然、高価なマイクロプロセッサを作るIntelよりも上。Linear's gold mine is unique analog chipsはその高収益率の理由を追った記事だが、そこで語られる秘訣は、アナログという職人芸が必要とされる製品のコンサルティング販売である。

An experienced engineer will visit a customer such as General Motors and anticipate that in a year the company will need, say, a faster version of a chip that the customer is already ordering. The engineer will propose, design and shepherd the project if the customer signs up for it. Apple Computer, for example, will pay a higher price for a chip that makes the sound better in its iPod.

Linear Technologyは1981年創業、という老舗だが、その設立当時は:

The personal-computer revolution was just starting at the time, and some expected the digital age to make analog chips obsolete altogether. But far from disappearing, analog chips grew up to be a $34 billion business that is expected to hit $42.7 billion by 2007, according to the Semiconductor Industry Association.

当時は「時代はデジタル。もうアナログはいらない」という予想もあったが、実際には340億ドル規模に成長、さらに成長を続け2007年には427億ドルにまで伸びると予測されている。

ちなみに、世界中でアナログ半導体エンジニアは不足している。熟練の域に達するには長い年月がかかる上に、アナログ設計を教える大学も限られているからだ。特に日本では「これからはデジタル」という一言で殆どの大学がデジタルへ、デジタルへとなびいてしまい、アナログエンジニアは払底。しかし、世の現象は、音にしろ電波にしろ電力にしろ、すべからくアナログ。電波(その名の通り波。1-0ではないです。)を飛ばして、その電波を読み取る、というワイヤレスでは欠かせない技術でもあり、ニーズは高いが、開発できるエンジニアは居ない、という状況に。デジタルは、設計ツールを使えばかなり容易に設計可能だが、アナログはそういうわけには(今のところ)行かない。

というわけで、「アナログ」といえば、「レトロ」「時代遅れ」の代名詞として使われたこともあったくらいだが、そこで大勢に流されずに踏みとどまってアナログ一筋に邁進したLinear Technologyは、シリコンバレーの公開企業で一番高収益の会社になったわけです。みんなが同じことを言うときは注意した方がよい、ということのよい例でしょうか。

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4 月 08, 2005

IT業界のM&A

日経産業4月8日掲載のコラムです。

情報技術(IT)業界では最近、M&A(企業の合併・買収)が盛んだ。米シリコンバレーでも、M&A絡みのニュースが新聞の紙面を毎日のようににぎわせている。

大手コンサルティング会社のマッキンゼーは二〇〇四年の初頭に出した報告書で、企業内アプリケーション、セキュリティー、ミドルウエアなどIT業界の十一の領域でM&Aを通じた再編が起こるとすると予測した。その根拠となっているのは、成長率や領域内のプレーヤーの数、利益率などだ。成長が鈍化した成熟分野でありながらプレーヤーの数が多すぎれば利益率が落ちる。その結果、利益率向上や売上高増大に向けたM&Aの動きが活発になる。

さて、M&Aの実態をよくみると、この報告書にあるような成熟産業型のM&Aと、成長産業ならではのM&Aの両方が同時に起こっていることがわかる。

まず、成熟産業型の代表例としては、オラクルによるピープルソフトの買収がある。データベースでは業界最大手としての地位を確立したオラクルが、企業内アプリケーションでも影響力を強めようと、人事アプリケーションに強いピープルソフトを買収。買収額は百三億ドル、日本円で一兆円を超す。通信業界大手MCIの買収をめぐっては、同じく通信事業者であるクエストとベライゾンが八十億ドルを超す買収額で激しい争奪戦を繰り広げている。

一方、インターネットビジネスでは、成長産業型のM&Aが主流となっている。たとえば、グーグルは二〇〇四年に四社を傘下に収めた。リアルタイムでウェブのトラフィック解析を行うジブダッシュやデジタル写真管理のピカサ、衛星写真データによる地図アプリを持つキーホール、やはり地図関連とされるホエア2がその対象だ。しかし、買収額は、四社合計で五千六百万ドルと小規模で、買収された企業はいずれもまだ利益がないか、あってもごくわずかだ。グーグルの目的は優れた技術とエンジニアの獲得、成長のスピードアップにある。

