« コカイン紙幣 | Main | Googler不動産市場参入 »

2004/12/01

Off | エイズの日:Angels in America

今日はWorld AIDS Dayであった。これを記念してAngels in Americaについて。

Angels in Americaは去年HBOというケーブルテレビで放映された6時間のドラマ。HBOは元々は映画を一日中宣伝なしで流すというチャンネルだったのが、ハイレベルのドラマを独自制作するようになった。Sex in the City(後日訂正、Sex and the City)とかThe Sopranosが代表作かな。で、去年放映されたのがAngels in America。DVDになったので、まずレンタルして見たのだが、どうしてももっと見たくて買ってしまった。少なくとも通しで3回見て、それ以外に好きなシーンを何度も何度も見た。「通しで3回」というだけで18時間もかけたことになる。我ながらオタクぶりに唖然。

ゲイコミュニティーの人々がエイズでバタバタと死んでいく1985年のニューヨーク。その中で繰り広げられる様々な人間模様と葛藤の物語。元々舞台演劇で評判を集めていたものをテレビ番組化したものだが、まるで舞台のようなセリフや設定を多用。キャストも、メリルストリープ、アルパチーノ、エマトンプソンと豪華絢爛。

日本でも最近Wowowで放映されたらしいですが、誰か見た人はいるでしょうか。ちなみに、私の周りには見た人が一人もおらず、うちのダンナも「6時間?No way!」と見ていないので、誰とも中身について語れないのが悲しいところ。

というのも、語りたくなるようなことで一杯なのであります。

  • 難解さ

例えば、いろいろな役者が複数の役を演じる。敬虔なモルモン教徒の母親とスパイ容疑で処刑された女性の幽霊役がメリルストリープ。(これ以外にもメリルストリープは2つ端役で登場するが、ひ・み・つ)エマトンプソンは天使役と医者。(プラスこっそり端役一つ)ジェフリーライトは、ドラッグクィーンのゲイの看護士と、ゲイの夫を持った妻が見る幻覚の中での旅行案内人。これ以外にも「え、この人、あの役者だったの」という驚く種明かしが最後にでてくる。

で、複数の役を一人の役者が演じるのにはもちろん理由がある。が、その理由は明確には語られない。解釈は、見る側にまかされる。

また登場人物の役名も暗示に満ちている。ジェフリーライトは非常に重要な物語の案内人として要所要所で登場、しかも人間離れして冷静で、時として慈愛に満ち、時には厳格に周りの人々を導く。で、その彼がゲイの看護士として登場するときの名前は「Norman 」なのだが、これは彼が実はno-man、という暗示?とか。預言者となるエイズ患者の名前はPriorだが、これは過去に戻れないことの逆説的象徴?などなど。

タイトルがAngels OF Americaじゃなくて、Angels IN Americaなのにもちゃんと意味がある。これは、Part2の最初の章で「of the world」「in the world」に関する会話をよく聞くとわかることになる。

  • 舞台風セリフ回し

さらに、セリフ。私は舞台演劇が好きではない。何度か挑戦して見に行ってみたのだが、
「ウーム、役者の皆さん、がんばっているなぁ」
という感じしかしなかった。残念ながら。

にもかかわらず、時に誇張され、時に文学的、時に気取ったAngels in Americaの舞台風セリフを何度も何度も聞いているうちに、なんだか感化され、
「舞台も面白いかも」
と思ってきた。今度また挑戦してみようかな。

あー、でも、舞台でこんな複雑で難解なストーリーを見てもついていけないかもしれないな。牛が食べ物を反芻するように、DVDで何度も何度も繰り返し見て、やっといろいろな意味合いとか関連がわかってきたくらいだから・・・。

  • 演技力

メリルストリープ、アルパチーノ、ジェフリーライト、メリールイスパーカーの演技は鳥肌もんである。メリルストリープ演じる幽霊は、死んでなお恨み続けた相手がいるが、彼は結局エイズでのた打ち回って死んでいく。その死に際に、勝ち誇ったように語りかけるところなど圧巻。アルパチーノの末期エイズ患者ぶりも鬼気迫る。ジェフリーライトが「サンフランシスコに似た天国」の情景を語るシーンも、夢見るようだ。メリールイスパーカーは「バリウム中毒で精神的に限界をふらふらし、幻覚と現実の間を行き来している」という難しい役だが、圧倒的な説得力で演じきっている。

いずれにせよ、ストーリーは全部置いておいても、こうした役者の演技力を見るだけで感動。アルパチーノとメリルストリープのやり取り、ジェフリーライトとメリールイスパーカーのやり取りもすごいです。飴玉を嘗め尽くすように、何度も何度も何度も同じシーンを見てしまった。