買収劇の中には敵対的なものもある。たとえば、オラクルのピープルソフト買収では、当初オラクルのラリー・エリソン最高経営責任者(CEO)は、「買収したら、ピープルソフトの製品は全てつぶし、社員も全員解雇、顧客ベースだけいただく」などと言い放っていた。その後、オラクルはピープルソフトの製品ラインは継続するとはしたが、ここまでの脅威的発言があってなお、買収が成功してしまったのには驚く。

最近、日本ではライブドアとフジテレビジョンのニッポン放送買収合戦が話題となっているが、公開している以上は敵対的買収の攻勢を受ける可能性があるのは当然だ。それがいやなら公開せずにプライベートなままという道を選ぶべきではないか。

日本はさておき、米国のIT企業では、どうやって敵対的買収から自社を防衛するか、どうやって積極的にM&Aを活用して成長するかが、今後の企業戦略上より重要になっていくだろう。

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4 月 07, 2005

このヒトは誰?

庭に出現。

モグラbaby?野ネズミbaby?

目の前でフラッシュをたいても動じず、私の足にウロウロとのぼってくる始末ゆえ、盲目のモグラとも思えますが、ツタの葉を食べているので野ネズミかも。ご存知の方がいたら、教えてください。
Whois1Whois2_1
↓ツタの葉を食べる動画

Download whois.mov

(8時まで明るいシリコンバレーより)

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4 月 06, 2005

神経経済学

最近耳にする機会が増えてきた単語がNeuroeonomics。脳がどう機能するか、という神経学的見地から人間の経済的行動を理解しようという、超ミクロ経済学。これまでの「金で全ては割り切れる」という前提の経済学では説明しきれない行為を解明しようとするもの。

例えば、Business2.0のWhy the Caveman Loves the Pitchmanでは、芸能人が出ているコマーシャルがなぜ購買行動を変えるのかに触れている。

Neuroscientists call this the "mere exposure effect": The more we see a face, the more we like it. Brain scans would show that when Beyonc�pops up again and again in L'Oreal advertisements, dopamine and phenylethylamine flood our brains, triggering positive emotional states. The result: "If we see a celebrity time and time again, we start to like them," Bailey says.

「繰り返し見ると、それだけで好感を抱いてしまうから」と。で、その好ましい親しみを感じる芸能人が勧める製品がいいものだと思うようになる。(しかし、見れば見るほど嫌いになる、ということもあるかと思うのだが。)ちなみに、「芸能人(的な目立つ存在)が見たい」という欲求は猿にもあるのだそうだ。

rhesus monkeys will give up cherished treats -- in other words, they'll actually "pay" -- to peek at photographs of dominant troop leaders.

群れのリーダーの写真を見るためだけに、好きなおやつを諦める(=人間で言えば金を払う)と。

また、Business WeekのWhy Logic Often Takes A Backseatは、これまでの経済学では「例外」として処理されてきた人間の非論理的経済行為も、神経経済学で説明できるのでは、としている。

Brain scans show that when people feel they're being treated unfairly, a small area called the anterior insula lights up, engendering the same disgust that people get from, say, smelling a skunk. That overwhelms the deliberations of the prefrontal cortex.

「理不尽な扱いを受けている」と思うと、脳の(情動を司る)前島が活性化、スカンクの匂いをかいだような嫌悪感が沸いてきて、理論的に物事を判断する前頭前野より強力に働く、と。(記事では、「選手側が強硬にストライキを続けて、結局シーズンが丸ごとキャンセルされたアイスホッケー」を例に挙げている。以前Negotiationというビジネス交渉の専門誌でも同じように経済的に理不尽な決断で決裂する交渉についての例が挙げられていたが、そんなことをいわれるまでもなく、
「スカンクの匂いをかいだような嫌な気持ちがして、自分が損をしてでも相手に得をさせない行動を取る」
といった例は枚挙に暇がないだろう。)

One of the most fruitful avenues of neuro research is "time inconsistency." When people decide about the distant future, they're roughly as rational as economic textbooks assume. But when faced with a choice of whether to consume something now or delay gratification, they can be as impulsive as chimps.(中略)So Laibson and others scanned people inside MRI machines and discovered two parts of the brain operating in radically different ways. For decisions about the far-off future, the prefrontal cortex takes a long-term perspective. But for decisions such as whether to buy another chocolate bar right now, the limbic system takes over and demands immediate gratification.

遠い将来のことだと理性的に判断できるのに、近い未来のこととなると、突然チンパンジー並みに刹那的になるのは、前者では前頭前野が働くのに、後者では原始的な大脳辺縁系が働くから。

男性は魅力的異性を見るだけで刹那的になり、遠い将来の見返りより、少なくてもすぐに手に入る見返りを求めるようになるという実験についての話は以前書いたが、野生がより活性化するということか。

昔、村上春樹が、初対面の女性を見て「この女が好みだ!」と唐突に心を揺すぶられる体験をし、それはまるで自分でも知らない別の人格が自分の中に潜んでいて、それが突然出現してきたようだった、というようなことを書いていましたが、これも辺縁系に乗っ取られたのでしょうか。

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4 月 05, 2005

ゲイのバイオロジカル・クロック

San Franciscoという名前の雑誌がある。その名の通り、San Fanciscoの衣食住に関する雑誌。おしゃれ系である。San Joseという雑誌もあるが、ひじょーに田舎くさい。二つの都市を象徴するようだ。トホホ。
(ちなみに、San Jose誌は、市議会議員の女性のセクシーなピンナップ写真を掲載して、ローカルなスキャンダルとなった)

さて、そのSan Francisco誌の4月号のBaby Panic!は子供を持つゲイのカップルが増えていて、シングルのゲイがあせる、という話。子供を持つカップルに限って、かっこよくて高学歴でお金持ちでみんなにうらやましがられるようなゲイ(写真は一例。橙色のポロシャツが38歳、建築家、手前で子供を抱いているのは45歳、弁護士事務所のパートナー)なのだが、その上さらに子供まで持っちゃって幸せそうで、シングルのワタシはどうしたらいいのっっ!という「負け犬の遠吠え」風。

I suddenly wondered: would I be too late? Some mental math ensued. Three years in a relationship before I'd consider kids; I'd be 37. Two years to adopt or go through a surrogate; I'd be 39. And that's if I met Mr. Right right then and there.

で、記者の34歳ゲイ・シングル君はハタと考えるのである。「もしかしてあせらないとやばいかも」と。子供を持つなら40才までには欲しい。(子供とのキャッチボールで息切れしてぜーぜーするのは避けたい、ので)が、付き合って3年くらいはたたないと、一緒に子供を持つという決心に至らないだろう。で、決心に至ってからも、養子をもらってくるにしろ、代理母に生んでもらうにしろ、準備期間も入れて2年はかかる。ということは、今すぐ運命の人との出会いがないと間に合わない!と。

不安になったシングル君は、36歳のストレートの女友達にこの心配を打ち明けたところ

She exploded with laughter. "Welcome to my hell," she cackled. "Now you know what it's like to run into all your friends and hear about baby this, baby that."

Welcome to my hellと一笑に付される。「これでワタシの気持ちがよくわかったでしょ!」と。

で、シングル君はSince when does a gay man have a biological clock?と悩むわけです。

しかし、ゲイのカップルが子供を持つのは、かなり最近の出来事で、親の世代の例にならうことができない。みんなそれぞれ、自分の判断でことを運ぶしかない。そのあたり、親の世代は専業主婦が多くて、子供の世代ではじめて仕事を持ちながら結婚・出産の選択を迫られる今の日本の女性にも似たところがあるかな。

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4 月 04, 2005

サーチ・独立・株式市場ー1

アメリカは昨日から夏時間になった。急に日が長くなって、8時くらいまで明るい。この間ラジオで聞いたのだが、初めて夏時間を導入したとき、ゴルフボールの売上が30%増えたそうだ。8時とか9時まで明るければ、仕事の後にゴルフできますので。

もとい。

ちょっと古いが、Scientific American 2004年12月号のCommon Senseは、どういうときに、全体が、それを構成する個人より優れた知恵を生み出すか、という話。構成員が「独立し」、「分散して」、「それぞれが勝手な理解の仕方をする」という条件を満たしていなければならない、と。

記事では全体が個より優れている例をいくつかあげている。

例1

In one experiment, participants were asked to estimate the number of jelly beans in a jar. The group average was 871, only 2.5 percent off the actual figure of 850. Only one of the 56 subjects was closer.