しかも6時間もあるから、ストーリー展開に追われることなく、とにかく役者の力量を堪能できるのです。

  • 映像

DVDカバーの天使の登場シーンなど、幻想世界の特撮がものすごくきれい。

以上、Angels in America中毒患者の告白でした。

09:26 午後 Offアーカイブ | 固定リンク | コメント (14) | トラックバック(1)

トラックバック

このエントリーへのトラックバックURL:
http://www.typepad.com/services/trackback/6a00d8341c3b6353ef00e55038787a8834

このエントリーへのトラックバック エイズの日:Angels in America:

» Angels in America from Obscure19
ここ数日、細切れになりつつもはまっていたAngels in America。やっと全部見終わった。Watanabe Chika さんのBlogでずいぶん褒められていたので、気になっていたのだが、たまたま空港のCD/DVD屋で... [Read More]

Tracked on 2004/12/31 7:34:55

コメント

いつも読ませていただいています。

さて、今日のエントリですが、千賀さんは

"タイトルがAngels OF Americaじゃなくて、Angels IN Americaなのにもちゃんと意味がある。これは、Part2の最初の章で「of the world」「in the world」に関する会話をよく聞くとわかることになる。"

というところを語りたかったのだと思うけど、その強い思いの影響で

"SEX AND THE CITY"が"SEX IN THE CITY"になってしまっています。

どうでも良いのですが、ご指摘させていただきました。

Posted by: 大熊 at 2004/12/01 22:18:55

読んでて私も欲しくなりました。
日本のアマゾンでもあるのかなぁと探してみましたが、これがみつからない。映画とか歌もそうなんですが、驚くような邦題に変ってしまうので、本当に出てないものか自信がありません。
アメリカのアマゾンでで注文しても時間がかかるし、Regionの問題もあるし。DVDってなんか便利なようで不便ですね。

Posted by: 鈴木宏一 at 2004/12/01 22:36:03

鈴木宏一さん曰く:
「アメリカのアマゾンでで注文しても時間がかかるし、Regionの問題もあるし。」

Regionに関しては、"Region 2"版もあるみたいですね。

http://tinyurl.com/7yq3h
http://tinyurl.com/66wbv

後は、PALビデオ方式と思われるこのDVDがちゃんと日本のNTSC規格のDVDプレーヤーとテレビで見られるかどうかが問題でしょうね。
求む、人柱 (笑

Posted by: MostlyVowels at 2004/12/02 0:52:20

大熊-san,

あ、すみません。ご指摘ありがとうございました。直しました。。。。Sex -in- the city、 Sex -and- the city, どっちもSex'n the cityという発音で、口にするときは一緒なので、、、と言い訳。

鈴木宏一-san, MostlyVowels-san,

Wowowビデオにとった人を探すほうが早いのでは?!もしくは、アメリカから買って最初のバージョンのPlaystation2で見るとか。DVDを入れて、プレステの画面が始まったところで矢印ボタンをタイミングよく押すと世界のDVDが見れますです。

Posted by: chika at 2004/12/02 10:05:16

はじめまして。初めてコメントさせていただきます。

このDVDみたいですね。
私、芝居好きなもので、Angels in America、本当は舞台で見たいのですが、
英語のヒアリングがからきし駄目なので、
はやく日本人キャストでかからないかと。

そういえば iht.com にパリでオペラ版がかかった話が出てました。
'Angels in America' with global accents
http://www.iht.com/articles/2004/11/25/features/angels.html
ずいぶんとダイジェストされているようです。

ではまた。

Posted by: SATO Atsushi at 2004/12/02 17:28:19

 ”複数の役を一人の役者が演じるのにはもちろん理由がある。が、その理由は明確には語られない”とありますが、これまでの輪廻転生で生きてきた数々の自分が出てきているのか?それとも一人の人間の中に住む多面性を表現しているのか。。。。ううなんだか面白そう。しかも千賀さんがそんなにオモロイっちゅうなら、見る。見る。見たい!
 で、コメントにもあったようですが、日本ではどうやって入手したらよいのかしら。。。やはりプレステか?うーむ。どなたか日本で見る方法がわかったら教えてください。

Posted by: あき at 2004/12/02 17:34:44

Wowowで12/4より放送するそうです。
http://www.wowow.co.jp/angels/contents.html

僕もご紹介を読んで、見たくなったんですが、WOWOWだとウチで見れない・・・

話は違いますが、舞台版は二部構成になっていたような。


Posted by: Dai at 2004/12/02 18:41:52

買いました。
非常に見たくなってamazon.comで購入しました。
うちのDVDはリージョンフリーなので、日本に限らず、アメリカ版も見れるんです。
blogのリコメンに心動かされて、購入までしたのは初めてです!

Posted by: Takeshi at 2004/12/05 7:56:24

SATO-san,

舞台を見た人の中には「テレビ版じゃなく、舞台をそのまま録画してDVDにして欲しい」と言っている人もいます。お芝居が好きだったらきっと舞台版楽しいと思うのですが・・・。オペラ版って言うのもすごいですね。

あき-san,

複数の役・・・はどっちかっていうと「遍在」かな?と・・。

Dai-san,

ちょうどこの週末だったんですね。(私はWowowの回し者??)テレビ版も2部構成になっており、それぞれ3幕ずつあります。

Takeshi-san,

面白くなくても怒んないでくださいね。Review等では「見た人の感想は、大好きか、大嫌いかに極端に二分されるだろう」と言われてるようですので。

Posted by: chika at 2004/12/05 16:37:13

通りすがりの大阪在住モノです。12月4日にWowowから録画した"Angeles in America" を昨晩冒頭少しだけ見ました。ちょっと見ただけでも、これはすごい!と予感できました。でも、今忙しいので、全話録画してからのお楽しみです。(土曜に2話づつ放映するので3週間もかかる…)日本でのDVD発売は、だいぶ先になるのではないでしょうか? 
マイクニコルズと言えば、私にとってはワーキングガールが金字塔。ケビンスペーシーがちょい役で出ています。
CSI(ラスベガス)とThird WatchとSex&the Cityが大好きです。つまらないことですが、昨日、映画"The Incredibles"の邦題が「Mr.インクレディブル」になっていたことに気付き、「お父さん一人かい!」と叫びました。

Posted by: Kumi at 2004/12/05 22:45:25

先日、Ebayで英語字幕つきのDVDを落札しました。
届くのが楽しみ♪

『卒業』の監督さん、まだご健在だったのですね。

「卒業」といえば、2年前にNYに行ったときに、舞台版がキャスリーン・ターナー主演で上演されていました。
映画とは違う冷え冷えとしたラストが心に残る演出だったそうで、見逃したことを後悔しています。

Posted by: tuna at 2004/12/12 1:37:21

WOWOWにも加盟しておらず、ビデオデッキすら持っていない私ですが、昨日、なんとか第1話と第2話を見ました。
①会社の友人にお願い⇒②その友人のお母様(宮崎県在住)が録画⇒③東京に送付頂き⇒③昨日、これまた別の友人宅でビデオを見させていただいた。。という流れ。。(持つべきものは心優しい友人であります)

 第1・2話だけしか見ていないので、感想や私なりの分析をお話しするには時期尚早であり、全作見終わった後で、お話しますが、かなり衝撃的&私の心を掴んで離さない(ツボに入る)内容でした。Net上でお話しするには、よろしくないような宗教観や思想があり、チカさんになんと伝えてよいのか判りません。。が、あまりの衝撃さに、昨晩は異常な悪夢を2本立てで見て、夜中に2度も目が覚めてしまいました。終いには朝、7:30に“鼻血が流れている”ことに気づいて目が覚める始末。。。あまりの衝撃さに体が反応してしまったのでしょう。。。くーーー。
 第3話以降から作品の真髄に迫るのですよね。。。皆さんも鼻血には気をつけてください。。。(朝は枕を洗ってきました。。。くすん。。)

Posted by: aki at 2004/12/12 17:28:40

Kumi-san,

Angels in America,期待!してください。

Mr. Incredible/The Incrediblesについては、http://naotakeblog.typepad.com/sottovoce/2004/11/the_incredibles.html でも触れられています。Elastigirlがミセス・インクレディブルになってる、というのも。まぁ日本だからねぇ、、、しかたないかね、って感じでしょうか。

tuna-san,

見たら感想を教えてくださいね。

aki-san,

2話で鼻血ですか!!まだ始まってないよ、って感じなのに!!!最後まで見たら、エボラ出血熱患者のように、ひでぶ、となってしまうかも。気をつけてくださいませ。

ちなみに、宗教観、価値観、については、私もかなり"The America"と思いました。私的には、受け入れられるところと、「えーそこまで言う?」というところと両方あるかな。ではでは。

Posted by: chika at 2004/12/13 20:53:52

kimura-san,

日本でもお芝居として上演されていたんですね。ユダヤ人・モルモン教・レーガン政権・エイズ・ゲイなどなど、アメリカ独特の問題がいろいろと出てくるので、日本ではどう受け入れられるのか興味深いところです。

Posted by: chika at 2004/12/20 22:41:18






ページの上に戻る
本サイトのコンテンツは、出典を明記すれば自由に利用できます。詳しくは下記イメージをクリック。

Creative Commons License