56人の被験者に、ビンの中にゼリービーンズがいくつ入っているか当ててもらう、という実験をしたところ、その平均は871で、実際の数字850から2.5%しか離れておらず、しかも平均値より正確だった人は1人しかいなかった。

例2

When the U.S. submarine Scorpion disappeared in May 1968, a naval scientist named John Craven assembled a diverse group of submarine experts, mathematicians and salvage divers. Instead of putting them in a room to consult one another, he had each of them give a best guesstimate--based on the sub's last known speed and position (and nothing else)--of the cause of its demise and its rate and steepness of descent, among other variables. Craven then computed a group average employing Bayes's theorem, a statistical method wherein a probability is assigned to each component of a problem. The Scorpion's location on the ocean floor was only 220 yards from the averaged prediction.

潜水艦が行方不明になったとき、潜水艦専門家、数学家、引き上げダイバーなど、異なる専門家を集め、それぞれ別々に潜水艦の場所を推定してもらった。参加者に与えられた情報は、最後にわかっている潜水艦のスピードと場所のみ。結果として、その平均は実際の位置から220ヤードしか離れていなかった。
(本当は単なる平均じゃなくて、もう少し複雑ですが)

例3

Stranger still was the stock market's reaction on January 28, 1986, the day the space shuttle Challenger exploded. Of the four major shuttle contractors--Lockheed, Rockwell International, Martin Marietta and Morton Thiokol--the last (the builder of the defective solid-rocket booster) was hit hardest, with a 12 percent loss, compared with only 3 percent for the others.

スペースシャトルのチャレンジャーが爆発した日に、固体ロケットブースターを作った会社の株が12%も下落したが、チャレンジャー製作に関わったロッキードなど他の企業の株価は3%しか落ちなかった。「ブースターが原因」ということが解明されるよりずっと前に、株式市場は原因を正しく推定したことになる。

最後の例では、その後インサイダー取引がなかったかどうか、いろいろと分析してみたが、結果はシロ。

しかし、その後同じくスペースシャトルのコロンビア号が落ちたときには、チャレンジャーのときとは違い株式市場は間違った結果に至った。

Not all crowds are wise, of course--lynch mobs come to mind. And "herding" can be a problem when the members of a group think uniformly in the wrong direction. The stock market erred after the space shuttle Columbia disaster on February 1, 2003, for example, dumping stock in the booster's manufacturer even though the boosters were not involved.

みんなが「前回のチャレンジャー同様固形ロケットブースターが原因だろう」と、ブースター製造会社の株を売ったが、結果としてブースターは関係なかった。つまり、大勢が先入観を持って、群れをなして同じ結論に至ると、全体は個々の間違いが増幅されるだけの「暴徒」と化す。

For a group to be smart, it should be autonomous, decentralized and cognitively diverse

参加者がみな独自の考え方をしないと、「全体が個より優れている」という状態にならないんである。前述の潜水艦の位置推定で、個々の構成員がそれぞれ個室で一人うーんと考えるようでなければならない。

たとえて言うなら、スケートの審査員みたいなものか。複数の審査員が居ても、全員が隣に人に「何点だと思う?」と聞いて、それをベースに点をつけていたら平均を取る意味がないし、審査員が10人いようが、100人いようが、結果はあまりかわらない。というより、審査員は一人でいい。審査員がそれぞれ自分の判断で点をつけるから、複数の平均がより正しい評価に近くなる。

さて、「独立し」、「分散して」、「それぞれが勝手な理解の仕方をする」ものといえばインターネット。記事は、人気投票に似たGoogleのサーチが意味のあるランキングを生み出せるのは、その対象のインターネットがこの3つの条件を満たしているから、IMHO(in my humble opinion)では、と締めくくられる。

まだ続きで書きたいことがありますが、またの機会に。

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